うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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この事件の詳しい経過は、佐藤先生のブログ記事などをご参照下さい。

ご遺族には「言い値」で示談金が払われた(らしい)ことを考えると、
「200万円の解決金」という金額は残念ですが、
1審が「時効成立のため請求棄却」ですから仕方がないのでしょうね…

それよりも、女子医大に

控訴人が7年間に及ぶ刑事裁判で刑事被告人の地位に置かれ、心臓外科医としてのキャリアを失うなど重大な苦痛を受けるに至ったことについて衷心から謝罪する。

と謝罪させたことは大きいですね。

佐藤先生、本当にお疲れさまでした。m(__)m




東京女子医大が謝罪=「事故報告書は誤り」―無罪医師と和解・東京高裁
時事通信 1月6日(木)17時51分配信

 東京女子医科大学病院(東京都新宿区)で2001年、心臓手術を受けた小6女児が死亡した医療事故をめぐり、機器の操作ミスが原因だとする調査報告書で名誉を傷つけられたなどとして、刑事事件で無罪となった佐藤一樹医師(47)が大学と元院長に損害賠償を求めた訴訟は6日、東京高裁(園尾隆司裁判長)で和解が成立した。大学側が報告書の誤りを認め、謝罪した。
 原告側代理人によると、高裁が昨年12月、和解案を提示。和解条項には200万円の解決金支払いも盛り込まれた。
 大学の報告書は、佐藤医師が人工心肺装置のポンプの回転数を上げたままだったことが原因と結論付けていた。昨年8月の一審東京地裁判決は「佐藤医師の過失は否定されるべきだ」と指摘する一方、損害賠償請求権の時効(3年間)を理由に請求を棄却した。
 佐藤医師は業務上過失致死罪で逮捕、起訴され、09年に無罪が確定した。和解後には「報告書を基に起訴された。全国の医師には、医療事故の『内部報告書』の危険性を検討してもらいたい」とのコメントを出した。
 東京女子医科大広報室は「今後も安全で高度の医療を提供する大学病院として一層努力する」としている。

m3には、もう少し詳細な内容がありました。
医師の名誉毀損裁判で和解成立、東京女子医大事件

大学が「衷心から謝罪する」と表明、和解金は200万円

2011年1月6日 橋本佳子(m3.com編集長)

 2001年3月の東京女子医大事件で、無罪が確定した医師、佐藤一樹氏が、同大学と元院長の東間紘氏を名誉毀損と不当解雇で訴え、未払いの賃金の支払いも含め、計約3280万円の損害賠償(一審の段階では、被告(大学と東間氏)に5500万円、大学に約1900万円など)を請求していた裁判で、1月6日、東京高裁で和解が成立した。

 和解は、大学側が「衷心から謝罪する」とともに、200万円の和解金を支払う内容(文末を参照)。2010年8月の東京地裁判決では、佐藤氏の訴えを退けたため、佐藤氏は控訴していた(『医師が名誉毀損裁判で敗訴、東京女子医大事件』を参照)。

 和解した理由について、佐藤氏は、「大学側の謝罪と金銭解決という枠組みを求めており、それに沿った内容だったため。本件訴訟の控訴審まで、『内部報告書』の誤りを認めようとせず、謝罪する姿勢を全く見せなかった被告側(女子医大側)が、弁論が進むにつれ一転して態度を改め、誤りを認めた上で、『衷心から謝罪する』という文言を和解案に入れたことを評価する」と説明。

 その上で、「女子医大が作成した『内部報告書』を基として、逮捕・勾留・起訴され刑事被告人として7年間筆舌に尽くし難い辛苦を経験した。この事実を全国の医師に広く知っていただき、もう一度、医療事故に対する『内部報告書』の危険性について検討してほしい」と佐藤氏は強調する。

 代理人弁護士の二関辰郎氏は、「実質的に勝訴と言える内容と言っていい。仮に判決という形になり、大学側の法的責任が認められても、200万円という損害賠償の金額自体には大差ないだろう」とした上で、「判決とは異なり、和解で謝罪の言葉が入ったことが大きい。通常の和解では、『遺憾の意』といった表現にとどまることが多いが、今回は『衷心から謝罪する』という言葉になっている」と和解を評価する。

 なお、東京女子医大側は、今回の和解に対し、「今後も、安全で高度な医療を提供する大学病院として一層努力してまいります」とのコメントを出している。

 控訴審では時効は問題とされず

 東京女子医大事件とは、2001年3月、当時12歳の女児が心臓手術後に死亡した事件。人工心肺装置の操作を担当した佐藤氏が、2002年6月に業務上過失致死容疑で逮捕、同年7月に起訴された。同年8月に、同大は、佐藤氏を諭旨退職としている。しかし、2005年11月の東京地裁判決、2009年3月に東京高裁判決ではともに無罪とされ、確定している(『院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件』、『女子医大事件と大野病院事件の二つの共通点』を参照)。

 佐藤氏が言及した「内部報告書」とは、佐藤氏の逮捕・起訴のきっかけとなった、2001年10月の「死亡原因調査委員会調査報告書」。同委員会は、当時は副院長で泌尿器科教授だった東間氏をはじめ計3人で構成。

 2010年8月の東京地裁判決では、「内部報告書が、原告(佐藤氏)の社会的評価を低下させることは明らか」などとし、「調査報告の誤りの程度は重大である」としたものの、佐藤氏の提訴時期が遅れ、時効が成立していると判断。ただし、諭旨退職については、違法ではないとされた。

 控訴審では、時効は問題とされず、二関氏は、「第1回期日の際に、『時効で切った一審の扱いは、本事件の対応としては適切ではない』という趣旨のことを裁判長が言っていた」と説明する。

 「内部報告書は当事者の確認が必要」が教訓

 佐藤氏は現在、都内で開業しており、医療事故関連の講演も行っている。その際、常に強調するのが、「内部報告書」の取り扱い方だ。

 「内部報告書の作成に当たっては、当事者の意見を聞くことが不可欠。さらに、内部報告書をまとめた段階で、当事者に見せ、それに同意するのかを確認する。異論・反論がある場合には、その意見を付記した形で報告書をまとめる対応が必要」(佐藤氏)

 なお、佐藤氏は、女子医大に対して、2006年6月2日に公開質問状を送付している。「内部報告書」を問題視するほか、事件そのものに対する大学側の責任を問う内容だが、「確かに今回、大学側は謝罪したが、公開質問状を再読してもらいたい。改めて回答を求めたいと思っている」と佐藤氏は話している。

【和解条項】
1. 被控訴人らは、控訴人に対し、被控訴人らが作成した平成13年10月3日付「故平柳明香殿死亡原因調査委員会調査報告」に、控訴人による人工心肺の操作が患者の死亡原因であるかのような誤った記載内容があったことを認め、そのことを契機として、控訴人が7年間に及ぶ刑事裁判で刑事被告人の地位に置かれ、心臓外科医としてのキャリアを失うなど重大な苦痛を受けるに至ったことについて衷心から謝罪する。
2. 被控訴人らは、前項の趣旨を踏まえ、本件紛争を話合いにより、円満に解決するための金員として、控訴人に対し、連帯して200万円の支払義務のあることを認める。
3. 被控訴人らは、平成23年1月31日限り、控訴人に対し、連帯して前項の金員を控訴人の指定する銀行口座に振り込む方法で支払う。
4. 控訴人および被控訴人らは、控訴人と被控訴人らとの間には、本件に関し、本和解条項に定めるほかには何らの債権債務のないことを相互に確認する。
5. 訴訟費用は、第1、2審とも各自の負担とする。



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「内部報告書は当事者の確認が必要」が教訓

まったくその通りですね。

「100%納得しなければ供述調書には決して署名をしない」ことと合わせて、冤罪を免れる教訓にすべきだと思います。

閉じる コメント(6)

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これは「冤罪」みたいなものですね。
結果が悪ければ全て現場にいる医者の誰かに擦り付けとけて尻尾切り
みたいな事をしてるから急性期医療はどんどん崩壊していく。
心臓外科を志すものはおろか外科医志望者が激減するのも当然ですね

2011/1/7(金) 午後 5:42 [ NMD ]

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NMDさん、この事件はまさに冤罪だと私は思っています。

こういう「とかげの尻尾切り」体質が、
医局制度の衰退とともに消滅してくれると良いのですが…

2011/1/8(土) 午後 2:25 さすらい泌尿器科医

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民事損害賠償訴訟は金で解決する。ですから、真実をともちがいますから。謝罪は必要ないことも。 感情論の方はまだくすぶっていますし。

2011/1/17(月) 午前 11:37 [ omizo ]

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omizoさん、確かに訴訟において、謝罪は必ずしも必要ないと思います。

ただ、数千万円の賠償金より、謝罪させることに意義を見い出すのも、一つの考え方だと思います。

2011/1/17(月) 午後 7:25 さすらい泌尿器科医

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謝罪を求めることは、こちらの首が絞まる可能性もありますので、和解金を払わせたということで、言うことでしょう。 刑事訴訟で女子医大は大恥かいてますから。 死因究明のための解剖さえ出来ない事のほうが遥かに問題ありでしょう。

2011/1/17(月) 午後 7:49 [ omizo ]

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omizoさん、この事件で解剖が行われなかった理由は不明ですが
http://blog.m3.com/yonoseiginotame/20100116/8
ご遺族の拒否により、解剖が行われないことが多いですよね…
(それなのに、医療ミスとして告訴するのですから…)

内部報告書の誤りを認めたことは評価すべきだと思いました。

2011/1/17(月) 午後 8:19 さすらい泌尿器科医

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