うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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終末期を考える 心肺停止の高齢者増える119番 救命医療の現場を圧迫
2011年6月28日【中日新聞】【朝刊】

介護施設で みとり必要

心肺停止患者が重なると、他の患者が運ばれてきても対応は難しいという=名古屋市中区の名古屋医療センターで 心肺停止状態で救急搬送されるお年寄りが増えている。独居や老老介護を含む自宅からの搬送が多いとみられるが、嘱託医がいるはずの介護施設からも少なくない。高度な救命医療をする救命救急センターでは、心肺停止患者の搬送が重なり、重い外傷患者の治療ができない事例も起きている。緊急時にも対応できる在宅医療や、介護施設でのみとり体制づくりが急務となっている。(市川真)

 名古屋市中区にある名古屋医療センター。昨年7月、市内の特別養護老人ホームから、104歳の女性が心肺停止状態で救急搬送されてきた。特殊な気管チューブによる気道確保と心臓マッサージ、強心剤の投与などを続けたが蘇生することはなく、病院到着後32分後に死亡確認した。

 女性は施設の誕生日会に出ていて、介護士の問い掛けに急に反応しなくなり、施設が119番したという。一般的には老衰状態とも思えるが、高橋立夫・救命救急センター長は「100歳を超す高齢者でも、救命救急センターに連れてこられる以上は、最大限の救命措置を取ることになる」と話す。

 だが、80代後半を超えると、心肺停止後に救命措置をしても、元気なもとの状態まで回復する例は非常に少ないのが実態だ。

 昨年、センターに心肺停止で救急搬送されたのは443人で、平均年齢72歳。100歳以上は5人(今年の分を含む)で、90歳以上はもっと多いという。全体の1割が介護施設からだった。

 心肺停止状態の患者の対応には、医師や看護師計5人前後が付きっきりで対応する。救急医療の現場は医師不足が顕著のため、他の患者受け入れを断らざるを得ないこともあるという。高橋センター長によると、全国の救急医療の現場が同じ問題に直面している。

 搬送された患者の中には、既に死後硬直が始まっている例も。高橋センター長は「介護施設の嘱託医はなぜ対応してくれないのか。在宅医が分担できる患者もいるはず。このまま増え続けると救急医療の維持が難しくなる」と指摘する。

 施設側はなぜ、救急医療に頼るのか。

 「施設孤独死の結果、119番通報せざるを得ないんです」と話すのは、東海地方にある特別養護老人ホーム職員だ。介護施設は夜間、数人の職員が100人を超すお年寄りの世話をしており、2、3時間に1度の見回りで「心肺停止のお年寄りを見つけることもある」。

 すでに亡くなっていても、嘱託医に任すことはしない。「家族からのクレームを恐れ、病院に運んで処置してもらったが駄目でしたという事実が必要なんです」。嘱託医が急な対応を嫌がることも拍車を掛けている。

 職員が勤める施設では以前、救命救急センターに心肺停止のお年寄りを運んでもらったものの、「すでに亡くなっている。死体検案書にセンターで死亡とは書けない」と言われ、遺体を引き取ったことがあった。それ以来、死後硬直が始まっていたら、警察を呼ぶことにした。

 職員は「亡くなった人を救急車に乗せるのは介護職員としてつらいが、施設は人員も体制も十分ではないということを、家族にも知ってほしい」と話す。

救急搬送 頼らぬ所も

 一方、基本的に救急搬送しない医師や施設も。患者の八、九割を在宅でみとっている「すぎもと在宅医療クリニック」(名古屋市千種区)の杉本由佳医師は、病院に治療を依頼するのは「治せる患者だけ」と話す。

 在宅医のみとりが増えない現状について、「夜間は診たくないとか、みとりは大変だと思っている在宅医が多く、家で死にたいと願う患者も救急搬送してしまう。本来は在宅医がみとるべきだ」と指摘する。

 岐阜県池田町の特別養護老人ホームサンビレッジ新生苑(えん)では、年間四十人ほどが亡くなるが、積極的にみとりを行っており、救急搬送はほぼゼロ。馬渕規嘉施設長によると、同苑がまず重視するのは、入所者や家族がどのような延命措置を望むのか、施設側が把握し、書面(事前指定書)にすることだ。次第に食事や水分摂取ができなくなり老衰状態になったお年寄りを、介護と看護チームと常勤医師がケアする。近隣病院から医師の応援もあるという。

 馬渕施設長は「老衰状態なのに一一九番すれば、救急病院で望まない延命治療を受けることになり、家族も『こんなはずじゃなかったのに』と感じてしまう。介護と医療と家族の連携が重要」と指摘する。
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20110629153355049

少し前の記事ですが、いい内容ですね。

過去にも、何度か似たような話を取り上げています。
「延命治療はやめて」と高齢者願うも病院では「地獄の検査」
「平穏死」のすすめ

80代後半を超えると、心肺停止後に救命措置をしても、元気なもとの状態まで回復する例は非常に少ないのが実態だ。

先日の松田選手のように、もっと若くても厳しいですが、
高齢者が、心肺停止にまで陥ってしまうと、「自分で食事ができて、身の回りのことができる」
程度に回復する可能性はほとんどゼロに近いのが現状ですし、

医療資源を費やしてそれを多少改善するよりは、
「重い外傷患者」などに、限りある救急医療を集中すべきだと、私は思います。


「施設孤独死の結果、119番通報せざるを得ないんです」

すでに亡くなっていても、嘱託医に任すことはしない。「家族からのクレームを恐れ、病院に運んで処置してもらったが駄目でしたという事実が必要なんです」。嘱託医が急な対応を嫌がることも拍車を掛けている。

いまだに、こういう施設の方が全国的には多いと思います…

死後硬直が始まっていたら、警察を呼ぶことにした。

という対応も、仕方がないのでしょうが、困ったものです。


こういう無用な救命措置を減らすための対応策は、
最後のサンビレッジ新生苑の取り組みのような方法です。

入所者や家族がどのような延命措置を望むのか、施設側が把握し、書面(事前指定書)にすることだ。

要は、急変してから入所者(無理ですが…(爆))や家族と話すのでは遅いのです。

責任のない嘱託医では厳しいのかもしれませんが、

元気なうちに入所者や家族と医師や職員で話し合い、急変時の対応を決めておくことが大切です。

(書面はあるに越したことはありませんが、絶対ではないでしょう)

話し合っても、急変時に救命治療を望む入所者や家族は一定数いますが、それは仕方がありません。
それでも、サンビレッジ新生苑のように(心肺停止での)救急搬送はほぼゼロになるはずです。

「老衰状態なのに一一九番すれば、救急病院で望まない延命治療を受けることになり、家族も『こんなはずじゃなかったのに』と感じてしまう。介護と医療と家族の連携が重要」と指摘する。

あくまでも、急変する前にじっくりと家族と話し合っておくことが重要だと、私は思います。



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いくら嘱託医に全員看取りをしてくれと言っても無理ですね。
施設入所の多くの家族が90歳や100歳になっても当然のように急変時は救急対応を希望します。
病院で最後まで医者が精一杯の救命措置をしてくれる事を心から望んでいる人が多いですし、そうしてやることが自分の親兄弟への愛情だと思っているでしょうから。施設では救急医療行為はできません。
施設で看取るということは自分の肉親を見殺しにする=犯罪という概念が日本人に定着しているからです。自分たちだけでなく一族郎党からいろいろ言われるために建前でそうする人も多いのでは?
急変時やCPRのムンテラ話をされるのも日本人は嫌がる避けたがる人が多いです。まだ爺ちゃん婆ちゃんはこんなに元気なのに、なんでそんな話をするんだ!と怒られますよ。
救命救急を担当する医師(多くは救命専門ではなく仕方なくやっている一般内科医など)が文句を言いたい気持ちもわかりますが、嘱託医が看取ってくれないと文句を言うのはおかしいのではないかと。
個人的な印象で言うと多くの日本人は一般人の死に関する教養が決定的に欠落してるような気がしますね。

2011/8/10(水) 午後 1:20 [ NMD ]

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NMDさん、現状はそんな感じですね…

>病院で最後まで医者が精一杯の救命措置をしてくれる事を心から望んでいる人が多いですし、
>そうしてやることが自分の親兄弟への愛情だと思っているでしょうから。

この考え方を少しずつでも変えていきたいな、と私は思っています。
一度ではダメでも、何度も根気よく話せば、ある程度はご理解頂けると
私は経験上も考えています。

>自分たちだけでなく一族郎党からいろいろ言われるために建前でそうする人も多いのでは?
確かにこれが最大の問題ですが、主治医やスタッフが支えれば乗り切れると思います。
確かに、非常勤の嘱託医では厳しいかもしれませんが…

>まだ爺ちゃん婆ちゃんはこんなに元気なのに、なんでそんな話をするんだ!と怒られますよ。
私はそう言われても負けません。(笑)

脳死での臓器移植などと同じで、まずは話し合いのテーブルにつくことが大事かと…

2011/8/10(水) 午後 1:34 さすらい泌尿器科医

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こういうことこそ、TVドラマにでもすれば、多くの人が考えるきっかけになるような気がします。
私事ですが、私の祖母は老人ホーム内で亡くなりました。丁度、母や叔母が訪ねて、世間話の最中をしていたときのこと。ふと気づいたら旅立っていたそうです。もう少し長生きしてくれていたらと思うことも勿論ありますが、誇り高く生きていた祖母らしく清々しい最期だったと思います。

2011/8/10(水) 午後 1:46 [ ジュリーママ ]

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ジュリーママ様

>こういうことこそ、TVドラマにでもすれば
全くその通り! でも今までのドラマでは

>>なんでそんな話をするんだ!と怒られますよ。
>私はそう言われても負けません。(笑)
ってなブロ主様の様な医師は「意固地な悪医者」って
切り取り方をされてきたんですよね・・・org

マスコミは売れる番組しか作りたがらないモノのようですから
結局いろんな場で草の根的に「延命の為の延命ってどうよ?」と
気付いた方達が発言し続けるしかないのでは・・・

2011/8/10(水) 午後 3:27 [ kasugayoitoko ]

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>嘱託医が急な対応を嫌がることも拍車を掛けている。

そら、嫌でしょう。

システムとコンセンサスの問題だと思いますが。

死について学校教育で教えるべきだと思います。



>ふと気づいたら旅立っていた

皆さんこのように逝かれると嬉しいのですが。

2011/8/11(木) 午後 1:04 [ 最下医2 ]

初めまして。元中学校の教師をしていました。
実は現在大学院で勉強しているのですが、2年前に階段で骨折し地元の市民病院に診察を断られました。
どうも様子がおかしいと思っていた矢先に、病院に対して医事訴訟を起こした患者が裁判に完敗したにも関わらず、市議会に陳情を五月蝿く出していたことがわかり、不毛な訴訟は他の患者に迷惑をかけることを実感しました。

もう60歳に近いので「公正証書」で「無駄な延命はしないで欲しい。」旨意思表示したいのですが、かなり具体的に場合を想定して欲しいとの事、想定ができしだい公正証書を作ります。

2011/12/18(日) 午後 11:13 [ はるくん ]


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