うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

医療崩壊

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 地元の大学で養成した医師のうち、全国7県で半数以上が他県へ流出していることが慶応大などの研究チームの調査で分かった。多くが千葉や埼玉、兵庫など大都市近郊の都市へと流れたとみられる。チームは「大都市近郊で医師の養成率を上げない限り、地方の医師不足問題は解決できない」と指摘する。

 慶応大医学部5年の岡田直己さんらは、47都道府県別に、1994年から2012年までの18年間に医学部を出て国家試験に合格した医師の数を累計。実際にこの間に増えた医師数と比較し、増減を人材の移動とみなした。

 その結果、養成した医師のうち他県へ流出した割合が最も高かったのは石川で68%。島根、鳥取、高知、秋田、青森、山梨も含め計7県が50%を超えた。地方からの流入が多いと思われていた東京は、養成数の16%にあたる医師が他県へ流出していた。

 一方、地元で養成した医師と比べたときの流入した医師の割合が最も大きかったのは千葉で232.3%。続く埼玉も、養成した医師の倍以上の流入があった。両県とも人口は多いが、医学部を持つ大学は1校しかなく、地方で養成された人材を吸収している構図が浮かんだ。

 岡田さんは「医師不足は大都市近郊での対策が重要なカギを握る。医師は地方から大都市の東京ばかりに集まるわけではないと、認識を改める必要がある」と指摘する。

 研究成果は、11日の日本内科学会総会で発表された。【河内敏康】

<養成された医師のうち、県外に流出した割合>

(1)石川 68%
(2)島根 58.9%
(3)鳥取 56.4%
(4)高知 54.4%
(5)秋田 53.9%
(6)青森 53%
(7)山梨 51%
(8)福井 49.2%
(9)徳島 46.9%
(10)佐賀 44.8%

<養成した医師に対する流入した医師の割合>

(1)千葉 232.3%
(2)埼玉 225.6%
(3)兵庫 72.7%
(4)静岡 68.3%
(5)広島 57.3%
(6)茨城 40.9%
(7)宮城 36.1%
(8)岐阜 33.5%
(9)神奈川 32.3%
(10)長野 23・8%

※上位10県 慶応大など調べ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150412-00000017-mai-soci

学生のレポートのようですが、よくできてると思います。
少しツメが甘いですが、記事を書いた新聞記者にも理解できてないくらいですから、仕方がありません。

両県(千葉、埼玉)とも人口は多いが、医学部を持つ大学は1校しかなく、地方で養成された人材を吸収している構図が浮かんだ。

これは、まったくその通りです。
ただ、東京の大学の医局から派遣されている医師によって、維持されているのが実情です。

医師不足は大都市近郊での対策が重要なカギを握る。

これもその通りで、2025年付近に一番医師不足が深刻化するのは、大都市近郊です。

ただ、対策はねえ…、あったら教えて欲しいものです。(爆)
私はなるようにしかならない(=医療レベルが落ちるのは甘受する)と思っています。

医師は地方から大都市の東京ばかりに集まるわけではないと、認識を改める必要がある

基本は東京に集まっています。
ただ東京は有力大学が多いので、その出身者以外は流される(他県に派遣される)だけで…(笑)

大都市近郊で医師の養成率を上げない限り、地方の医師不足問題は解決できない

そもそも、今後とも人口減少の続く地方の医師不足を解消する必要があるのでしょうか?

これから、地方の公立病院は一層の淘汰が進むはずです。
病院間の統合が進めば、必要な医師数は減少しますので、
現在の『地方→大都市近郊』の流出は、今後とも続く必然だと私は考えます。



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報告書を最初に読んだ時から、酷い内容だとは思いましたが、

各症例を検証した結論の中に「過失があった」と加筆するなどしていた

というのは、現場の医師に責任を押し付け、病院や管理職は責任を逃れようとしたのでしょうね…

こういう姿勢は、事故報告書が刑事訴訟のきっかけとなった大野病院事件東京女子医大事件と同じであり、
今年10月から「医療事故調査制度」が始まっても続くでしょう。

逆に、責任を曖昧にした報告書では、ご遺族の納得を得にくいですからね…(苦笑)

 群馬大学病院(前橋市)で肝臓の腹腔鏡ふくくうきょう手術を受け8人が死亡した問題で、病院側が設けた調査委員会の報告書が、外部委員が内容を承認した後に無断で修正されていたことが関係者への取材でわかった。

 各症例を検証した結論の中に「過失があった」と加筆するなどしていた。「過失を強調し、遺族の納得を得ることで幕引きを急いだのでは」との指摘もあり、再調査を求める声が改めて上がっている。

 病院側が昨年8月から外部委員を交えた調査委員会で調査した。関係者によると、今年2月半ばには、調査報告書の最終案が外部委員に送付され、各委員の意見により修正された後、全委員が承認して最終的に完成したはずだった。

 ところが、3月3日に病院側が記者会見で公表した報告書は内容が変わっており、患者8人の診療を個々に検証した結論の末尾に、「過失があったと判断される」との一文が書き加えられていた。

 一方、複数の遺族によると、調査報告書をまとめた後の2月半ば以降に行われた各遺族への説明の際、手渡された個別報告書には、それぞれ「過失があった」との記載があった。

 調査手法を巡っては、外部委員の医師には初回に出席を求めただけだったことが厚生労働省の審議会で問題視されている。

 遺族側弁護団は「手続きにも問題があるなら、やはり再調査が必要だ」としている。群馬大病院は今週、改めて調査委員会を招集し、今後の方針を検討する。

 医療事故調査に詳しい九州大病院医療安全管理部の後信教授は「外部委員の承認後に修正するなら了承を得る必要がある。外部委員に再確認し、改めて議論する必要があるのではないか」と指摘している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150401-00010000-yomidr-soci


まあ、再調査をしてもまともな報告書になるとは、私には思えません。
ましてや、ご遺族の納得を得るのは、至難の業だと思いますけどね…(爆)


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 10月から始まる「医療事故調査制度」について、厚生労働省の検討会は20日、医療事故の定義や調査事項などについて取りまとめた運用指針を公表した。焦点となっていた、病院が行う院内調査報告書の遺族提供については「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」との表現にとどめ、委員から大筋で合意を得た。

 指針によると、調査の対象となるのは、医療機関の管理者が(1)医療従事者から患者側に対し、事前に死亡が予期されることを説明していたと認める(2)死亡の予期を文書などに記録していたと認める(3)医療従事者への聞き取りで、死亡が予期されていたと認める−のいずれにも該当しない死亡事例。医療機関は事故原因などについて院内調査し、民間の第三者機関に報告書を提出、調査結果を遺族に説明する。

 調査結果の報告書には可能であれば再発防止策も盛り込む。遺族への説明は「口頭か書面、あるいはその双方の適切な方法」で、医療機関の管理者が判断する。第三者機関は、遺族や医療機関から依頼があれば再調査を行い、双方に報告書を渡す。

 取りまとめを受け、厚労省は国民の意見を聞いた上で、4月にも運用指針となる省令と通知を決定。第三者機関の公募も始める。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150321-00000100-san-soci

紆余曲折ありましたが、事故調査制度は開始されるようです。
(法律が成立した時点で、既に決まってたという話もありますが…)
ガス抜きのパブコメをするようですが、聞く耳があるとは思いません。

病院が行う院内調査報告書の遺族提供については「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」

となったのは、田邉先生らのおかげです。

しかし、群馬大の件でもわかるように、
ひとたび感情がこじれれば、よほど責任を認める内容でもない限り、遺族側が納得することは稀です。

あの報告書は、確かに『同科教授や執刀医からの聴取が不十分で全容が未解明』ですが、
「以上のことから、過失があったと判断される」のオンパレードで、
十分に責任追及型(とかげの尻尾切り)でしたけどね…

いずれにせよ、根本的な(医療)事故調の問題点である、

調査に協力することが、(刑事)責任追及に繋がる可能性がある

という所には、何ら変化はありません。(根本的には刑法改正が必要ではあるのですが…)

われわれ現場の人間としては、
「医療事故調査制度」のお世話にならないように自衛するしかないでしょうね。

「第三者機関」に天下る厚生労働省の方々も、働かずに給料を貰えるに越したことはないでしょうし…


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この話の続報ですが、
略式ではなく、正式に起訴されたようです…

 女性患者=当時(78)=に誤った造影剤を注射して死亡させたとして、東京地検は9日、業務上過失致死罪で、国立国際医療研究センター病院に勤務していた整形外科の女性医師(30)=東京都新宿区、退職=を在宅起訴した。

 起訴状によると女性医師は平成26年4月16日、検査入院していた女性に脊髄(せきずい)の造影検査をした際、脊髄への投与が禁止されている造影剤「ウログラフィン」を誤って注射し、急性呼吸不全で死亡させたとしている。

 同病院によると、医師は医大卒業後5年目のレジデント(後期研修医)で、1人で造影剤の脊髄注射を行うのは初めてだった。警視庁捜査1課の任意聴取に対し、「使ってはいけないとは知らなかった」と容疑を認めていたという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150309-00000551-san-soci

『医大卒業後5年目のレジデント(後期研修医)』としてはお粗末なミスですが、
同様の事故は昔から続いており、薬剤にも注意喚起はありますが、起こり続けています…

私は泌尿器科医ですので、今もウログラフィンを使っていますが、
オムニパークなどの、もう少し浸透圧の低い造影剤で代替できないとは思いません。
(異論がありましたら、教えて下さい)

次の悲劇を防ぐためにも、これを機にウログラフィンを廃止するのも、一つの案ではないでしょうか?


この話も、
 本件事故の主な原因は、担当医の造影剤に対する知識が不足し、脊髄造影検査には禁忌であるウログラフインを誤使用したがためでした。
http://www.ncgm.go.jp/topics/zoueizaigosiyou_houkoku260826.pdf

と断じた、病院の事故報告書があったりします。

それに続いて、
担当医は他病院では脊髄造影検査の経験がありましたが、当院では初めて行う検査でしたので、指導医が検査に立ち会うことが必要であったと考えられました。また、放射線透視室の運用体制や造影剤の管理体制について、セーフティネットのさらなる強化が必要であること等が指摘されました。
とありますが、結局は医師個人の責任で話は終了し、
またどこか別の場所で同じような事故が繰り返されるのでしょうね…orz


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3月3日に病院が記者会見をした後、しばらくしてからHPに報告書が公表されました。
 群馬大医学部付属病院の野島美久病院長は3日、記者会見で「ご遺族の皆様には大変な心配と心痛、迷惑をおかけしたことを深くおわびします。まことに申し訳ございませんでした」と頭を下げた。男性医師については診断書への虚偽記載を受け、「医師の適格性に疑問がある」として2日から一切の診療行為をさせず、上司に当たる第2外科教授も診療科長の業務を停止させたという。

 野島病院長によると、男性医師は「このような事態になり申し訳ない」と話しているが、死亡例が相次いでも手術を続けた理由は説明していないという。

 遺族側の弁護団は、腹腔鏡手術で死亡した8人のうち2人について、詳細を独自に調査している。弁護士の一人は取材に対し「病院の調査は執刀医の真意に迫っておらず不十分。開腹手術での虚偽報告は意図的だったことが疑われる。刑事責任を問われてもおかしくない」と指摘した。【尾崎修二】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150303-00000101-mai-soci

報告書
手術の巧拙よりは、術前のインフォームドコンセント不足や、術前検査の不足、
術後管理の不適切さを指摘し、
「以上のことから、過失があったと判断される」ですべて締めくくっています。

そして、この報告書を受けて、弁護団は刑事告訴を検討しているようです。
 群馬大学病院第二外科(前橋市)による肝臓手術を受けた患者が相次ぎ死亡した問題で、遺族側の弁護団が6日、前橋市内で記者会見し、病院側の調査は同科教授や執刀医からの聴取が不十分で全容が未解明として、徹底した調査を求めた。

 「重大で悪質な医療過誤を繰り返した」とも指摘しており、執刀医の刑事告訴も検討する。

 遺族側の弁護団は、医療事故の被害者救済などを行う医療問題弁護団の弁護士8人が2月初旬に結成。これまで、腹腔(ふくくう)鏡(きょう)手術、開腹手術を受けて死亡した患者の遺族から相談を受けてきた。このうち正式依頼を受けた2人について、腹腔鏡手術に詳しい東京都内の大学病院消化器外科専門医の協力を得て独自に調査してきた。

 その結果、弁護団は、病院側がまとめた腹腔鏡手術に関する調査報告書に対し、〈1〉執刀医と教授に対する病院の聴取が不十分〈2〉報告書とカルテの記載内容に食い違いが複数あり、調査全体の信用性に疑問――などの問題を挙げた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150307-00050001-yom-soci

実際の報告書を読んでも、執刀医は調査に協力してないと、私には思われますが、
その最大の理由は、(上の話のように)調査報告書が民事・刑事訴訟に流用されるからです。

この現状は、
世界保健機関(以下、WHO)のドラフトガイドラインでは、医療安全分野の報告システムの目的として、失敗から学んで再発を防止する「学習」を目的とする場合、報告した医療者を懲罰しないこと(非懲罰性)や、報告された情報の秘匿性が重要であるとしています。
という原則に反します。(全国医師連盟の緊急声明より参照)

その結果、『事故の当事者』は調査に協力せず、
医療安全の向上に結びつかない、つまり次の医療事故被害者を防げなくなるのです…

群大の執刀医に刑事を与えても他者への教訓にはならず、次の事故被害者を防げないのです。

その辺を理解したうえで、事故調査制度を構築しないと意味がないのです。

診療科長もこんなだったそうですし、個人に罰を与えて終了では医療安全には役立ちません。
 同じ執刀医による肝臓手術で18人が相次いで死亡した群馬大学病院第二外科では、死亡症例検討会がほとんど開かれておらず、診療科長の教授は病院側の調査に「死亡例が続いているという認識はなかった」と答えたという。他のチームから問題を指摘されることもなく、閉鎖的な体制が深刻な事態を招いた。

 同病院では、医療過誤と疑われる症例があった場合、安全管理部門に報告する制度を設けていたが、報告基準が明確でなく、判断は現場の医師任せだった。執刀医や教授は1例も報告しておらず、野島美久よしひさ病院長は「医師の申告がないと把握できない」と説明。集中治療部の医師が「腹腔鏡手術で死亡例が複数ある」と情報提供し、昨年6月頃に調査が始まるまで問題は見過ごされていた。

 同病院によると、執刀医は、2010年12月に腹腔鏡を使った肝臓手術を始めたが、初めの2例は、経験豊富な腹腔鏡技術認定医に立ち会ってもらい実施。うち1例で死亡していたが、原因の検証は不十分だった。3例目以降は技術認定医の支援がないまま行い、結果として死亡例が重なったとみられる。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150310-00010000-yomidr-hlth

この事件の行く末にも、大いに注目しています。


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この件でも、多くの社説などが出てますが、だいたいはこんな感じです。
 病院は医療事故が起きたら背景も含めて原因を徹底的に追及し、再発防止に結び付ける。他の診療科や病院でも情報を共有し、同じ事故を二度と繰り返さない。この大原則を忘れてはならない。
http://www.sankei.com/column/news/150309/clm1503090002-n1.html

『再発防止』はわれわれも切に願っていることですが、

今回のように、報告書が刑事訴訟に繋がるのなら、『自らに不利となる証言をしない』ということで自衛するしかありません。


それは医療安全の向上につながらず、萎縮医療を招き多くの患者さんを不幸にすることを、
どうかご理解頂きたいものです。

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さすらい泌尿器科医
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