うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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TVでは「かわいそうな患者とヒドイ病院」とやれば外れはない

2010年11月5日(金)10時0分配信 NEWSポストセブン 

 報道では患者はいつも「かわいそうな被害者」だ。病院側の事情は一切考慮されず、どんな状況であっても患者をすべて受け入れ、ミスを犯してはならないと迫られる。1999年に発生した「割り箸死」事件報道を振り返って、ジャーナリストの黒岩祐治氏が検証する。

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 11年前、転倒した4歳の保育園児が割り箸を喉に刺して死亡した事故。その第一報を受けて、当時、夕方の『FNNスーパーニュース』(フジテレビ系)のキャスターだった私は、怒りを込めて次のようにコメントした。

「どうしてドクターはCTスキャンなどしなかったんでしょうね。信じられませんね。そういう基本的なことさえキチンとしていればこんなことにはならなかった。ご遺族の気持ちを思うといたたまれないですね」

 それから9年後、いったん逮捕された担当医師の無罪が確定した。私のコメントは的外れだったことになる。かつての自分自身のコメントをどう総括するべきなのだろうか?

 私自身、ずっと心に引っかかっていた。医療は自分の得意分野などとなまじ自負していたことがアダとなった。医療とマスコミを論じる上で、当事者であった自分自身から目をそらすわけにはいかない。

 1999年7月、東京都杉並区の盆踊り大会に参加していた杉野隼三君が転倒し、綿あめの割り箸が喉に刺さった。救急車で杏林大学付属病院に運び込まれたが、医師は傷口に消毒薬を塗って痛み止めの薬を渡しただけで、家に帰した。

 翌朝、隼三君は自宅で容態が急変し、再び救急車で運ばれたが、死亡した。司法解剖の結果、7.6センチの割り箸の切れ端が小脳にまで達し、頭蓋内損傷を起こしていたことが分かった。

 病院側は過失を認めなかったが、警察は医師を業務上過失致死容疑で逮捕した。テレビは連日、大きく取り上げた。母親が遺影を前に涙ながらに語る姿はニュースだけでなく、ワイドショーの格好のネタとなった。

 可愛い盛りの4歳でこの世を去ったかわいそうな隼三君、突然最愛の息子を失った悲運の母親、脳に刺さった割り箸を発見することもできなかったヤブ医者、杜撰な診察、お粗末な病院の現状……。

 ストーリーが完成するのに時間は必要なかった。私自身、第一報のニュースからそのストーリーを何の疑問も持たないまま、受け入れていた。
 
 かわいそうな患者とヒドイ病院。勧善懲悪の時代劇さながらに、その定型的な構図はあまりにも分かりやすい。病院が過失を認めなかったとなると、巨大な組織が弱い個人を痛めつけるという典型的な構図がさらに鮮明になる。マスコミは弱者の味方ぶるのを最も得意とするところであるから、その流れに乗じていれば、外すことはない。

 報道が社会の改善につながることはマスコミ人として職業冥利に尽きるが、果たして純粋にそういう意識の下で取材活動をしているかは自省すべき問題である。

 特に記者クラブの記者は、そういう発想をする余裕もなく、目の前のニュースに追い回されるのが常だ。そして前述のような単純な構図の報道が出来上がる。
 
  患者が病院をたらい回しにされて死亡した事件などで使われるたらい回しという表現自体、病院側の“受け入れ拒否”であって、ヒドイ病院というニュアンスが込められている。病院側からすれば、“受け入れ不能”なのだ。
  
 割り箸死亡事故は裁判の結果、「特異な事例で医師が想定するのは極めて困難」「治療しても延命の可能性が低かった」として、医師は無罪となった。

 まさかそんな結果になるとは私自身、想像もしていなかった。我々は割り箸が脳に刺さっていたという結果を知った上で判断していた。だからこそ医師の対応に「信じられない」という言葉を軽々しく使えたのだ。

 医師が4歳児への問診の中でどこまで類推しうるものなのか? そういう想像力を私も働かせず、素人判断でコメントしていたのである。その危うさに気づいていなかった私自身、「知的な劣化」といわれても仕方がない。

※週刊ポスト2010年11月12日号
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/postseven-20101105-5062/1.htm

こうして冷静に検証している黒岩氏の姿勢には好感が持てます。
(NATROM先生には酷評されていますが…)

報道では患者はいつも「かわいそうな被害者」だ。病院側の事情は一切考慮されず、どんな状況であっても患者をすべて受け入れ、ミスを犯してはならないと迫られる。

最近は「たらい回し」報道の頻度は明らかに減少していますが、
訴訟となれば、「時間外」だからという言い訳は認められません…

また、帝京大多剤耐性アシネトバクター事件のように、
大手マスコミは『ヒドイ病院』や医師をバッシングするチャンスを虎視眈々と狙っています。

我々は割り箸が脳に刺さっていたという結果を知った上で判断していた。だからこそ医師の対応に「信じられない」という言葉を軽々しく使えたのだ。

これが、われわれを悩ます後知恵バイアスというものです。
ただ、その存在を知っているかどうかで、発言内容はかなり変わってくるはずです。

マスコミは弱者の味方ぶるのを最も得意とするところであるから、その流れに乗じていれば、外すことはない。

昔は外すことはなかったのでしょうね…

それが通じなくなったのは、ネット議論の隆盛によるものだと、私は考えています。

大野病院事件大淀病院事件、そしてこんにゃくゼリー事件なども、
昔ならマスコミの全面バックアップによって、(被害者側が)勝利してたのでしょうね…




閉じる コメント(34)

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あいさん、本当に「今後に繋がるような理論を展開して欲しい」と私も思います。
なかなか簡単ではないのでしょうが…

>そんな謙虚さがあればおもしろおかしい、
>視聴率の取れるコメントはいえなくなるんでしょうけどね・・
テレビをつけると、「おもしろおかしい」お笑いタレントばかりが
目に付きますよね…

その程度の国民性なのかもしれませんが…

2010/11/25(木) 午後 4:07 さすらい泌尿器科医

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にきいたさん、それは本来は医師しか見れないはずの
m3掲示板を無断でコピペした有名な本ですね。(笑)

>なんにしろ医療はスタッフが足らないのが最大の問題だと私は思う
患者・家族側の要求水準に対してスタッフ数が足りないのは、
間違いないと思います。

お金をかけてスタッフを増やすのか、アクセスを制限するのか
今後はどうなりますかね…

2010/11/25(木) 午後 4:15 さすらい泌尿器科医

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寿さん、本当に難しいですよね。
「時にはジャッジを間違えることもある」のが人間だと、私は思っています。

なるべく間違えないように、努力を続けるべきですが…

2010/11/25(木) 午後 4:17 さすらい泌尿器科医

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nekopさん、私も黒岩氏の勇気には好感を持ちました。
文章に残した点も素晴らしいと思います。

2010/11/25(木) 午後 4:19 さすらい泌尿器科医

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oyunamさん、何でもそうですよね。
いろいろな立場で想像すべきなのでしょうね。

2010/11/25(木) 午後 4:22 さすらい泌尿器科医

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kak*t*ba*aさん、この複雑な社会では、
一方的な「悪」や「善」というものは、なかなかありませんよね。

マスコミが「解り易さ」を追及すると、
単純な善悪のレッテル貼りになり易いのでしょうね。

2010/11/25(木) 午後 4:26 さすらい泌尿器科医

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NMDさん、私も中立かと言われると…(汗)

>マスコミに過剰に煽られた挙句、「医者が全面的に悪質だ。裁判に絶対勝てる」という誤った確信認識をもってしまった患者側こそが最大の被害者でしょうね。

医療ではないですが、マンナンライフ訴訟なんかはその典型のような気がします。
今後はどう扱うのでしょうね…

>事件の当該医師は去り、代わりの医師など絶対に来るはずもなく
大野も大淀も、未だに「代わりの医師」は来ないようですね…

2010/11/25(木) 午後 4:29 さすらい泌尿器科医

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当事者だったと認めている割に、N医師への謝罪の言葉が一言も無いのはアララという感じがしましたがね。週刊ポストが編集、カットしただけかもしれませんが。

2010/11/26(金) 午前 11:27 [ あぽ ]

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割り箸事件に限らず、早い時期からマスゴミの論調に異を唱える専門家の意見(それもデータに基づいた真っ当なもの)があり、それを敢えて無視してメディアスクラムを行った事への反省や、判決確定後もセカンドレイプとも言うべき偏向放送を行ったマスゴミ仲間についての批判はないのでしょうか。それに被告とされた耳鼻科医師への謝罪も。無いのであれば黒岩氏はきっとまた同じ様な事をするでしょう。

2010/11/26(金) 午後 1:57 [ rad*o1*09* ]

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マスコミのおかげで救急、産科を初めとする医療もズタズタに壊れましたし。
こんな駄文が免罪符となりえません。

2010/11/26(金) 午後 2:33 [ gen*ik*wa*so ]

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九州の「爪切り事件」で無罪が確定した方と弁護士の言葉です。(キャリアブレインの記事からの引用です。)
以下引用
(看護師さん) 看護師の中でさえ、爪のケアについて知らない方がいます。ネットの場合、あくまで一般の方が自分たちのイメージで書き込んでいるのでしょう。それは個人の自由ですが、報道する側は、やはりそれなりの知識というか、情報を持って、それを精査した上で書いていただきたいと思います。
(弁護士さん) 報道機関はニュースバリューが大切なわけだから、物事を面白おかしく報じる。メディア側の心理としては、それが「虐待」だとして、特ダネとしてそれを広めた方がいいわけです。ただ、それが世の中のためにならない場合も多々あって、逆に冤罪を生み出す可能性もある。事実は違うかもしれないから、専門の先生にきちんと判定を仰ぐとか調査報道とかいうような、反対側の情報整理が非常に大切だと思います。

2010/11/26(金) 午後 3:48 [ rad*o1*09* ]

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確かに、被告医師への謝罪の言葉は無いですが、
下手に謝罪すると責任を追及されたりしますので
難しいのではないでしょうか?

>報道する側は、やはりそれなりの知識というか、
>情報を持って、それを精査した上で書いていただきたい

>事実は違うかもしれないから、専門の先生にきちんと判定を仰ぐとか調査報道とかいうような、
>反対側の情報整理が非常に大切だと思います。
そういう意識を持って報道して頂けると有難いですよね。

2010/11/26(金) 午後 3:57 さすらい泌尿器科医

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(記事が事実ならば)司法でも後だしが平気で行われている様です。
http://news.livedoor.com/article/detail/5180287/

2010/12/3(金) 午前 9:56 [ rad*o1*09* ]

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1年周回遅れのコメントだけど。

へぇ〜黒岩氏って、こんな客観的に自己批判できる人なんだぁ〜
成長したねぇ〜

実は15年ぐらい前、黒岩氏と直接話した事あるんですよ。
当時働いていた病院に取材に来たので。
あっ別に医療事故を起した訳じゃないですよ(^^;;;

その当時から黒岩氏にはあまり良い感情を持ってなかったので
あえてちょっと意地悪な質問をしてみたんです。
そうしたら、さらっと華麗に流されてしまいましたね〜

どんな質問だったかは、自分でも忘れちゃったけど
その時のネガティブな印象だけは脳裏に焼き付いてます。

2011/11/23(水) 午前 0:48 [ me_ns ]

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割り箸死亡事故は裁判の結果、「特異な事例で医師が想定するのは極めて困難」「治療しても延命の可能性が低かった」として、医師は無罪となった。

救命不可能であったから、無罪となった可能性が残る。裁判所判断だったわけですが。 仮に小脳を微細に損傷して、失血微細に続いていた場合は、裁判所判断はどうであったか。 背筋も凍るわけです。

黒岩氏は、勤務医に関しては、認識を変えたようですが、いまだ、開業医に関しては以前の論と見受けられます。 パンデミックワクチンでも、優先順位を決めておく事に反対の姿勢のようですし。報道関係者は一番最後で良いとは絶対に言わないでしょうしね。

2011/11/24(木) 午後 2:07 [ omizo ]

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どうも、、この大淀病院事件をきっかけに、多くの医療業界での悪しき結果をもたらすこととなり、判決にせよ、また、実際の医療行政上のファシズム化に繋ぐ事件ともなったという意味で、病院側もまたその地域住民にとっても、そして今回の被害者とされる女性にとっても、最悪の結果をもたらし、喜ぶのは、もし?日本侵略テロリストらが阪神大震災以降、牙をむきだしてきてるとすると?(笑)、彼らの一方的勝利だという意味で、毎日も、おそらく?スクープしなければ、この事件は闇にふされていたでしょうし、日本人三者ともに互いに戦い合わせられ、互いにそれぞれ傷ついた事件だという風に、私には思える。。つづく

2014/9/10(水) 午前 3:35 [ takokuro ]

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大淀は友人の実家で、歴史深い、薬水の梨を私は思い出し、その山深い様は、昔から小説にもなっている。
結果からバクロすると、、
この住民たちの医療をになっていた病院が閉鎖に追いやられ、この時期から、古くからの住民は、脳梗塞などで倒れることが頻発しだし、
そして、、和歌山との間に山が崩され、大きな道がつけられた。
奈良医大には、カルテや資料のデジタル化コンピュータ化が、徹底され、つまり、、、主治医の所見よりも、検査結果として出されるデジタル資料が診断や治療、処方の根拠とされる昨今の医療体制を作り上げてしまってるのではないか?つづく

2014/9/10(水) 午前 4:08 [ takokuro ]

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検査結果をコンピューター上で出して、書類化されないということは、しばしば、書面化していた時代にくらべ、その検査が、何月何日何時何分の誰が担当して、所長の誰が責任を持って報告する検査結果であるということが、患者側に伏せられたままであることも、あり得るため、
また、パソ上ですから、IDカードさえ医師や看護婦から奪えば、簡単に改ざんもしうるし、証拠もただ、デジタルとしてしか残らず、筆跡や改ざんした痕跡や、時間さえも殆どかからないという診断基準にする根拠にしては、非常なリスクを持つことになる。。
奈良医大の医師が派遣されてる病院に少なからず、影響を、人事面でも及ぼしてるはずに思える。。?つづく

2014/9/10(水) 午前 4:10 [ takokuro ]

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デジタル情報は画像診断、放射線科検査室でその技術は世界で最高の予算がかけられ、技術を駆使してるのが、防衛費からも転用され得た画像診断最新鋭機器と技術であるということ。また、同時に被爆国として、放射線業界には、見えない利権や取引が絡みついてきたとすると、、、想像しすぎかな?苦笑
ともかく、、8才も姉さん女房に先立たれ、幼い父子の生活は、ただでさえ!乳飲み子を抱えた中で、裁判をする苦労は、想像を絶するにあまりがあり、どうして?主治医は、出産は、大学病院など設備のあるところですると担保したアドバイスをしなかったんだろうと、ほんのちょっとした気遣いで、大きな悪影響を防ぐことが可能だったはずなのに、悔しく思う。。つづく

2014/9/10(水) 午前 4:17 [ takokuro ]

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そして、妊娠促進剤の苦しさの結果の脳出血とすると、、
担当した看護師か医師かの不注意か悪意があった可能性もあり、
拷問に近いことをしたわけで、ナチ的な感性を持っていたのではないか?例え!救命できるような事態でなくても、自分たちの気づかいで回避出来得たかもしれない死亡事件に平気でいて、テキパキ動かないというのが、何かしら、異常な状況が病院側にもあったのかもしれないと気になる。。
もう一度、繰り返すが、、この頃から、奈良と和歌山の近畿一番の深山、大峰山脈霊山ですが、切り崩され、高速道路工事がどんどん進んでいく。。日本の原風景を守ってきた関西の森の山の代表格ですよ!
水も田んぼも畑も海も守ってきた山ですよ。森ですよ。
テロ側に染められないで。と願いたい

2014/9/10(水) 午前 4:20 [ takokuro ]


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