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受験生離れ、国試不振…歯学部統廃合論も−歯学部サバイバル時代(上)
医療介護CBニュース 8月8日(月)8時54分配信

 歯科医の供給過剰が叫ばれる中、受験生の歯学部離れが深刻化している。中には入学者の数が定員の半分を割り込むケースもあり、大学側は歯科医を志す優秀な学生を一人でも多く獲得しようと躍起だ。歯学部は、文字通りの「サバイバル時代」を迎えている。(木下奈緒美、兼松昭夫)

 文部科学省によると、国公立、私立を合わせた全国29歯学部の今年度の入学定員は計2459人だが、入学したのは2158人(87.8%)。11の歯学部で定員割れとなった。
 特に、私立大の苦戦ぶりは深刻だ。全国に17ある歯学部のうち、今年度は10大学(58.8%)で入学者が定員を割り込んだ。定員に対する充足率は、最低の奥羽大歯学部で25%と2割台になった。また、競争率が2倍未満の歯学部は14校(82.4%)で、松本歯科大では受験者81人全員が合格した。

 歯学部全体の受験者数は、2008年度の1万359人から翌09年度は7122人に激減。10年度も6472人に減少したが、今年度は6805人と微増した。「下げ止まり」との楽観的な見方もあるが、これまでの減少幅を考慮すれば改善したとは言いにくい。

 受験生による歯学部離れの背景には、歯科医の過剰供給問題があるとされる。
 1960-70年代の学部増設などに伴い、歯科医の養成数は急激に増加。厚生労働省によると、歯科医院数も2009年には6万8097軒で、1984年からの25年間でほぼ6割増えた。一方で、医療費全体に占める歯科医療費の割合は、62年度は12.4%だったが、08年度には7.4%にまで下がった。

 大学関係者らは、このほかにも、▽歯科医の「ワーキングプア」などの報道▽経済状況の悪化▽医学部の定員増―などが、受験生の歯学部離れに拍車を掛けているとみている。
 「今や歯学部を受ければ合格する状況。学生の質低下が避けられない」―。そんな嘆きの声すら出始めている。

 学生不足に喘ぐ中、歯科医師国家試験(国試)の結果が振るわずに苦悩する大学もある。文科省によると、今年の新卒者の国試合格率は、全体で81.8%だった。これに対し最低の岩手医科大歯学部は64.8%で、最高の広島大(100%)との間には、35.2ポイントの格差がある。

 優秀な学生を集められずに国試の合格率が低迷し、それが受験生のさらなる歯学部離れを促しているとの見方もある。

■民主・川口氏「統廃合視野の歯学部再編は不可避」

 こうした中で、文科省も対応に乗り出している。
 同省の「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」は09年1月、優秀な入学者を確保するため、国家試験の合格率が低い大学などの入学定員の見直しを提言。その後、各大学の取り組みをフォローアップし、「現状の教育課程に改善が必要な歯科大・歯学部も散見された」と指摘した。
 具体的には、▽十分な臨床能力を身に付けることができていない▽留年者数や国家試験合格率の状況改善に結び付いていない▽競争倍率が限りなく1倍に近づくなど入学者選抜が機能していない―などの課題を挙げている。

 同省では引き続きフォローアップを実施するが、今年5月25日に開かれた会合では、「(大学側の)自主的な改善に任せていいのか」「根本的な改善策を考える必要がある」など、委員から厳しい意見が上がった。これに対し同省の新木一弘・医学教育課長(当時)は、「改善がない場合にどういうアクションを取れるのか、法的なことも含めて検討したい」と応じた。

 一方、自らも茨城県取手市内で歯科医院を経営する民主党の川口浩衆院議員は、統廃合を視野に入れた歯学部の再編が今や不可避との認識だ。
 川口氏は「6年間かけて勉強したのに歯科医になれなければ、学費と税金の無駄遣いと言われても仕方がない」と話す。受験生の減少傾向を踏まえ、「(学生を)ある程度集中させた方が効率的だし、能力も上がるはず。職員・学生の処遇など、統廃合にあたって乗り越えなければならない課題は山積しているが、質の高い歯科医療を提供し続けるには、やむを得ないのではないか」と強調する。
 文科省による今年度のフォローアップの結果を踏まえて補助金などに差を付けるなどして、統廃合を促すべきとの考えだ。

 各大学は、今年度の改善計画書を文科省に6月中に提出済み。同省は今後、必要に応じてヒアリングや実地調査を行う予定だ。

「やれること何でも」学生獲得あの手この手−歯学部サバイバル時代(下)
医療介護CBニュース 8月9日(火)10時55分配信

 「やれることはすべて、何でもやろうという感じだ」―。鶴見大歯学部の黒井和男事務部長は自嘲気味に話す。
 同大の歯学部では今年度の募集人員128人に対し、97人が入学した。来年度は募集人員を115人に減らす方針だ。背景には、受験生の減少と文部科学省からの要請がある。
 同大歯学部では、2008年度は622人だった受験者数が翌09年度には半数以下の263人に急減。さらに10年度には160人となり、小林馨歯学部長は「抜本的に考え方を変えなければならないと感じた」という。

 学生獲得策として、今年度の入試から初年度学納金を200万円程度減額。AO入試やセンター試験利用入試などを導入したほか、受験生向けの学部紹介ビデオを製作し、今夏からインターネット上で公開し始めた。また、多くの症例を学生にみせるため、土曜日にも病院での診療を行い、来院する患者に学生診療への参加協力を求めるなど、教育の充実に取り組んでいる。
 学費の減額に取り組む歯学部は多いが、設備の維持や教員の確保、病院への投資などにはどうしてもコストが掛かる。黒井事務部長は「コスト戦略で他大学に対抗すると、本来の学部の在り方が損なわれる。教育の質の維持・充実で差別化を図りたい」と話す。

 入学した学生のサポートも課題だ。
 小林歯学部長によると、最近では得意・不得意科目がはっきりした学生の入学が目立ってきており、入学前の教育のほか、1年次には基礎的な知識を強化するためのプログラムも組んでいる。ただ、教養だけでは学生の学習意欲が低下するため、解剖学などの授業も実施。基礎学力の補強と、歯科医になるという意識の向上を同時に狙う。

 3年前から定員割れしている日大松戸歯学部では、今年度も受験者数が減少し、08年度(476人)と比べると約3分の1の157人だった。うち合格者は149人で、競争倍率は1.05倍。近年の選抜機能の低下により、授業についていけない学生も出てきているという。
 しかし、山本浩嗣教授は「(在学中に)学生がどれだけ伸びるかが大事だ」と強調する。同大が昨年創設した「教育・学習総合センター」では、学習面だけでなく、生活面も含めた学生の状況を把握し、サポートする体制を取っている。また、卒業した学生の国試対策などのフォローアップにも力を入れている。
 学生獲得に向けては、来年度の入学生から6年間の学費を計360万円削減。受験科目を3科目から2科目に変更するほか、試験の会場・種類の増加なども実施する。

■大学側「定員割れ続けば歯科医不足に」

 新たな入試制度の検討、学費の減額、教育の充実による差別化、学生のサポート…。多額の費用と労力を掛けて学生獲得に取り組む大学関係者は、統廃合を含む歯学部の再編をどうとらえているのか―。

 鶴見大の小林歯学部長は、「歯科医養成の全体的なグランドデザインなしに議論しても現実的ではない」と指摘する。過剰といわれる歯科医だが、大学側への求人は減少しておらず、むしろ「今の定員割れの状況が長く続けば、10年もたたずに若い歯科医人口が不足する」という危機感を持っている。

 日大松戸歯学部の山本教授も、疾病構造の変化に対応するため、歯科医の需要は増すと見る。一方で、「現状を維持する必要はなく、環境に適応できた大学が残るべきだ。自助努力をしなければ淘汰(とうた)されていくと思う」と指摘。ただ、「政府主導型で(統廃合)という時期ではない」との認識だ。

 大学関係者らが期待するのは、少子・高齢社会での新たなニーズの開拓。歯科医療には今後、患者の全身状態を考える総合的な診療や、訪問診療、高齢者へのきめ細かいケアなどが求められる。これらを新たな歯科医のやりがい、魅力として積極的にアピールし、優秀な学生の獲得を目指す。

■魅力見出すカギ「国民に幸福感」、現役歯科医ら提言

 この仕事の魅力をどこに見いだすかは、現役の歯科医にとっても重要な課題だ。
 東京都板橋区内で開業する小林顕さんは、「この仕事はやりがいも魅力も感じにくくなっている」という。しかし、ひとたび患者を前にすると、「しっかり治さないと気が済まない」という、強迫観念にも似た衝動に駆り立てられる。それが小林さんの歯科医としての活動を支えてきた。

 小林さんが主宰し、東京歯科大出身の歯科医ら20人が参加する「歯科医療制度研究会」は昨年末、これからの歯科医に求められる役割を「日本型歯科医療制度の提案」にまとめた。提案では、国民が希望通りの生涯を送り、幸福感を感じられるよう、歯科医学的な観点から支援することを歯科医療の目的に掲げた。

 生活が苦しくなると、「虫歯」など歯科関連の治療は敬遠されがちだが、一方で、生活保護を受けている人が歯の治療をきっかけに働く意欲を取り戻すケースもある。「こうした人たちを一人でも多くサポートできれば」。歯科医の魅力を引き出し、次世代の人材を呼び込む糸口が、そんなところにあると小林さんは感じている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110809-00000000-cbn-soci

医師は、医学部を新設するしないでもめてますが、
教育に時間、設備や人手が必要であり、手軽に定員を増減できない点は同じです。

歯学部のレベル低下は、患者さんにとって好ましい話ではありません。

閉じる コメント(8)

レベルの低い歯科医師にインプラントなどされたら、たまったもんじゃありません!(`´)

友人の息子さんが歯科技工士の資格を持ちながらリストラに遭ってしまい、全く畑違いの仕事を探さざるを得なくなったのも歯科医院乱造のあおりでしょうか?

2011/8/9(火) 午後 2:10 [ Tangled Alice ]

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たしかに今現在歯科医開業はコンビニより多いっていいますからね。
高額な設備投資をするのに患者が多数来なければ収入はかなり厳しいので、何年たっても初期投資が回収できないでしょうね。
やはり日本は診療報酬が安すぎるのでしょうか?
現状を知る今の学生や親が歯学部を志望させないのは当然の成り行きだと思います。これから高齢化で歯科需要が激増すると思われるので
訪問歯科が主流になるのではと思いますが。

2011/8/9(火) 午後 6:03 [ NMD ]

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地方の高齢者率が県下で1位の市の保健師です。
訪問歯科でもできる治療が限られているので結局は歯科医院に通うことになります。
ここの地域の歯科医院はなぜか医院の入口に階段があるところが多いです。エレベーターがあればいいのですが、ないことの方が多く、受診にも一苦労です。
子どもの歯科検診で歯科医師会より当番制で歯科医師が健診をしてくれています。対応のいい先生だと母親にどこの歯科医院か聞かれます。このような場で、手を抜く歯科医師は評判を落としています。
また、歯科保健の関心を高める努力も必要だと思います。
これなくして患者が増えることはまずないと思います。

2011/8/9(火) 午後 10:40 あきら

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歯科医の先生が余っているなら、諸外国から医療ツーリズムを
歯科受診限定で大々的に受け入れるって方法は、
実現不可能 OR 無意味でしょうか?
歯形を取っておけば、そのまま潜伏して不法労働者化しても
身元確認がしやすそうだし・・・

2011/8/10(水) 午前 7:56 [ kasugayoitoko ]

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>歯科医院はなぜか医院の入口に階段があるところが多いです。
確かに、ビルの2階などで、エレベーターがないことが多いような気がします。

>歯科保健の関心を高める努力も必要だと思います。
高齢者には、どんどん推進すべきだと思いますが、

歯科保健を推進されたことによる、子供の虫歯の減少は、
歯科医の苦境の一因のような気がします…

>歯形を取っておけば、そのまま潜伏して不法労働者化しても
>身元確認がしやすそうだし・・・
シュールな話だ…(笑)

2011/8/10(水) 午後 1:23 さすらい泌尿器科医

>歯科保健を推進されたことによる、子供の虫歯の減少は、
>歯科医の苦境の一因のような気がします…
それって良いことなんじゃないですか??
先生にしては珍しい「どうかな?」というコメントです。

2011/8/10(水) 午後 6:20 KIDNEY

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KIDNEYさん、私も良いことだと思います。

ただ、外野から眺めていてふと思ったのです。

医療は、どんなに予防に力を入れようとも、
人間はいずれは必ず病気になって、死にますが

虫歯は予防可能かと…

2011/8/11(木) 午後 1:55 さすらい泌尿器科医

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虫歯は予防可能です。家庭での食事の管理、歯磨き、幼児期のフッ素塗布、学校でのフッ素洗口。
しかし、フッ素については家庭や学校の理解がないと行政では実施できません。
保育園は福祉、幼稚園は学校。
地方では、日教組が居る限り幼稚園、小中学校でのフッ素洗口は大反対されています。私の県内で学校で実施出来ているのは3市くらい。幼児は虫歯が出来ても口を開かない場合が多く治療できない場合が多いような気がします。
虫歯が減少しているのは確かです。
けれど動脈硬化と同様、歯周病は予防しきれないので、その部分では歯科医師の活躍の場は多くあります。
歯科医師にはもっと積極的にPRをして欲しいです。
義歯を作っても使っていない人は多く、途中で義歯の調整を諦めてしまうことが多いのです。
天然の歯にはかないません。 国は義歯の診療報酬点数を見直し、口腔衛生の分野(歯石除去、口腔衛生指導)で診療報酬点数を上げるべきだと思います。

2011/8/11(木) 午後 11:05 あきら

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