うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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虫垂炎を風邪と誤診? 大阪の病院で男性が死亡
産経新聞 10月15日(金)8時59分配信

 大阪府枚方市の星ケ丘厚生年金病院で平成18年11月、腹痛を訴え受診した枚方市の男性=当時(43)=が30代の担当医に「風邪」と診断され、翌日に壊死(えし)性虫垂炎による敗血性ショックで死亡していたことが14日、病院関係者への取材で分かった。病理解剖の結果、男性は死亡の数日前から虫垂炎とみられる炎症を起こしており、医師が診察時に適切な治療をしていれば、死亡しなかった可能性が高いという。

 男性の遺族は、医師の「誤診」で死亡したとして、業務上過失致死罪で枚方署に告訴状を提出。病院側は今年7月、当時の解剖結果や検体などを同署に任意提出した。同署は関係者から事情を聴くなどして慎重に捜査している。

 病院関係者や遺族によると、男性は18年11月23日午前8時45分ごろ、激しい腹痛を訴え受診。担当した男性内科医が聴診器を使うなどして調べたが、「風邪」と診断し、風邪薬を処方して帰宅させた。

 男性は翌朝になって体調が急変。自宅で心肺停止となり、同病院に運ばれたが、午前9時半すぎに死亡した。同病院が遺体を病理解剖したところ、男性の虫垂に穴が開き、そこから漏れた細菌が腹膜に感染、血流に乗って全身に広がり、急死したことが分かった。

 死亡後、医師は男性の遺族に謝罪したが、診断書には男性が腹痛を訴えたとの記載がなかった。医師は病院側の内部調査に「診察時には腹痛を訴えていなかった」と説明。診察時の症状について医師と遺族の間で説明に食い違いもみられるという。

 ただ、専門家が当時の病理組織を検査したところ、虫垂炎の発症時期は少なくとも死亡日の数日前だったことが判明。医療関係者によると、診察時に血液検査や超音波検査などの適切な処置をしていれば、死亡しなかった可能性もあるという。

 病院側は「患者が死亡されたことは大変気の毒だが、当時の対応に問題があったかどうかは捜査機関に委ねるしかない」としている。

 同病院では平成17年2月にも、ヘルニア手術を受けた当時1歳の乳児のぼうこうを誤って切除するミスが起こっている。
亡くなった男性のご冥福をお祈りします。m(__)m

まさか盲腸で息子が亡くなるとは思わなかった。あのとき適切な診察をしてくれていたら、きっと助かっていたはず…

という、ご遺族の心情は十分に理解できます。

しかし、

虫垂炎の診断は時に大変難しい場合があります。

「腹痛って難しい」と私も思いますし、
なんちゃって救急医先生の別記事でも、地雷疾患でランクインしています。

産経の別記事です。
正確な診断難しい虫垂炎
産経新聞 10月15日(金)8時59分配信

 虫垂炎の症状は、風邪ウイルスによる感染性胃腸炎などと症状がよく似ており、一般的に正確な診断が難しい疾患とされる。

 典型的な症状としては、みぞおち付近に痛みが出て、時間の経過とともに右下腹部へと移動することが多い。ありふれた疾患だが、右下腹部の痛みを伴う症状は胃腸炎など別の原因も考えられ、虫垂炎の所見を見落として治療が遅れるケースもみられるという。

 「外科医と『盲腸』」や「孤高のメス」などの著書がある阿那賀診療所(兵庫県南あわじ市)の大鐘稔彦院長は「問診や触診をきちんと行ったうえ、血液検査で白血球数を調べたり、超音波やCT検査で炎症反応や虫垂の状態などを確認すれば、そんなに見落とすことはないはず」と話す。

 ただ今回は、担当医が初診の段階で「(患者が)腹痛を訴えていなかった」と主張。遺族の証言と食い違う部分もみられ、医学的観点からの十分な検証が今後、求められる。

 大鐘院長は「初診から患者が死亡するまでの進行が早く、かなり前に発症していた可能性が高い。最近は虫垂炎の手術例が少なくなったこともあり、経験不足が不幸な結果を招いた可能性も否定できない」と話している。

 一方、死亡した男性の遺族は産経新聞の取材に「まさか盲腸で息子が亡くなるとは思わなかった。あのとき適切な診察をしてくれていたら、きっと助かっていたはず…」と話している。

起訴されて不毛な裁判に突入しないことを、私は切に願います。

(告訴→書類送検までは、非難するのは間違いです)




閉じる コメント(21)

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knobさん、お疲れさまでした。

>一晩、放置されただけなのですが。
虫垂炎の診断がついたとしても、
手術を夜中でも行なうかどうかは、
患者さんの病態(重症度)や、その病院のスタッフの充実度合によって違うので、
必ずしも「放置された」とも限らないのですが…

2010/10/15(金) 午後 1:49 さすらい泌尿器科医

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わかっていますよ。

2010/10/15(金) 午後 1:56 knob

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虫垂炎は怖いです。
痛みで死にそうになってやって来られる方から、けろっとして歩いてくる方までいろいろですから…。それほど痛みのひどくない虫垂炎だってあっても不思議ないと思います。これがあれば虫垂炎、という決め手が実はないし、小児では炎症の広がりも早いしで、結局入院して一晩観察とすることも多いです。
お産と同じで「虫垂炎で死ぬことなんてないだろう」と思っている人が多いと思うので、右下腹部圧痛のある腹痛には必要以上に気を使います。多分不必要な腹部CTで被爆している人も少なくないし、外科にはいつも『疑い』症例ばかり紹介して申し訳ないです。

2010/10/15(金) 午後 4:09 [ motoko99 ]

家族は「激しい腹痛があり受診」と言うし、医師は「腹痛の訴えはなかった」という。
死人に口なしでどちらが正しいのかは本人が書いた問診票などがないとわからないでしょうね。
多数くる外来患者の一人一人のことを診察についていた看護師が覚えているとも思えないですから、ほかの医療関係者に聞き込みしたって覚えていないんじゃないかなぁなんて思います。

虫垂炎は本当に難しく、私も外科に疑い症例を何度紹介したことか。
婦人科系の感染症と区別が付きにくかったりして、外科から婦人科へ、婦人科から外科へ腹痛の患者はお互い紹介しあったりしてますしね。
腹痛を訴えていても診断が難しいのに、医師が言うように本当に腹痛を訴えていなかったとしたら診断など無理だったのではないでしょうかね。

2010/10/15(金) 午後 4:46 じゃすみんちゃ

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今回のはわかりませんが、検索したら待機手術とか色々載っていて難しそうです。昔ワールドカップの選手が薬で散らして試合に出ていたのを思い出しました。ええ?っと思いましたが、試合後手術してました。

2010/10/15(金) 午後 4:54 [ ゆずにすもも ]

もし、これを完全に防ぐとしたら、全ての患者に血液検査やXPとかをしないといけなくなりますね。もちろんそうしたら、医療費も跳ね上がるわけだし。【適切な診察】という言葉が重く響きますね。でも、これだけ虫垂炎が広がっていたら、腹部痛もあったのではないのかな?

2010/10/15(金) 午後 8:41 KIDNEY

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「激しい腹痛」というのは大変リスクの高い症状。研修時代には腹部大動脈切迫破裂や絞約性壊死性イレウスなどを経験しました。もし激しい腹痛の患者であれば緊急採血をやるのは常識。病院なら腹部エコーかCTは最低やるべき。専門医がいなくて検査が不十分でも最低入院させて常勤の消化器外科に電話連絡。もし
消化器外科医がいなければ、いる病院へ転送すべき。裏を返せば、消化器外科医がいなければ、激しい腹痛の症例は外来受容が不可能だという事。今後日本では消化器外科医が年々減少していくでしょうから、地域によっては腹痛患者がどこの病院にも受け入れられず時間経過して死亡というケースも増えるでしょうね。
ただ、もしこの医者の言うように43歳男性が腹痛を全く訴えていなければ、初診で虫垂炎を疑うのはほぼ不可能だと言えます。
逆に腹痛がなかったとすれば、なぜこの男性は病院を受診したのでしょうか?高齢者の場合は急性腹症でも腹痛すら訴えないですから厄介。私は発熱と倦怠感とごく軽度の黄疸のみで、実は急性胆嚢炎だったという地雷ケースを2度経験しました。

2010/10/16(土) 午前 9:37 [ NMD ]

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しかしこの男性は初診の遅れは明らかですので、初診直後に腹膜炎〜敗血症になってる経過を考慮すれば「緊急手術をすれば必ず助かったはず」と断言すのは少々無理がありますね。

2010/10/16(土) 午前 10:57 [ NMD ]

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多くのコメントを有難うございます。m(__)m

KIDNEYさんのコメントにありますが、
>これを完全に防ぐとしたら、全ての患者に血液検査やXPとかをしないといけなくなりますね。
実際、私も「念のため」とオーダーする検査は多いです。

しかし、「全ての患者に血液検査やXPをしても」
休日夜間には一人の医師のチェックしか出来ない現状では、
『誤診』をゼロにすることは出来ません。
(なるべく減らすように、日々努力をしていますが…)

今日のYosyan先生の記事でも考察されてますので、
是非ご覧下さい。
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20101016

2010/10/16(土) 午後 1:32 さすらい泌尿器科医

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この病院 消化器科のHP
http://www.hoshigaoka-hp.com/ge/info.html
【当科は2007年3月に医療崩壊を起こし全ての常勤医が引き上げました。しかし2008年4月に新しく3人の常勤医が赴任し、外来治療および入院治療を再開しました。しかしまだまだ人手不足であるため外来診療は「かかりつけ医」からの紹介状をお持ちの患者さんに限らせていただいておりますので何卒ご了承ください。】
この件が起こったのが平成18年11月。この後すぐに医療崩壊されてるようですね。

2010/10/17(日) 午前 10:50 [ まりん ]

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私(小児科医)が数年前に虫垂炎になりましたが、なかなか診断に至らず、1か月ほどダラダラと抗生剤治療を受けた後、突然に壊死した虫垂が破裂し、救急車で搬送されました。因みに夫は消化器内科専門医です・・・。術後も腹膜炎や敗血症のコントロールがつかず、ガンマグロブリンまで使用され、2か月ほど入院しました。虫垂炎は診断が難しく、怖いと病気だと痛感しています。国民の皆さんに医療の限界を知って欲しいです。

2010/10/17(日) 午後 1:42 [ ゆっけ ]

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私も数年前に虫垂炎のOPEをしましたが、朝ひどい腹痛で目が覚め数時間我慢してもひどくなるばかりで受診し、XP、採血、胃カメラまでしましたが採血でもややWBCが高い位でそのままいったん帰りました。帰りのタクシーの中でひどい悪寒がして家に着いたら玄関で倒れて動けず、40度の高熱で家族に救急車呼んでもらい腹部CTでようやく虫垂炎の診断がつきました。

2010/10/18(月) 午後 2:19 [ はく ]

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すでに破裂していました。数時間でCRPも40近く跳ね上がっていました。腹膜炎にまでなったので(γグロブリンまでは使用していませんが)怖かったです。私自身も虫垂炎は割と軽視していたので診断が遅れるとやはり怖いなと思うのと急性腹症の診断をするのはなかなか困難なケースも多いんだなと改めて思いました。
私も抗生剤を内服していたので下手に散らしてしまっていたのかもしれないと言われました。腹部の不快感や軽度の吐き気は1週間位前からあったんですよね…

2010/10/18(月) 午後 2:28 [ はく ]

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虫垂炎を散らす。って、ときどき聞くんですが、どういう意味なのでしょう。

抗生物質などで炎症を抑えるのでしょうか。
1週間くらい、手術を遅らせることが出来るのでしょうか。
それとも、上手に散らすと、治ってしまって、手術不要という場合もあるのでしょうか?
よろしかったら教えて下さい。

2010/10/18(月) 午後 2:38 knob

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まりんさん、
ssd先生の記事にもありましたが
http://ssd.dyndns.info/Diary/?p=7145
ここは580床もある大病院ですが、
廃止になる可能性のあった「厚生年金」病院ですよね…

相当に複雑な事情がありそうですし、今後も心配です…

2010/10/18(月) 午後 5:26 さすらい泌尿器科医

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ゆっけさん、それは大変でしたね…
話を聞いてるだけでも、背筋が寒くなるような経過です。
本当に回復されて何よりです。

>虫垂炎は診断が難しく、怖いと病気だと痛感しています。
>国民の皆さんに医療の限界を知って欲しいです。
まったく同感です。

2010/10/18(月) 午後 5:29 さすらい泌尿器科医

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はくさん、それも「よくある」経過です。
それが何らかの理由で、診断・治療が遅れてしまったのが、
今回の不幸な事例だと思われます。

>急性腹症の診断をするのはなかなか困難なケースも
>多いんだなと改めて思いました。

本当に困難なケースは多いです。
そういう場合は様子を見るしかないのですが、
『結果』が悪かった場合、「あの時こうしていれば…」と、
後からならいくらでも言えますからね…

特に若い女性が私は一番恐いです。
(子宮外妊娠の破裂という、恐怖の疾患が時々…)

2010/10/18(月) 午後 5:40 さすらい泌尿器科医

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knobさん、そういう感じです。

抗生物質で炎症が治まれば、手術不要の場合も多いのですが、
上記ゆっけさんのケースのように、ある日突然破裂してしまう場合もあります。

使用する抗生物質は、だいたい決まってますから、
医師の腕にはそんなに左右されないと思われます。

2010/10/18(月) 午後 5:53 さすらい泌尿器科医

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ありがとうございました。

2010/10/18(月) 午後 6:07 knob

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これは、重大な事例ばかりですよ。枚方署は、拘留された女性と肉体関係に持ち、避妊していない。どう責任取るんですか。

2010/10/21(木) 午後 8:30 [ - ]

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