本件のような行為について,刑事責任を問わないことが,事故調査を有効に機能させ,システムの安全性の向上に資する旨の所論は,政策論・立法論としても,現代社会における国民の常識に適うものであるとは考え難く,相当とは思われない。
そうですか…
この「国民の常識」にかなった最高裁判決が、
さまざまな分野の安全性向上にどれだけ悪影響を及ぼすか…
いずれ後悔する日が来ることになるでしょうね…
「裁判官 宮川光治」、この名前は胸に刻んでおきます。
日航機ニアミス事故、最高裁決定要旨
2010年10月28日22時58分 朝日新聞
日航機ニアミス事故で、管制官2人の上告を棄却した26日付の最高裁決定要旨は以下の通り。
【多数意見】蜂谷秀樹被告が言い間違いで907便に降下指示を出した結果、空中衝突防止装置(TCAS)の指示で降下する958便と衝突する高度の危険性があった。蜂谷被告の訓練の監督者だった籾井康子被告が是正しなかったことも過失行為にあたる。
907便の機長がTCASの上昇指示に従わず降下を続けた事情はあるが、異常操作とは言えず、管制官の降下指示を受けたことに大きく影響されたもので、誤指示とニアミスには因果関係がある。
管制官2人は警報で異常接近を認識しており、TCASが958便に降下指示を出すことは十分予見可能だった。2機が降下を続けて異常接近し、衝突を回避するため急降下などの措置を余儀なくされ、乗客らが負傷する結果が生じることも予見できた。
ニアミス発生の要因として、管制官の指示とTCASの指示が反した場合の優先順位が規定されておらず、航空機の性能が907便の機長に周知されていなかった(そのため、失速をおそれて降下を続けた)事情も認められるが、それは責任のすべてを2人に負わせるのが相当でないことを意味するに過ぎず、業務上過失傷害罪の成否を左右しない。
【宮川光治裁判官の補足意見】今回の事故は2人が管制官として緊張感を持って意識を集中していれば、起こりえなかった。切迫した状況下では、管制官には平時にもまして冷静沈着に誤りなき指示を出すことが求められる。2人は907便から復唱があっても誤りに気づかず、不注意が重なっている。大惨事は間一髪で回避できたが、結果は重大で2人の行為を看過することは相当でない。
ヒューマンエラーを事故に結びつけないシステムの工夫が十分でなかったことは確かだが、情状として考慮しうるにとどまる。事故調査機関と捜査機関の協力関係には検討すべき課題があるが、刑事責任を問わないことが事故調査を有効に機能させ、安全性の向上に資するという議論は現代社会における国民の常識にかなうとは考えがたい。
【桜井龍子裁判官の反対意見】誤指示が職務上の義務に反する不適切な行為であり、ニアミスのきっかけになったことを否定はしない。しかし、事故当時、TCASがいつ、どういう指示を出すか管制官に提供されるシステムではなかったことに照らすと、2人は指示の具体的内容を知ることはできなかった。
TCASの指示に反することは極めて危険な行為で、907便がそれに反して降下を続けたのは、管制官にとって予想外の異常事態であった。従って、過失犯として処罰するほどの予見可能性は認められない。
機長が降下を続けたのは、907便の航空性能情報が機長らに周知されていなかったことや、TCASの指示に反する操作の危険性に対する教育・訓練が不十分だった事情がある。機長の判断は客観的には誤っており、誤指示とニアミスの因果関係は認められない。
航空機の運航のように複雑な機械とそれを操作する人間の共同作業が不可欠な現代の高度システムにおいて、誰でも起こしがちな小さなミスが重大事故につながる可能性は常にある。だからこそ、二重、三重の安全装置を備えることが肝要だ。弁護側は、今回のようなミスで刑事責任を問えば、将来の刑事責任をおそれてミスやその原因を隠す萎縮(いしゅく)効果が生じ、システム全体の安全性に支障を来すと主張するが、今後検討すべき重要な問題提起だ。
朝日の紙面にあった、
医療版事故調の座長でもある、首都大学東京の前田雅英教授(刑法)のコメントを転記しておきます。
被害者や遺族の感情も考える必要もある
ほかの過失犯と比べても妥当。管制官には業務上の注意義務があり、
それに明らかに違反していれば処罰は当然だ
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司法(最高裁など)がどちらを向いているのかが、分かりませんね。
2010/10/29(金) 午後 2:50
>医療版事故調の座長でもある、首都大学東京の前田雅英教授(刑法)のコメント
>被害者や遺族の感情も考える必要もある
医療安全の調査では、遺族や患者の感情を考慮してはいけないことが国際的な標準で、刑罰にむ結びつけることは間違いと認識されています。
医療安全システムへの基本的な認識の欠如・・・・「医療版事故調の座長でもある、首都大学東京の前田雅英教授(刑法)」は医療安全調査の議論の長としては、明らかに不適切であります。
無知で無学です。
2010/10/29(金) 午後 7:14 [ 鶴亀松五郎 ]
反対意見の方がリーズナブルであり感情的情緒的な裁判長よりよっぽどマシです。時代錯誤の日本刑法を学んでる学者など論外です(笑)
2010/10/29(金) 午後 11:50 [ 元外科医 ]
瑞山さん、司法は「国民の常識」に沿って判決を出したそうですが、
これで良いのでしょうかね…
2010/10/30(土) 午後 1:15
鶴亀松五郎さん、諸外国ではそうなっているそうですが、
日本は独自の道を進むのですかね…
>医療安全の調査では、遺族や患者の感情を考慮してはいけないことが国際的な標準
この判決を見ると、そうなる日は永遠に来ないような気がしますね…
2010/10/30(土) 午後 1:19
元外科医さん、われわれや多くの法律家の意見はそうだと思いますが、
「国民の常識」は違うのですかね…(涙)
2010/10/30(土) 午後 1:21
「被告らが緊張感を持って仕事をしていれば、ニアミスは起こり得なかった」
歴史に残る裁判長の言葉ですな。
「裁判官が緊張感を持って仕事をしていれば、冤罪は起こり得なかった」
と言い返すしかないね(笑)
2010/10/31(日) 午前 0:18 [ 元外科医 ]
>被告らが緊張感を持って仕事をしていれば、ニアミスは起こり得なかった
画期的ですね。
最高裁が、
人間がミスをしたら破綻してしまうシステムでもOK。
人間がミスをするのは許さん。
って言っちゃったんですから。
2010/10/31(日) 午後 10:03 [ nya*aj* ]
元外科医さん、こーゆーことですかね。
今回の誤審は○○(裁判官の名前)が裁判官として緊張感を持って意識を集中していれば、起こりえなかった。最高裁判所では、裁判官には地裁・高裁にもまして冷静沈着に誤りなき判決を出すことが求められる。○○(宮川でも可)は弁護側から指摘があっても誤りに気づかず、不注意が重なっている。航空機事故調査システムの崩壊は回避できず、結果は重大で○○(光治でも可)の行為を看過することは相当でない。
最高裁判事(第一小法廷?)の多数は今回の決定に関して批判されるべきです。ちなみに宮川光治(みやかわ こうじ)の他、金築誠志(かねつき せいし)、横田尤孝(よこた もとゆき)、白木勇(しらき ゆう)の3名です。経歴を見ると櫻井龍子(さくらい りゅうこ)は労働省出身の元官僚で、他は全員司法畑出身者というのが興味深いです。(敬称略w)
2010/11/1(月) 午前 11:10 [ rad*o1*09* ]
元外科医さん、人間は過度に緊張すると
逆にミスが増えるような気がしますけどね…
裁判長は違うのでしょうね。
2010/11/1(月) 午後 1:22
nyamajuさん、
>人間がミスをするのは許さん。
たまらないですよね…
私はミスを根絶するのは不可能ですから、
ミスが重大な結果に繋がらないような環境を、
作り出すしかないのでしょうね…
2010/11/1(月) 午後 1:28
rad*o1*09*さん、そういう背景があるのですか…
最高裁は現時点では誤審だとは思っていないでしょうが、
後世の日本人に何と言われることになるでしょうかね…
2010/11/1(月) 午後 1:34
うろうろ先生
週末に司法の道へ進んだ友人と話をする機会があったのですが、最高裁の判断への友人の感想は「あーあ、やっちゃった」でした。難しい法理論はさっぱり解りませんでしたが、彼の言う事には「最後は裁判官個人の価値観」とのことでしたから、最高裁(第一小法廷)の多数派の価値観は推して知るべしでしょう。
この判決で医療事故調の実現は無くなったと思います。また、生死に関わる高度の専門性を持った職種の崩壊への決定打(というかとどめ)だと感じています。
2010/11/1(月) 午後 8:59 [ rad*o1*09* ]
もう、インシデント報告なんか
もってのほかですね。
2010/11/2(火) 午前 1:17 [ nyamaju ]
「司法の立場で」再発防止を図ろうとしたら、こうした判断しかないのかもしれません。
安全性の向上に関する取り組みは、「行政」がもっと積極的にならなければ進みませんし、ミスを活かすシステム作りには「立法」の問題が大きいのでしょう。
しかし、行政も立法も具体的な動きがない以上、命に関わるような職場では委縮が進んでも仕方ないのでしょう。
2010/11/2(火) 午前 7:51 [ はにほ ]