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日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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定例記者会見
「医療事故における責任問題検討委員会答申まとまる」
―木下勝之常任理事

 木下勝之常任理事は3月10日、記者会見を行い、医療事故における責任問題検討委員会(委員長:樋口範雄東大大学院教授)がこのほど取りまとめた答申の内容について説明した。

 本委員会に対する唐澤人会長からの諮問は、「医療事故による死亡に対する刑事責任・民事責任・行政処分の関係の整理、並びに今後のあり方に関する提言」であり、今回の答申は、10回の委員会を開催して取りまとめられたものである。

 答申では、医療事故については、現状の刑事処分があった後、行政処分と民事訴訟が行われるといった形式的なシステムではなく、真に医療安全に資するものにするためにも、(1)刑事処分は故意またはそれに準ずる悪質なケースに限定すべき、(2)行政処分についても医療者がいかにして再生を図れるかに焦点を置く処分を基本とし、その内容を決定するに当たっては、事故の後、原因究明と再発防止にどれだけ協力したかも考慮すべき―との考え方のもとに、以下の3つの事項(A.医療事故に対する原因究明と再発防止策を検討するシステムの構築 B.医療事故の原因となった医師について、事故から学び復帰を援助する行政処分のシステムの新たな構築 C.医療事故に関わるシステムを医療専門家の集団が中心となる自律的システムとして構想するとともに、そのなかに国民の代表も取り込んだ、透明性のあるシステムとすること)を提言。日医に対しては、システムの構築と改善に向けて最大限努力することを求めている。

 会見のなかで、木下常任理事は、不利益を課すだけの、制裁型の法的責任追及では、医療本来の業務を阻害し、むしろ弊害の大きいことは明らかだと指摘。今日の萎縮医療と呼ばれるような現象や、外科、産婦人科等の医療専門家への志望が目に見えて減少する事態を打開するために、医療事故に対して、制裁型刑事処分を改め、再教育を前面に出した行政処分を中心とする、新たな法の支援の仕組みを構築するため、本委員会を立ち上げたと説明。

 政府に対しては、「医療事故による死亡に対する新たな死因究明制度については、民主党が作成した『医療の納得・安全促進法案=患者支援法案』を基に議論すると思われるが、新たな法案の作成に当っては、今回の答申において提言された医療安全に資する新たな法のシステムの考え方も取り入れ、早期に検討を開始して欲しい」と述べた。
http://www.med.or.jp/shirokuma/no1261.html

実際の答申は、日医のホームページをご参照下さい。PDF 1MB

m3を見れる方は、橋本記者の記事をご参照下さい。

医療事故に対して、制裁型刑事処分を改め、再教育を前面に出した行政処分を中心とする、新たな法の支援の仕組みを構築

という基本方針に異論はありませんが、

この答申では、刑事訴訟が減るとは限らず、行政処分→刑事訴訟のルートが増える懸念すらあります。


m3記事から、質疑応答部分を転記します。
【質疑応答】
 質問:報告書の中で、刑事処分に対して具体的に提言した部分はあるのか。
 木下氏:当然だ。刑事処分をいかに減らすかを考えている。その代わりに行政処分で対応するということだ。当然、行政処分のあり方を検討しないと先に進まない。刑事処分は極めて悪質なものに限るとしている以上は、単純ミスといった場合には行政処分で対応するのがこの新しい考え方。

 質問:刑事処分を減らすという考え方の下に検討したというが、警察への届け出などについての見解はあるか。
 木下氏:大綱案が第一歩だった。これが通ったとすれば、当然、警察ではなく、第三者機関、医療安全調査委員会に届け出ることによって、警察から出発する刑事訴追への流れは閉ざそうということだった。調査委員会で、医師を中心とする委員が検討して、「これは悪質なものではない」という事例は警察に届け出ない。本当に届け出られた事例についてのみ、これは警察が対応する、という仕組みだった。悪質でないならば、今までは業務上過失致死罪の対象となった事例でも、それは警察に届け出ないで済む。とすると、それは行政処分で対応しようということになる。その流れから行けば、その仕組みができたとすると、大部分のケースは医師を再び現場に戻すための教育をするという形の行政処分を行う方がより医療安全に資するような新しい仕組みになるのではないか、こうした発想で考えた。この行政処分の制度を本当に実現させるためには、大綱案のような考え方がより合理的である、それは国民のためであり、医療界のためになるのではないかと考えている。
(後略)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/117186/

大綱案が第一歩だった。これが通ったとすれば、当然、警察ではなく、第三者機関、医療安全調査委員会に届け出ることによって、警察から出発する刑事訴追への流れは閉ざそうということだった

これは大嘘です。
2年前から、同じ事を言い続けているだけですが…

答申の文中33ページ(39枚目)に、
6 行政調査と刑事捜査
 医療事故に係る調査委員会を設置した場合、行政調査は犯罪捜査のために行われてはならないことは当然であるが、医療事故に係る業務上過失致死傷罪について、同委員会に専属告発権限を付与すべきかという問題がある。

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という)が定める一定の犯罪について、公正取引委員会に専属告発権限が付与されたのは、行政処分にとどめるか、刑事罰も科するかについては、経済構造や企業活動に関する専門的知識を有する公正取引委員会の専門的判断を尊重することが適当と考えられたためであるが、医療事故についても、医療体制や医学についての専門的知識を有する調査委員会に、行政処分にとどめるか、刑事罰も科すべきかについての第1次的判断を委ねることは立法政策として考えられないわけではない。

 しかし、独占禁止法違反の場合には、被侵害法益は財産であり、しかも、独占禁止法の究極目的は、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」(1条)とされており、一般消費者が被る損害も、通常は、拡散され被害者意識を持つことすら困難な場合が稀でないのに対し、医療事故の場合には、国民の生命や健康という最重要の法益侵害が問題になっており、かかる重要な法益侵害が問題になる事案において、被害者やその遺族の告訴を禁ずることが立法政策として妥当かには疑問の余地がある。また、仮に専属告発制を採用することとすれば、主として医師からなる医療事故に係る調査委員会が告発に慎重になりすぎ、刑事責任を追及すべき場合にも追及されないことになることを懸念して、かかる委員会の設置自体への反対が強まる可能性は低くないと思われる。さらに、医療事故に係る調査委員会の役割を原因究明と再発防止策の勧告機能に純化する場合には、専属告発権限を付与することは理論的にも問題がある。したがって、専属告発制の採用には慎重であるべきと考える。

 以上のことを前提とすると、医療事故に係る調査委員会で調査が継続中の事案についても、並行して刑事捜査が行われることは理論的にはありうることになる(27)。行政調査と刑事捜査が並行して行われることは一般的なことであり、運輸安全委員会の調査も、刑事捜査と並行して行われている。ただし、実際上、いかなる医療事故について刑事訴追を行うかに関する判断において、医療事故に係る調査委員会の専門的知見が尊重されるようにすることは考えられる。大綱案はこのような観点から制度設計されている( 2 8 ) 。
 また、医療事故に係る行政処分についても、前述したように、医療事故に係る調査委員会の報告書が参考にされるべきであろう。これにより、医療事故について、従前の刑事捜査先行・刑事判決依存型の運用から脱却できることになる。もっとも、医療事故に係る調査委員会の調査が長期化することになれば、迅速な行政処分ができなくなることは、従前と異ならないことになるので、慎重な調査を犠牲にすることなく、調査の迅速化をいかに達成するかが課題になる。

専属告発権限を付与

これは、全国医師連盟試案の最重要ポイントで、譲れない部分です。
(「憲兵組織のようだ」という批判があるのですが…)
認められれば、事故調は一気に進むかもしれません。

いかなる医療事故について刑事訴追を行うかに関する判断において、医療事故に係る調査委員会の専門的知見が尊重されるようにすることは考えられる。

あくまでも『考えられる』であって、法律で決める気は無いようです。

つまり、

「並行して刑事捜査が行われることがある」以上、検察が『専門的知見を尊重しない』で起訴する可能性も十二分にある訳です。

だから、われわれは大綱案に断固反対しているですが、
現場から離れた木下勝之常任理事には、どうしても理解できないのでしょうね。

また、この答申のメンバーを見ましたが、
現場を知る医療者は、有賀徹先生(昭和大学医学部救急医学講座 教授)くらいで、
遺族側弁護士の重鎮である鈴木利廣氏や、豊田郁子氏が含まれており
その他の委員の多くは大綱案を審議してきた方々ですね。

だから、こういう大綱案と大差ない答申が出るのです。
こんな答申を認める訳にはいきません。

「新型インフル対策は成功」=政府諮問委員長が会見で総括
3月23日19時11分配信 時事通信

 政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の尾身茂委員長が23日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見し、諸外国と比べ死亡率を低く抑えることができたと述べ、「国の対策は成功だった」と評価した。
 尾身氏は一連の対策を総括し、「死亡率は圧倒的に低く、世界の中で優等生だ」と指摘。徹底した学校閉鎖や治療薬タミフルが患者に行き渡ったことが大きく影響したとした。
 空港での水際対策は「感染の拡大防止に一定の効果はあったが、(国内発生を想定した)次段階対策へのシフトが遅れた」と分析した。 

空港検疫「やり過ぎだったが…」インフル総括
2010年3月23日22時40分  読売新聞

 政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員長を務める尾身茂・自治医科大教授は23日、日本記者クラブ(東京都千代田区)で記者会見し、国のこれまでの対策について「死亡・重症者数を少なくでき、成功だった」と総括した。

 新型インフルが想定よりも弱毒性だったことから、「今後は感染力や重症度別に対応策を準備する必要がある」と述べた。

 国内の新型インフルによる死亡者は約200人。世界保健機関(WHO)の昨年11月時点のデータでは、日本は米英など他の先進諸国に比べ、死亡率は10分の1以下となっている。

 尾身教授は「個人的見解」としつつも、「最大の目標である重症化、死亡の防止は達成した」と評価。主な要因として、広範囲な学校閉鎖で地域への感染拡大が抑制されたと分析した。批判の多い空港検疫などの水際作戦については「やり過ぎだったとは思うが、あの当時、検疫強化を全くやらないことに国民は納得しただろうか」と疑問を呈した。

新型インフルエンザ専門家会議の会議録を隠蔽しておきながら、尾身教授は何を偉そうに自らの功を語っているのでしょうか?

諸外国と比べ死亡率を低く抑えることができた

のは、

現場の小児科や麻酔科の先生方が必死に頑張った成果であり、尾身教授など『偉い人』の功績ではありません!

あの当時、検疫強化を全くやらないことに国民は納得しただろうか」と疑問を呈した。

われわれが問題にしているのは「水際作戦を行なった」ことではなく、

「潜伏期があるものに検疫は役立たない」と多くの医療者に指摘されながらも、水際作戦に何時までも固執し、いつまでも中止しなかった姿勢です。


「接種優先順位、見直し必要」といった意見は無視されていますね。

まずはオープンな議論をしましょうや、尾身先生や厚生労働省の医系技官どの。


(追記です)
実際に質問した、石岡荘十氏のブログです。
水際作戦はパフォーマンスだった 石岡荘十
2010.03.24 Wednesday name : kajikablog

新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の委員長でもある尾身茂委員長(自治医大教授)は3月23日の記者会見で今回のインフルエンザ“騒動”を中間総括した。この中で尾身委員長は事実上、水際作戦が政治的なパフォーマンスであったという見解を、政府関係者としては始めて明らかにした。

海外からに帰国者を空港で厳しきチェックする“水際作戦”が始まったのは昨年4月28日のことだった。テレビは、SF映画でしか見たことのないような防護服に身を包んだ検疫官が右往左往する有様を繰り返し放送し、危機感を煽った。舛添前厚労相は深夜テレビで国民に対して「冷静に行動するように---」と呼びかけたが、後に「あんたが冷静になれよ」と揶揄される有様だった。

尾身委員長によれば、厚労省に呼び出されたのは4日後の5月1日だった。その時にはすでに防疫法に基づく非常行動発令のボタンが入ってしまった後だった。アドバイスを求められたのは、感染の疑いがあるとして空港近くのホテルに停留、つまり隔離・軟禁状態に置かれている海外からの帰国者の扱いについてであった。10日間停留となっていたのを潜在期間のメドとなっている1週間に短縮したほうがいいではないかと提言して、そうなった。

尾身委員長は言う。「空港で1人の感染者も入れないといくら頑張ったって、潜伏期間のある感染者がすり抜けて国内に入ってくるだろうということくらいは、官僚(医系技官)だって分かっていたはずだが、WHO(世界保健機関)が警報を発している状況の中で、検疫レベルで何もしないのでは、国民に批判されたときにそれに耐えられるか。そう考えた。だがやり過ぎた。その結果、国内対策へのシフトが遅れた。地域医療施設へのフォローアップが遅くなった。この2点が今回の最大の教訓だと思う。地方自治体に対して、地域医療対策に力を入れるよう指令したのだが行き届かず、コミュニケーションがうまく取れなかった。水際作戦に気が行ってしまった。コストパフォーマンスからいっても問題はあった。」

水際作戦は事実上、政治的なパフォーマンスだった側面があったことを認める発言である。

当時、羽田の検疫所で勤務していた現役の医系技官、木村盛世検疫官は、政権交代前の昨年5月、参議院の集中審議で参考人として出席し、民主党の鈴木寛参議院議員(現、文部科学省副大臣)との質疑の中で「水際作戦は疫学的には無意味だ。政治的なパフォーマンスに過ぎない」と切って捨てているが、尾身発言はこの木村証言を裏付けるものとなった。

筆者が尾身委員長に訊いた。

Q:あれをやったのは間違いだったという反省点はないのか。
A:やり過ぎだったというところはある。しかし、患者の致死率は圧倒的に日本が少ない。(米;3.3、メキシコ;2.9、カナダ;2.8、日本;0.2)。学級閉鎖の効果もあった。はじめから患者の重症化を防ぐことが最重点目的だったからその意味で対策は成功だった。

Q:不評だったワクチン10mlバイアルの件は?
A:ともかく早く量を確保し、市場に供給とあせってああいうことになってしまった。今後の教訓としたい。地方の保健所が1万人に及ぶ海外とこう歴のある人の追跡調査を電話でやったが、もっと能率的な方法もあったのではないかと思っている。

Q:いろいろなところで、すでに厚労省の対応に対する厳しい批判が出ているが---
A:結果だけを見て場違いな批判もある

尾身氏はこうさらっとかわした。要するに、尾身氏による総括は「行き過ぎやタイミングを間違ったところはあるが、うまくいった」という結論であった。

政府は今月から6月にかけて委員会を開き正式な総括をまとめる考えだが、会議をリードするであろう尾身氏の考えを見ると、総括をめぐって、これまでを上回るさらに広範囲な議論を巻き起こすことになるだろう。

なお、終息宣言を出すかどうかについては、WHOの動向を受けて考えたいという。
http://blog.kajika.net/?eid=996245




最近は、B型インフルエンザウイルスが継続的に検出されているそうです。
B型インフル、検出続く―注意必要と感染研
3月24日11時53分配信 医療介護CBニュース

 B型インフルエンザウイルスが継続的に検出されている。国立感染症研究所感染症情報センターが3月23日に開いたメディア意見交換会で、岡部信彦センター長は「B型のシーズンはこれから」と注意を呼び掛けた。

 同センターによると、1月4日から3月14日までに検出・報告されたインフルエンザウイルス2603検体のうち、2569件(98.7%)が新型で、B型が29件(1.1%)、A香港型が5件(0.2%)。依然として新型が大半を占めるが、B型も継続的に検出されている。B型の29件のうち13件は2月22日-3月7日の2週間に検出されたものだった。

 岡部センター長は、「B型の流行は例年3月から4月で、A型より遅れてやってくる」と説明。また、WHO(世界保健機関)のまとめではモンゴルや中国など東アジアではB型が主流になっていると指摘し、今後B型に注意が必要との認識を示した。

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