うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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米国製薬団体、「日本は改革推進を」
医療介護CBニュース 11月1日(月)9時1分配信

【第129回】アイラ・ウルフさん(PhRMA日本代表)

 日本の医薬品市場において外資系製薬企業が存在感を高めている。新興国市場が台頭する中で、外資系企業にとって日本は魅力的な市場であり続けるのか―。日本市場に対するコミットメントについて、米国研究製薬工業協会(PhRMA)日本代表のアイラ・ウルフさんに聞いた。(玉城正之)

―PhRMAの日本の医療への貢献については。

 米国製薬企業による日本の患者さんに対する最大の貢献は、イノベーション(革新)をベースとした画期的な新薬をお届けしていることだと思います。PhRMAのメンバーの研究開発への投資総額は年間500億ドルに上ります。
 そして、日本の患者さんには、自分がどのメーカーが開発した製品を服用しているかということに、もっと関心を持ってもらいたいと思います。欧米の患者さんには、もちろん医師に対する尊敬の念はありますが、自分の健康、将来に関する意思決定に積極的にかかわりたいという意思が見受けられるのに対して、一般的に日本の患者さんは医師の言うことをしっかり聞いて、百パーセント守る傾向があるようです。
 ここ数年、日本でも患者さんがインターネットで何時間もかけて自分の健康状態、治療法や処方薬について調べるようになってきましたが、まだ緒に就いたばかりと言えます。ぜひもっと促進していただきたいと考えており、患者さんの団体などに対してアイデアを提供しています。
 さらに日本の医療への貢献としては、政府の政策に対していろいろな働き掛けをしていることが挙げられます。これまでの課題は、PhRMAのメンバーによる新薬の開発が、米国および欧州で行われ、日本の患者さんに届くまでにどうしても遅延が生じてしまっていた(ドラッグ・ラグ問題)ところにありました。また、ワクチン・ラグの方がドラッグ・ラグよりも長期にわたっていると考えています。

―日本のドラッグ・ラグ問題の解消策についてどう評価していますか。

 日本はこれからさらに高齢化が進むので、将来に向けて医療の課題はますます大きくなっていくでしょう。それだけを見ると日本の医薬品市場は、非常に大きな成長を遂げる可能性があり、製薬企業にとって魅力的です。
 ところが、臨床試験にかかわる環境であったり、新薬承認のプロセスが遅いことであったり、薬価制度であったり、その魅力をそいでしまう複数の要因があることも事実です。
 これまでずっと申し上げてきたのですが、ドラッグ・ラグは、非常に複雑な問題であり、単一の解でもって解決するのは無理です。いろいろな原因がありますから、それらすべてにアプローチしていかなければなりません。
 ここ数年間、自民党や民主党あるいは厚生労働省から、日本市場を魅力的にするために何らかの対策を取っていきたいとの回答を頂いており、いろいろな改革が始まっています。
 そのよい例が、今年度の薬価制度改革で試行的に導入された、ある一定の条件下で新薬の薬価(保険償還価格)を引き下げない「新薬創出加算」ではないでしょうか。わたしどもは、これを非常に重要な変化ととらえており、そこから得られる結果は素晴らしいものである可能性がある。すなわちメーカーが新薬開発への投資を促進できるようになるとともに、より早く日本の患者さんに新薬を届けることが可能になるかもしれません。
 しかし、世界全体を視野に入れた新薬開発の意思決定は、日本にある支社でなされるわけではなく、海外の本社で行われます。試行的な導入であり、継続するかどうか分からない状態で、本社が重要な意思決定をすることができるでしょうか。
 政府には、ぜひこの制度の恒久化を図っていただきたいですし、PhRMAとしても、その方向に行くようにエビデンスの提供に努めていきたい。また、それ以外の改革施策も、一層の推進を働き掛けていきたいと考えています。

―ワクチン・ラグの方がより深刻ということですが、具体的に教えてください。

 世界中で使用されている最新のワクチンが、日本の患者さんに届くまでの期間が本当に長い。日本で子宮頸がんワクチンが承認される以前に、既に世界100か国で承認されていました。今後数年間で、いろいろなタイプのがんに対する新しいワクチンが続々と出てくることが期待されます。日本はこれらのワクチンの承認が常に世界で最も遅い国であり続けるのでしょうか。
 そうだとしたら、治療可能だったり予防可能だったりしたかもしれない、がん患者さんへのインパクトは計り知れません。また、世界のどこかに薬効がある医薬品が存在していることを知っていながら、アクセスすることができない医師にとってのインパクトも心配です。
 米国のワクチン管理制度(ナショナルワクチンプラン)は、世界で最も高度なものと評価されているのは周知の事実です。わたしどもは、在日米国大使館と協力して米国から保健省やCDC(疾病予防管理センター)の専門家を招へいし、ノウハウの提供や情報の共有化に努めています。ぜひ日本にも国家レベルでワクチン計画を策定していただきたい。

―どんなワクチンの登場が期待できますか。

 これは、インフルエンザのようなパンデミックを起こす可能性がある疾病に対処するためのワクチンの話にとどまるものではありません。例えば子宮頸がんだとか、いつか可能になればアルツハイマー病だとか、そうした疾病に用いる治療用のワクチンがメーンテーマです。
 がん向けのワクチンに関しては、膵臓がん、卵巣がん、肺がん、胃がんなど、何らかの記事が毎週のように目に入ってきます。まだ開発が始まったばかりなので、すぐに患者さんの枕元に届くというわけにはいきませんが、明らかにそうした研究が増えており、ゆっくりとではありますが、進ちょくが見られているようです。将来どこかの段階で、爆発的にそうしたがん向けのワクチンが増えてくることもあるのではないでしょうか。

―そのほか日本の規制政策の問題点を挙げるとしたら何ですか。

 新薬の処方が薬価収載(保険適用)後1年間は1回14日分までに制限される現行の規制は、安全性を担保するためと位置付けられています。しかし、すべての新薬に対し、このような注意が必要であることを示すような科学的なエビデンスは一つとして存在しません。
 このような規制を持っているのは、世界広しといえども日本だけです。14日処方制限によって、場合によっては不必要であるにもかかわらず、頻繁に医療機関に足を運ばなければならない患者さんの負担はあまりに大きい。薬剤師や医師にとっても負担になっていると思います。ですから、PhRMAはこのルールを完全に撤廃すべきだと思っています。
 日本には世界で最も厳しい、ある意味で最も優れた市販後(発売後)調査の制度があります。安全性に関する懸念は、その取り組みによって軽減できるというのがPhRMAの考えです。

―PhRMAの主張を具体化するための枠組みについては。

 わたしどもは政府に対して、何年にもわたって製薬業界ともっと親密な関係を築くように働き掛けてきました。そういう意味で自民党が「官民対話」を始めてくださった時には大変うれしく思いました。
 民主党政権に代わり、現在の細川律夫厚生労働相が官民対話の再開に言及されたことを心強く受け止めています。PhRMAは、日本の医療政策は厚労省ばかりでなく、政府全体で作られるべきであると主張し続けてきました。再開される官民対話の席に、内閣の主要なメンバーが参加して、国内外の製薬業界のリーダーと意見交換することが重要だと思います。

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