看護師不足 過酷な夜勤に疲弊 ナースコール鳴りやまず
毎日新聞 12月20日(月)2時34分配信
医師不足が問題になっているが、実は看護師不足も深刻化している。厚生労働省の検討会の推計では、全国で看護師など看護職員が11年時点で5万6000人不足し、25年には最大で約45万人も足りない恐れがある。看護師たちは過酷な勤務で疲弊し、医療の安全確保にも影響が及ぶ。看護の現場で何が起きているのかを追う。
深夜の静寂を切り裂くように、電子音が暗い病棟に響き渡る。午前3時すぎ、入院患者からのナースコールだ。少し遅れて別の患者のコールが鳴る。別の病室からは、心電図モニターの異常を知らせるアラーム。3人の女性看護師が発信元の部屋を目まぐるしく回る。戸惑う記者に「いつもこんな感じだよね」。3人は顔を見合わせてさらりと言うが、疲労の色がにじむ。
兵庫県北部の豊岡市にある公立豊岡病院(500床)。同市など2市が運営し、救命救急センターも備えた地域の基幹病院だ。記者は11月中旬、「6−東病棟」で看護師の深夜勤務に密着した。
「6−東」は脳神経外科や皮膚科など4科の混合病棟で、48床すべてが入院患者で埋まっていた。3人の勤務は午前0時半からの深夜勤。2時間ごとに全患者を巡回し、検温や血圧測定、体位変換などを繰り返す。その間に鼻から胃に入れる注入食の準備や朝食の配膳などもこなし、動きが止まることはない。
主任の山口直子さん(41)は「脳神経外科は身の回りのことを自分でできない患者が多く、巡回が2時間で終わらないこともある」。交代で45分ずつ休憩することになっているが、「15分休めればいい方。全く取れない日もよくある」という。
3人が電子カルテの入力を済ませ、勤務が終わったのは午前10時半ごろだった。定時を約1時間半過ぎていた。入職3年目の谷田順子さん(24)は「定時に終われることはほとんどない。脚がパンパン」とため息をついた。
◇医療高度化、増す負担
同病院の看護師は日勤、準夜勤、深夜勤と各8時間程度の3交代制を敷く。「6−東」では、日勤は診療補助員らを含む15〜16人。一方、月計8〜9回ある準夜勤と深夜勤は各3人で、1人当たり16人もの患者を担当しなければならない。
通常、深夜勤の前は日勤で、日勤終了から深夜勤に入るまで6時間程度しかない。この間に自宅に戻り、食事や入浴、仮眠を取る。直前の日勤終了が午後7時にずれ込んだ谷田さんは「仮眠は2時間くらいで、疲れが全然取れない。深夜勤前に寝られない日もある」と漏らす。「急変患者がなくてもギリギリの状態。あと1人でも増えればだいぶ楽になるのに……」。看護師たちは口をそろえた。
豊岡病院の看護師は約470人。06年度の診療報酬改定で、最も手厚い看護基準の「7対1」(1日の平均で入院患者7人に看護師1人)を満たす医療機関は収入が増えるようになったことを受け、採用を増やして昨年8月から7対1とした。
だが、現場の人手不足は解消されない。医療が高度かつ複雑になり、看護師の仕事は以前より増えた。患者の在院日数短縮が進み、患者の入れ替わりも激しい。比較的軽症の患者は早期に退院するため、重症者の割合も上昇。特に夜勤は過酷だ。森本七重(ななえ)看護部長は「豊岡病院は地域では人気が高いが、一度は京阪神地域の病院で働きたいという人も多く、人員確保に苦労している」と嘆いた。【福永方人】
医療が高度かつ複雑になり、看護師の仕事は以前より増えた。患者の在院日数短縮が進み、患者の入れ替わりも激しい。
のに、医師や看護師の数はあまり増えてはいませんからね…
勤務が過酷になるのは、自然な流れです。
3交代制の日勤→深夜勤は特にキツいですよね。
過労状態になって当然です。
<看護師不足>年10万人離職の悪循環 採用追いつかず
毎日新聞 12月20日(月)2時35分配信
高齢化が進み、医療が高度かつ複雑になる中、顕在化する看護師不足。離職者が多いことが大きな原因で、結婚・出産や勤務の過酷さを理由に職場を去る女性看護師が相次ぎ、採用が追いつかないのが実情だ。背景には、女性の社会進出が進んでいなかった時代と同様、キャリアを積んでも昇給幅が小さいなど、結婚による大量退職を前提とした構造があるとの指摘もある。【福永方人】
◇夜勤月9回以上 子育てと両立困難
「夜勤を含むシフトをこなしながらの子育ては本当に大変」。3人の子を持つ群馬県立小児医療センターの看護師、白井桂子さん(49)は訴える。「3人とも小さかった時は心身共にきつく、子供に当たってしまうこともあり、毎日仕事を辞めようと思っていた」
看護師約190人の同センターでは、離職者が07、08年度はいずれも15人、09年度は5人。20代後半〜30代前半の女性が結婚や出産などを機に離職するケースが多いが、産休・育休から復帰した後に辞める人もいるという。
白井さんが勤務する新生児集中治療室(NICU)の看護師は、準夜勤(午後4時半〜午前1時15分)と深夜勤(午前0時半〜9時15分)が月に計9〜12回。日勤(午前8時半〜午後5時15分)に続いて深夜勤というパターンが、多い時で月5回ある。この場合、勤務と勤務の間のわずかな時間に帰宅し、食事や家事、子供を寝かせるなどすると、仮眠はほとんど取れない。
白井さんは「子供に早くご飯を食べ、宿題をやるようせかすことが多かったので、小学校の担任から『お宅の子は落ち着きがない』と言われたことがある」と苦笑いする。
夜勤免除や短時間勤務などの制度もあるが、「人手が不足しているため同僚に迷惑がかかると思い、申請する人はほとんどいない」(白井さん)。夜勤ができないと、最悪の場合は退職せざるを得ないのが実情という。
◇毎年5万人資格取得 離職者は10万人
日本看護協会や厚生労働省によると、全国で毎年約5万人が新たに看護師や助産師など看護職員の資格を得ているが、約10万人が離職する。育児終了後などに復職する人も多いため実働人員は年々増加し、09年には約3万6000人増えて約143万人になった。だが、医療の高度化や高齢化などに伴う需要の増加には追いついていない。04年には、看護職員の資格を持つ人の3分の1にあたる約65万人が就業していなかったとの推計もある。
離職の理由は、結婚や出産だけでなく、勤務時間の長さや残業の多さを挙げる看護師も目立つ。残業時間(08年)は、シフト勤務者の過労死の公務災害が認定された判例の基準である月50時間以上の人が8%近くに上り、夜勤回数は月9回以上が半数を占める。若手の看護師からは「こんなに寝られない仕事だとは思わなかった」との声も聞かれる。
◇給与への不満5割超 キャリア積んでも待遇改善せず
看護師の給与は、年齢を重ねてもあまり上がらない仕組みになっている。人事院の調査(09年)によると、看護師の平均月給は夜勤手当があることから、20代のうちは約30万円で薬剤師や臨床検査技師など他の医療職より高いが、30代以降は徐々に抜かれていく。看護師は56歳以上でも40万円に届かない。
東京都内の大学病院の女性看護師(31)は「看護師はやりがいのある仕事だが、感染症にかかるリスクや、医療事故で訴えられるかもしれない不安を抱えながら働いているのに、待遇が良くないのは納得いかない」と憤る。日本看護協会の調査(09年)では、給与の低さを不満に感じる看護職員が5割超に上り、そのうち約6割はそれが原因で離職を考えたことがあるという。同協会の小川忍常任理事は「キャリアを積んでも待遇面で報われないという、女性の社会進出が進まない時代のような構造が大量離職の一因」と指摘する。
一方、新人の大量採用は、若手の教育を担う中堅看護師の負担を増大させる。そのことでかえって離職者が増加したり、教育がおろそかになるという悪循環も生んでいる。
さらに、少子化で看護師の成り手は減少傾向にある。厚労省の検討会の推計では、看護職員の実働人員の年間増加数は、25年には09年より約1万2000人も少ない約2万4000人になると予想される。白井さんは「養成数を増やす対策は限界に来ている。離職に歯止めをかけるのが最優先」と強調する。
看護師の増加や待遇改善を実現するには、病院の経営状態や管理者の意識によるところも大きい。小川常任理事は「看護師を増やした病院は増収となるよう診療報酬を改定し、夜勤手当の増額を連動して実施するなど、国と病院管理者が連携して離職防止策を進めるべきだ。看護師ら医療現場のスタッフが安心して働ける環境づくりこそが、患者の安全を守ることにつながる」と訴えている。
残業時間(08年)は、シフト勤務者の過労死の公務災害が認定された判例の基準である月50時間以上の人が8%近くに上り、夜勤回数は月9回以上が半数を占める。
それに見合った給与ではないと、私も思います。
看護師を増やした病院は増収となるよう診療報酬を改定し、夜勤手当の増額を連動して実施する
夜勤手当の増額も必要ですが、
残業に対する時間外手当をきちんと払う(→時間外勤務を減らす)のも大切ではないでしょうか。
今の私の病院を含めて(爆)、ちゃんと時間外手当を払っている病院は少ないのではないでしょうか?
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