うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

泌尿器科の日常

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その1から続きます。
 【問題を知る場が欲しい】

 私たち一般のものがこのような問題について冷静に考える機会や分娩場所の選択に必要な情報をしっかりと伝えてくれる場所は現在皆無と言っていい状態です。一方で自然出産は無条件に素晴らしいとするテレビ番組や書籍やネットからの情報は氾濫しています。助産師や、時には医師の方からもそのような説明、話があるくらいです。また、たまたま助産院や自宅出産で無事に済んだという友人知人に影響され、医療により母子の命の死亡率が世界一低くなっていることを十分に把握せずに「女性には産む力がある」「医療の介入するお産は不自然で、暴力的なお産だ」と信じてしまっています。本来はしっかりとしたリスクの説明をするはずの助産師から出産のリスクが語られることがなく、助産師が指導するのだから安全に決っていると信じてしまい、実は非常に危険な出産をしていたということを後で知るということがあります。いくら順調な妊娠経過でも、分娩中にいつでも危険な状態が起こり得ます。そうなったらどう対応できるかなどを知った上で分娩場所を選択するということ、一番初めに危険に晒されるのは、これから生まれてこようとしている小さい命だということを、親となる自覚としても知っておくべきだと私は思いますが、このような情報になかなか出会えなくなってしまっています。そのことが妊娠、分娩を軽く扱う風潮に拍車が掛かっていると思います。

【早急に求めること】

(1)助産師は医療の監督を受けるべき

 まず、上記(3)-2の出張専門助産師であっても、嘱託医は必須と、医療法で義務化して欲しいです。何故出張専門だと嘱託医が不要なのかは疑問です。そして、どの形態であれ、嘱託医になられた医師の方に助産師が妊産褥婦にどのような指導をしているのかも把握(監督)して頂きたいと思います。出産のリスク、特に助産院や自宅出産を選択することによって生じるリスクもあるということ等、指導・説明は医師の方、病院の方でして頂けるように徹底して欲しいです。妊婦健診で前期後期の2度しか嘱託医に会わないという妊婦もいて、助産師との親交は深く、その影響力は甚大です。もしもその助産師が医療から遠退く思想に嵌っていれば、妊産婦もその方向にいってしまいます。このような状況のなかで医療の介入を否定する気持ちが出来、搬送を決断すべきタイミングがあっても、「なるべく病院には行きたくない」という暗黙の了解になってしまうこともあるようです。
 助産師には単独の開業権があるのだから、そもそも嘱託医を持たないといけないという考え方がおかしいのだという意見もあるようですが、このようないいかげんな状況があるのに本当大丈夫でしょうか?現状では助産師の思想や哲学、実際に行っている施術や説明に監視の目がない状態ですので、助産師がどのような説明をして親に選択させているのかが疑問です。ビタミンKに関する日本助産師会の報告にも、ビタミンK投与とホメオパシーのレメディの説明をして、親がレメディを選んだからビタミンK投与をしなかったということが書かれています。しかしながら、そもそもホメオパシーを選択肢にあげること自体がおかしいという認識が日本助産師会にも欠けていると思います。

(2) 搬送の問題、周産期医療の一部という自覚を

 私たち妊産褥婦の多くはいざとなったら搬送して欲しいと思っておりますし、搬送してもらえると思っております。そのいざという判断が遅く、お子さんが亡くなったという報告もあります。実際に搬送となる場合には嘱託医だけではなく搬送先となる2次・3次医療機関などの提携医も重要な存在です。地域の医療機関との信頼関係がうまく築かれていないと搬送に手間取ることもあるようです。子供の脳への障碍を考えると、一刻の猶予もない状況の場合もあります。このような搬送の問題も含めて助産所分娩や自宅分娩での事故の調査をしっかりとして把握して改善していくことに努める義務があるはずだと思っています。
 助産所や自宅出産は、崩壊した産科医療を支える担い手だといわんばかりの声援、意見があります。しかし実際にそういえる状態ではないようです。搬送を受け入れる医師からは判断が悪い(遅い)という意見もあります。反医療の思想を強く持つ助産師の存在等、医療の崩壊の担い手と言いたくもなります。

 開業助産師には改めて、医療者であるという自覚を持ってもらいたいです。地域の周産期医療体制に組み込まれる信頼関係を築くべきだと思います。助産師業務ガイドラインの遵守を徹底し、嘱託医・日本産婦人科医会・日本産科婦人科学会・厚労省にも厳しく監督して頂き、そして出張専門助産師も嘱託医を持つことを義務化してもらいたいです。また、自宅での水中出産等、衛生面での問題の実態調査をし、もっと徹底して監督されるべきだと思います。

 一連のホメオパシーの問題の中で、約1割の助産所でビタミンKの代わりにホメオパシーを投与していたことが日本助産師会の調査でわかりました。標準医療を無視した行為が数か所ではなく414施設中36か所もあったという事実は、助産院の安全性に関する問題は、一握りの施設ことではないと思わざるを得ません。このような助産院や自宅出産の問題を、多くの方たちにもっと知っていただき、母子の安全のためにできることをしていって欲しいと願っております。
http://medg.jp/mt/2010/11/vol-338.html#more

しかし産科学会は「吉村医院」の映画の上映を放置して良いのですかね…


(追記です、自宅出産が他の先進国と比べて多いオランダでこういう報告があったそうです)
オランダ、出産時の赤ちゃんの死亡率高く
2010/11/03 Wed 11:29  ポートフォリオ

オランダは、妊娠時および出産時に死亡する赤ちゃんの率は欧州でもかなり高いほうに属する。これは助産婦による自宅出産に関連しているのではないかというユトレヒト大学病院での調査の結果が発表された。 

調査によれば、リスクの少ない妊婦が自宅で助産婦による出産をした場合の赤ちゃんの死亡率が高い。リスクが高いため産婦人科医の立会のもとで出産した場合の2.3倍という死亡率である。さらに、自宅出産中に病院に搬送された場合にはこの数字が3.7倍に跳ね上がっている。 
調査を行った大学病院では「おそらく、リスクの査定基準が間違っており、実際には産婦人科医の元で出産すべき人がリスクがないとして自宅出産を選んでいる可能性がある。」と見解をだしている。 

今年度の国家予算には、乳児の死亡率を下げるために2400万ユーロの予算が計上されている。
http://www.portfolio.nl/article/show/3808

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以前、愚ブログにも書きましたが、琉球大学保健学科みたいな存在がこういう事態を引き起こすんだと思います

2010/11/5(金) 午後 1:19 KIDNEY

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問題点をしっかり押さえ、お子さんを無くされたにもかかわらず冷静な良い記事だと思います。
トンデモさんを持ち上げているのだからまあ無理でしょうが、マスゴミには見習ってほしいものです。

2010/11/5(金) 午後 2:03 [ rad*o1*09* ]

お産に限らず、いい加減な医療情報が氾濫することも原因ではないでしょうか。まぁ、これも「自己責任」社会なのでリテラシーを養うしかないのかもしれませんが。しかし、筆者も述べてるように、それは酷というもの。
しかし、嘱託医の問題ですかね。病院だって、駆け込み異常妊娠妊婦でごった返してる。助産院で洗脳された厄介な妊婦をみてる余裕はないでしょう。搬送拒否されまくる現状は想像できます。したがって、搬送したがらない。
しかし、今時たかが逆子で死産・・心中察するに余りありますね・・

2010/11/5(金) 午後 2:25 あい

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琉球いいかげんすぎ
サヨクと沖縄は最低のコラボ

2010/11/5(金) 午後 3:05 にきいた

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KIDNEYさん、ホメオパシーの話ですね。
まあ、琉球だけの話ではないですからね…

個人的には(ブログ記事にしそびれましたが…)
こういう会陰縫合にこだわる指導的立場の助産師や、
「自然なお産信仰」の医師が嫌いです。
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81434

2010/11/5(金) 午後 4:02 さすらい泌尿器科医

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rad*o1*09*さん、
マスコミも琴子の母さまの叫びに耳を傾けて欲しいものですが…

2010/11/5(金) 午後 4:57 さすらい泌尿器科医

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あいさん、何でもかんでも「自己責任」で、
患者側に責任を押し付けてしまうのは酷ですよね。
(最近も、某所でカリスマ医師を過信してしまった不幸な話がありましたが…)

助産院は医療行為はほとんど出来ないのですから、
本来は、急変時に搬送を受け入れてくれる高次医療機関を
「嘱託医」として確保した上で分娩に臨むべきなのですが、

何故、信頼関係を築けないのか、よく考えて欲しいものです。

2010/11/5(金) 午後 5:10 さすらい泌尿器科医

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琴母さまがお忙しかったのはこちらの記事の件もあったのでしょうか。
実名での寄稿をされた勇気を尊敬します。
例の映画もそうですが、最近記事になっていた「マタ旅ブーム」とやらにも医学会からなにか注意喚起してほしいです。

2010/11/5(金) 午後 5:31 [ cha*o*ile05** ]

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chamomileさん、肝心の琴母さまのブログでの紹介は無いですね…
お忙しいのでしょうね。

マタ旅がブームなのかどうかは謎ですが(笑)
こっちは全国公開の映画ですからね…

放置してて良いのでしょうか?

2010/11/5(金) 午後 6:08 さすらい泌尿器科医

こんなひどい助産所での新生児死亡があるなんて。
本当に涙がでます。
助産師として、無事に赤ちゃんを産ませることが第一のはずなのに。
先生がリンク貼られている記事もひどいですね。
助産師が会陰縫合をすることを推奨する医師もいるのですね。
あきれてものも言えません。

2010/11/5(金) 午後 6:19 じゃすみんちゃ

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じゃすみんちゃさん、こういう避け得る死は何とかしたいですよね…
琴子の母さまの勇気が、少しでも多くの人に届いて欲しいものです。

>助産師が会陰縫合をすることを推奨する医師もいるのですね。
自分で指導したり、フォローするのでなければ、
絶対に止めて欲しいものですね。
http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/searchdiary?word=%2A%5B%B2%F1%B1%A2%CB%A5%B9%E7%BD%D1%A4%CB%A4%C4%A4%A4%A4%C6%A4%CE%B0%D5%B8%AB%5D

2010/11/5(金) 午後 6:29 さすらい泌尿器科医

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こんばんは。リンク先をツイッタに貼らせていただきました。
微力ながら、ひとりでも多くのフォロワーさんに見ていただけたら…と願っています。
実名寄稿に、心から敬服いたします。

2010/11/5(金) 午後 8:35 銀河

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sippoさん、私もツイッターに貼っておきました。
(使い方が違うような気も…)

どうも有難うございます。m(__)m

2010/11/6(土) 午後 2:04 さすらい泌尿器科医

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http://d.hatena.ne.jp/jyosanin/20101108/1289198091
載りましたね。
この積極的な取り組み、つくづく尊敬します。

2010/11/9(火) 午前 7:32 [ はにほ ]

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はにほさん、本当に素晴らしいですよね。
今後とも応援して行きます。

2010/11/9(火) 午後 2:06 さすらい泌尿器科医


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