うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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菌検出は昨夏、多剤耐性と疑わず 帝京大で感染拡大

 複数の抗生剤の効かない細菌アシネトバクターによる院内感染の疑いで、わずか1年で少なくとも患者9人が死亡した。帝京大学病院は5月に異変に気づいて内部調査を始めながら、9月まで外部に報告、公表を一切しなかった。3日の会見でその理由は明確にされず、どこからどのように感染が広がったのかもよくわからない。対応が遅れる間に被害はじわじわ広がった。
 「命を守る病院でこのようなことをして申し訳ない」
 会見冒頭、森田茂穂帝京大病院長らはコメントを読み上げると、深々と頭を下げた。
 国や東京都などへの報告や対応が遅いのではないかと問われると、森田院長は「現時点では、公表すべきだったと思う」と述べた。
 病院や都によると、病院が調査と対策に乗り出したのは、今年4〜5月に約10人の患者から多剤耐性菌が見つかったことがきっかけだった。その調査で2009年8月に第1号の感染者が出ていた可能性が分かった。
 10月には、耐性菌との因果関係が否定できない最初の死亡者が出ていた。主治医はこの時点で、抗生剤が効きにくかったことを把握しながら、院内感染対策にあたる感染制御部に報告しなかったという。最初の死亡例では、菌の感受性の検査で「多剤耐性」という結果が出た。しかし、主治医はある抗生剤が効いたため、多剤耐性とは認識しなかったという。
 報告がなかったことについて、森田院長は「情報伝達が共有されていないという重大な側面です」と対応の誤りを認めた。
 病院では、この多剤耐性菌が見つかった場合は、感染制御部に報告する決まりがある。
 都などへの報告や公表が遅れた理由を複数回、問われても、院長らは「申し訳ない」「不備があったと認めざるを得ません」と繰り返すだけだった。一方で「当時、患者さんに百%治療にあたることを念頭においていたため」とも述べた。
 また、感染が相次いでいたことを把握していなかったのか、との問いについては、「2月までは月ごとの報告は1とか2、多くて3だったので」と答えるにとどまった。
 都などへの報告も遅れた。板橋区保健所や都への報告は、発表前日の今月2日だった。感染した患者への説明も死亡した患者の遺族以外へは「きょうの会見が終わった後」という。
 都医療安全課の田中敦子課長は「4月だけで約10人の感染が確認されており、その時点で報告があれば、速やかな対応ができた。7月30日に調査委員会を開いた時点では、明らかに集団感染を認識していたと考えられ、遅くとも、その時点で報告があるべきだった」と話した。
 
■階を超え感染、経路は不明
 感染は15〜17階にある内科系の西病棟を中心に広がった。感染者46人のうち25人が集中する。16階の血液・総合内科と17階の腎臓・総合内科の2病棟で特に多かった。
 アシネトバクターは人工呼吸器や点滴の管を介して感染する可能性がある。尿や痰(たん)、膿(うみ)などにも含まれ、トイレが感染原因になることもある。昨年の福岡大病院の例では、人工呼吸器の関連器具の消毒が不十分で菌が残ったのが主な感染源だったほか、血管に入れる細い管や包帯を載せた台車、ベッドなどからも菌が検出された。
 帝京大病院の説明では、医師は複数の病棟の患者を受け持つ。こうした医療従事者が感染を媒介した可能性がある。手術の過程で感染した患者がいることや、人工呼吸器周辺から菌が検出されたことも明かした。
 都の田中課長は3日の記者会見で、「病院スタッフによって菌が運ばれた可能性は否定できない」。中川原米俊医療政策部長は「感染ルート解明が第一。患者がいるので拡大防止が大事だ」と述べ、感染経路を突き止める姿勢を強調した。そもそも菌がどこから院内に持ち込まれたのかもわかっていない。
 
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 で、お約束の『業務上過失致死容疑を視野に』という話です…
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院内感染、9人死亡 帝京大病院 警視庁聴取へ 4カ月報告せず

産経新聞 9月4日(土)7時58分配信
 
 帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)は3日、抗菌薬に耐性を持つ細菌「多剤耐性アシネトバクター」(MRAB)に患者46人が感染し、27人が死亡していたと発表した。死亡例のうち9人に関してはMRAB感染が直接の死因となった可能性があるという。警視庁は安全管理に問題があった疑いがあるとみて、業務上過失致死容疑を視野に医師らから事情を聴く方針を固めた。

[図でみる] 帝京大病院のMRAB感染者分布

 同病院は今年5月には院内感染の発生を認識していたが、厚生労働省や東京都などに報告したのは今月2日だった。

 厚労省は昨年1月、福岡大病院でMRAB感染が起きたことを受け、感染防止体制の徹底や、国への速やかな報告を医療機関に通知している。

 感染患者が転院した際、転院先の病院に当初感染を伝えていなかったケースもあったという。また、8月に国と都が合同で立ち入り検査した際にもMRABには触れなかった。

 森田茂穂(しげほ)院長は会見で「このような事態を未然に防ぐことができなかったことをおわびしたい」と謝罪した。

 同病院によると、昨年10月、急性大動脈解離などで入院中の76歳の女性が死亡。主治医は女性が細菌に感染し、抗菌薬が効きにくいことも認識していたが、院内感染の対策部署には報告していなかった。

 その後も院内では感染者が異なるフロアで散発的に発生。今年4月から5月にかけ、約10人の患者からMRABが検出されたことで、MRABの感染対策や一時的な新規入院の制限などに乗り出した。

 感染が確認されたのは、35〜89歳の男女46人で、27人がすでに死亡。うち9人は感染が死亡の原因になった可能性が否定できず、6人は関連が不明。12人は原疾患が死亡原因で、感染との因果関係はないとしている。現在、院内の感染者は9人いるという。

 また、MRABに感染した2人が他病院に転院。このうち1人は転院先に感染の事実が伝えられたものの院内感染については伏せられた。もう1人は、転院当初は感染自体が伝えられなかった。

 森田院長は報告が遅れた理由を「患者に対する治療に専念していた」と説明。「今までのやり方に不備があったことは認めざるを得ない」と話している。

 同病院は高度な先端医療行為を行う特定機能病院の指定などを受けている。

【用語解説】アシネトバクター菌

 土壌や水の中、人の皮膚などに広く存在する細菌。健康な人への病原性は低いが、手術後など免疫が低下した状態で人工呼吸器などを介して体内に入ると肺炎などを起こして重症化し、死亡することもある。以前は抗菌薬で治療できたが、欧米でほとんどの薬が効かない多剤耐性菌が登場し、院内感染の原因として注目されるようになった。
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今日の読売の社説です…
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院内感染 速やかに情報開示し再発防げ(9月4日付・読売社説)

2010年9月4日01時16分  読売新聞
 
 高度医療をになう大学病院で、なぜこれほど大規模な院内感染が起きてしまったのか。
 帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)は3日、がんなど重病で入院していた患者46人が、ほとんどの抗生物質が効かない多剤耐性の「アシネトバクター」と呼ばれる細菌に感染していた、と発表した。
 感染者のうち27人が亡くなっており、この中の9人は感染が死因につながった可能性を否定できない、という。
 犠牲者9人とすれば、2000年に大阪で、02年に東京で、いずれもセラチア菌の院内感染で犠牲者が出たケースを上回り、近年では例のない被害である。
 帝京大は、今年4〜5月に感染者が増加したため、調査委員会を設置して調べていたという。保健所へ届け出たのは、今月2日だった。あまりにも遅すぎる。
 アシネトバクター自体はどこにでもいる細菌で、健康な人が感染しても影響はない。だが、重症患者など抵抗力が衰えている人が感染すると、肺炎や敗血症などを起こすことがある。
 福岡市の福岡大病院でも23人が感染したことが、昨年1月に判明している。多剤耐性アシネトバクターによる大規模感染はこれが国内初の事例で、厚生労働省は注意を呼びかけていた。
 高度医療機関には抵抗力の弱い重症患者が集まるため、ひとたび院内感染が起きれば、取り返しのつかないことになる。
 今回の帝京大病院の場合は、どのような経路で感染が広がったのか。公表が遅れたのはなぜか。
 大学病院などには院内感染担当者の配置が義務づけられているはずだが、そこに油断や落ち度はなかったのか。
 帝京大は調査委による独自の調査結果をもとに、こうした疑問に答えなければならない。厚労省と東京都も、徹底した調査で事実関係を究明すべきだ。
 院内感染は、どんなに警戒しても完全には防ぎきれないことも事実である。治療で抗生物質が多用されていることで、新たな耐性菌を生み出してもいる。
 多剤耐性アシネトバクターは、まだ国内の感染報告は少ない。しかし、別の多剤耐性菌による院内感染は多数発生している。
 拡大を防ぐには、早期発見と迅速な対応が欠かせない。そのためには、全国規模の監視体制を強化するとともに、医療機関は感染の事実はすばやく開示し、発生情報を共有しなければならない。
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医学の歴史は、抗生物質の開発と、耐性菌の出現との闘いでもあります。
 
もちろん、帝京大学病院の対応にも大いに問題がありますが、
帝京大学病院をバッシングするだけでは、問題は解決できません。
 
極論すれば、院内感染が起きた時点で、病棟(病院)を閉鎖し職員を隔離すれば、
それ以上の蔓延は防げますが、多くの患者さんが困りますし、病院が潰れるかもしれません。
 
こういう「不幸な経験」を基に十分な検討を重ねることにより、「適切な安全管理」が可能となるのです。
故意にアシネトバクターを院内感染させた人物はいない(ハズ)だから、誰かを『業務上過失致死』で処罰しても問題の解決には繋がらないはずです。
 
警察に「捜査するな」と言う権限は、われわれにはありませんし、
故意犯の可能性はゼロではないですので…

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