うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

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高岡市民病院の患者自殺:高岡市へ損賠訴訟、双方の控訴棄却 /富山
毎日新聞 9月13日(火)16時18分配信

 高岡市民病院で08年、精神神経科に入院中の女性患者(当時36歳)が病院の安全配慮が不十分で飛び降り自殺したとして、遺族が同市に対して約6900万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が12日、名古屋高裁金沢支部であった。山本博裁判長は、病院側の過失を認めて約3450万円の支払いを命じた1審・富山地裁高岡支部判決を支持、遺族と市側の控訴を棄却した。
 判決によると、女性は08年5月、実家で自殺を図り、同病院を受診。医師の勧めで閉鎖病棟に入院したが、翌日、看護助手が鍵を開けたベランダから飛び降りて死亡した。【宮本翔平】

9月13日朝刊
お亡くなりになった女性のご冥福をお祈りします。m(__)m

すべての患者さんを、365日24時間体制で監視する訳にもいきませんし、
なかなか防止は難しいですよね…

地裁判決時の記事はこんな感じです。
高岡市民病院患者自殺 市に3,450万円支払い命令
読売新聞 2010年09月29日(水)

高岡市民病院で2008年、入院患者の女性(当時36歳)が飛び降り自殺したのは病院が注意義務を怠ったためとして、女性の遺族が病院を運営する高岡市に対し、約6900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、地裁高岡支部であった。源孝治裁判官は病院の過失を認め、遺族4人に計約3450万円の支払いを命じた。

判決によると、女性は2008年4月に同病院精神神経科を受診。その後、自殺を図り、未遂に終わったことから、5月7日に同病院に医療保護入院したが、翌日、看護助手が清掃をするために開けたベランダ出入り口を通り抜け、4階ベランダから飛び降り自殺した。

遺族側は、女性が自殺する可能性があることを病院が十分予測できたとする一方、病院側は突発的であり、予見は不可能だったなどとして争っていた。判決では、ベランダ出入り口を看護助手が開けた際、周囲の様子の確認が不十分だったと指摘。さらに、「入院患者に関する重要な情報が職員全体に伝達されておらず、自殺防止の処置が講じられていない」などを理由に、病院に入院患者の安全に配慮する注意義務違反があったとし、運営する高岡市の損害賠償責任を認めた。

判決を受け、同病院の沢崎邦広院長は、「当方の主張が認められないようであり、遺憾。今後の対応は判決内容を詳細に検討した後に決定したい」とコメントを出した。 

某患者側弁護士はこういう見解のようですが、私は賛同しかねます。
本件は,自殺を図ったという重要な情報が周囲の職員に共有されていなかったことから看護体制の問題を指摘した富山地裁高岡支部平成22年9月28日判決後,高橋市長が,臨時市議会を召集し,「市が主張してきた基本的な事項が認められていない厳しい判決で,このままでは病院の信頼関係に影響が及ぶため,やむを得ず控訴する」と述べ,全会一致で控訴することが決まった,という経緯がありました。

しかし,本件は,自殺を図ったとして精神科病棟に入院した36歳の女性患者が,入院翌日,看護助手が鍵を開けたベランダから飛び降りて死亡した事案ですので,病院側に過失ありと判断されたのは至極当然と思います.

予見可能性については,具体的な診療に即して検討されねばなりませんが.自殺企図があって入院しているので,患者の自殺念慮について注意深く観察する必要があり,注意深く観察していれば再び自殺を試みることは予見できたのではないか,と思います.(なお,もし,注意深く観察することができないような病院の体制であったとすれば,それ自体に義務違反があると言えるでしょう.

回避義務については,患者の自殺念慮が高まっているとみられるときは,医師や看護師が患者と静かに話をし,患者を落ち着かせることが必要です.患者を放置してはいけないと思います.

また,精神科の病棟では,屋上や高い階にあるベランダへの出入り口は,通常施錠されています.容易に自殺できる状況が与えられると,その状況が自殺の誘引となる可能性があるからです.
面倒でも,施錠を開けたらその都度閉めることが必要です.
本件で,看護助手がベランダの鍵を開けたままにしてあったことから,看護助手の注意義務違反といえるかもしれませんが,私は,むしろベランダへの出入り口の施錠が周知徹底されていなかったことから病院の安全管理体制に問題があったと考えます.病院の管理体制の問題が大きいと思います.

地裁判決は,飛び降り自殺に至る具体的な事情を考慮し,賠償額を半額とし,高裁もそれを支持していますが,それが本当に適切な判断か否かはかなり微妙と思います.看護助手の行為より,病院の安全体制に目を向ければ,全額賠償のほうが適切だったのではないか,と思います.

もし,注意深く観察することができないような病院の体制であったとすれば,それ自体に義務違反があると言えるでしょう.

精神科病棟の現状を知ってから、発言して欲しいものです。

こういう判決が連発するようなら、
危険な患者さんは、家族に24時間付き添ってもらうしかないかもしれませんね…



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