うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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アメリカの話ですが、ご紹介させて頂きます。

自宅分娩の新生児死亡リスク,病院分娩の3倍に
米国のメタ解析より
2010年7月6日 MT Pro

 近年,産科施設の減少に伴って自宅での分娩が見直されており,欧米などでは増加傾向にある。自宅分娩が先進国最多の30%以上を占めるオランダからは,自宅分娩が病院分娩に比べ同等の安全性があるとするコホート研究の結果が示されているが,自宅分娩が急増している米国からは全く逆の研究結果が報告された。Am J Obstet Gynecolは7月1日,米メーン大学のJoseph R. Wax氏らによるメタ解析の結果を公式サイトで発表。それによると,自宅分娩の新生児死亡リスクは病院分娩の約3倍だったという。

死亡の多くが蘇生失敗などに起因
 Wax氏らは,自宅および病院での分娩に関する複数の医学論文から,計画的な自宅分娩34万2,056件,計画的な病院分娩20万7,551件のデータを抽出した。自宅分娩群は,病院分娩群に比べて分娩リスクが同等以下で,硬膜外鎮痛,胎児心拍数モニタ,会陰切開,帝王切開などの医学的介入が少ない傾向にあった。また,自宅分娩群は病院分娩群よりも感染症や出血などが少なく,早産や低出生体重児の割合も低かった。

 解析の結果,先天性異常がない新生児の死亡リスクが計画的病院分娩群で約0.3/1,000分娩だったのに対し,計画的自宅分娩群では1/1,000分娩と約3倍にのぼることが明らかになった。計画的自宅分娩群の死亡は,多くが呼吸促迫および蘇生失敗に起因していたという。

 この結果について同氏は,自宅分娩を選択している女性の多くが低リスクの健康的な経産婦であることから「特筆すべき結果」と評価。計画的自宅分娩群で死亡率が高かったことと医学的介入率が低かったことが関連している可能性を指摘した。そのうえで同氏は,自宅分娩の蘇生に対する人員,訓練,機材の整備を訴えている。

 また,Am J Obstet Gynecol編集長のThomas J. Garite氏およびMoon H. Kim氏は「今回の報告は,計画的自宅分娩は母親に対しては安全性を確保するものの,新生児のリスクへは重大な懸念を引き起こすことを示した。国家レベルで当局がより注意を喚起するに値する」とコメントした。

(小島 領平)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1007/1007023.html

計画的自宅分娩群で(新生児の)死亡率が高かったことと医学的介入率が低かったことが関連している可能性

私も多いに関連していると考えます。
自宅では吸引もできませんし、新生児科医もいませんからね…

十分な人員や機材があれば別ですが…、普通は無理ですよね。

計画的自宅分娩は母親に対しては安全性を確保するものの,新生児のリスクへは重大な懸念を引き起こすことを示した。国家レベルで当局がより注意を喚起するに値する

私は、出産方法(自己満足)よりも、新生児の安全を考えて欲しいと、以前から訴えています。
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/31285998.html
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/31210105.html
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/24993019.html


アメリカで『当局による注意喚起』があれば、日本にも影響するでしょうからね…
今後の展開に期待します。





こういう話があったので、追記しておきます。
ビタミンK不投与で乳児死亡…母親が助産師提訴
7月9日9時59分配信 読売新聞

 山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。

 助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。母親(33)は助産師を相手取り、約5640万円の損害賠償訴訟を山口地裁に起こした。

 母親らによると、女児は昨年8月3日に自宅で生まれ、母乳のみで育てたが、生後約1か月頃に嘔吐(おうと)し、山口県宇部市の病院でビタミンK欠乏性出血症と診断され、10月16日に呼吸不全で死亡した。

 新生児や乳児は血液凝固を補助するビタミンKを十分生成できないことがあるため、厚労省は出生直後と生後1週間、同1か月の計3回、ビタミンKを経口投与するよう指針で促し、特に母乳で育てる場合は発症の危険が高いため投与は必須としている。

 しかし、母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」と説明したという。

 助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。日本助産師会(東京)によると、助産師はビタミンKを投与しなかったことを認めているという。助産師は読売新聞の取材に対し、「今回のことは何も話せない。今は助産師の活動を自粛している」としている。

 ◆ビタミンK欠乏性出血症=血液凝固因子をつくるビタミンKが不足して頭蓋(ずがい)内や消化管に出血を起こす病気。母乳はビタミンKの含有量が少ない場合がある。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100709-00000173-yom-soci

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この問題の難しさは、出産の大変さは個人ごと・そのときごとの差が非常に大きく、かつ、経験者の体験談が幅をきかせていることでしょうね。
多くの場合、つらい思いをした人は口を閉ざしますし。

もちろん、自然分娩を選ぶ自由もあるわけですが、「自分の命は自分ひとりだけの命ではない」ということをよくよく考えた上で判断して欲しいです。

2010/7/9(金) 午前 4:27 [ はにほ ]

アメリカは医療費削減の国ですからね、最近では「結局安くしたいだけでは?」と思うような解析結果も多くこの国のエビデンスは最近話半分に捉えてる私ですが・・そういう意味では、病院に来よう!というような結果をアメリカが発表するとよっぽどなのかな・・と思ったりしますが。
ただ、こういう理由で分娩は病院が望ましいというのであれば、いつまでも「妊娠は病気ではない」という主張で分娩費用が自己負担になってるのもどうかと思いますが。
出産一時金が出るといっても、自己負担なだけにどこの産院も価格競争になってしまい疲弊してしまう。それでいて救急車受け入れを断ると批判される・・
ビジネスと公共の両側面を強いるのは過酷ですよねぇ・・

2010/7/9(金) 午前 9:05 あい

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オランダと米国では、社会保障制度がまったく異なりますって、医療配分も異なる。 米国は医療にアクセスも難しい人も多くいますし、ブラジルは、高額な帝王切開がよく選ばれます。 自宅出産は、金銭的に恵まれないのね。で、終わってしまいます。

2010/7/9(金) 午前 9:10 [ おみぞ ]

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「計画的自宅分娩」ってどういう集団なんでしょう?
自宅でやっても安全だと思われる妊婦、胎児?
もしそうなら、同等の安全性であることというのが最低限求められる。

250回に1回、危険なことが起こるというような統計が出ているものを、自宅でなどというのを、もし私の身内がやろうとしたら、怒鳴りつけてやる!

2010/7/9(金) 午前 10:52 [ 町医者 ]

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ネットで書かれているのは成功体験がほとんどで、それがたまたま大丈夫だっただけという考えは持ってないですからねぇ。
助産師も自然教の伝道師になってたりして問題の根は深いです。
産科医との契約が義務化されたとはいえ、自宅出産じゃ何かあってもどうにも出来ないですし、酷い所は自宅のお風呂で水中出産させたりするそうですよ。恐ろしい・・・

2010/7/9(金) 午前 11:42 [ cha*o*ile05** ]

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結果が悪ければ、その人の人生がつぶされますから、何倍のリスクという考え方がわかりません。自宅で計画?どうやって計画?お医者さんも待機するのでしょうか?陣痛も計画?
臍帯巻絡(字こんなでした?)なんて分秒を争うのですから、真結節なんて赤ちゃんの首を分娩と共に絞めてしまうのですから、それだけでも危ないのですが、昔と違うのに。

2010/7/9(金) 午後 1:42 [ ゆずにすもも ]

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多くのコメントを有難うございます。

確かにアメリカやオランダの話を、そのまま日本に当てはめるのは無理がありますが、
参考にはなると思います。

水中出産は危険なので、止めて欲しいところです。

2010/7/9(金) 午後 2:07 さすらい泌尿器科医

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自分の家族は病院で出産して欲しいですね。自宅でやるなんて危険がいっぱい。

2010/7/9(金) 午後 6:17 [ 元外科医 ]

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出産に関する事で気になる記事が
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100709-00000173-yom-soci

あくまで訴訟が起こったというだけで、事実がどうか分かったわけではないですが、自然療法とか錠剤というと……。
断言は避けておきます。

2010/7/9(金) 午後 6:55 [ はにほ ]

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自分自身の出産の時には、地元の大学病院ででした。
特に問題があったわけではなかったのですが、大学病院側から医師が週に3回ぐらい診療に来ている病院で妊婦検診を受けていたので、出産時も同じ医師に受け持ってもらえるのならその方がいいのかなという軽い気持ちで。
でも、結果的には大正解でした。出産そのものには全く問題がなかったものの、産後半日ぐらいして、子どもが急に「無呼吸」の状態になってしまいました。子どもは扉1枚隔てた隣の「NICU]の保育器に速攻で移され3〜4日様子を診てもらい、退院は少し遅れたものの全く後遺症もなく元気に家に連れて帰ることができました。
助産院や個人の産科医院での出産だったら、こんなふうにスムーズにはいかなかったでしょう。
本当に出産は、何が起こるかわかりませんよね。。。

2010/7/9(金) 午後 7:17 銀河

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元外科医さん、私も自分の家族や知り合いには、
病院で出産することを強く薦めますね。

2010/7/10(土) 午後 2:45 さすらい泌尿器科医

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はにほさん、その記事は昨日の時点で、あまり深く考えずに追記しました。(爆)

関連記事をご紹介させて頂きます。
http://jyosanin.blog78.fc2.com/blog-entry-410.html
http://d.hatena.ne.jp/Mochimasa/20100710/1278709485

面白い話になりそうですね。

2010/7/10(土) 午後 2:51 さすらい泌尿器科医

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sippoさん、良かったですね。

>助産院や個人の産科医院での出産だったら、こんなふうにスムーズにはいかなかったでしょう
難しい問題で、今の日本では半分以上の子供は開業産科医院で産まれます。
しかも、10年後には「病院出産は20%減」になるかもしれないとか…
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/31372110.html

悩ましい問題です…

2010/7/10(土) 午後 3:02 さすらい泌尿器科医

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こんばんは 「自然なお産」を信仰に近い形で勧める人、それに感化される人もいますね。「自然が一番」といっても赤ちゃんの命が失ってしまっては何にもならないと思うのですが。病院で出産を決めた時知人に強く「自然なお産」を進められて困惑した元妊婦でした

2010/7/10(土) 午後 10:00 [ kak*t*ba*a27*000 ]


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