うろうろドクター

日本の医療現場は、訴訟リスクにおびえ、過重労働で疲弊しています。少しでも良くなることを願ってブログを書いています。

救急医療

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 末期がんなどで心肺が止まった患者を救急隊員が運ぶ際、人工呼吸などの蘇生処置を家族らが望まない場合の対応について、日本臨床救急医学会は、統一的な基準作りを始めた。主治医の指示が確認できれば処置を中止する方向で検討し、年内にもまとめる方針。朝日新聞の調査では、4県で中止できる独自ルールを定めていた。

 総務省消防庁の基準は、生命に危険がある場合、隊員に応急処置を求めている。蘇生を望まないのに、家族らが救急車を呼ぶ背景には、死の迎え方について事前の意思表示が広がる一方、自宅や高齢者施設でみとる態勢が不十分なことがある。容体が急変した時に主治医と連絡が取れなかったり、慌てたりして119番通報につながっている。

 こうした状況を受け、日本臨床救急医学会は統一された基準を作るための委員会を設置。救急隊からの連絡で中止を的確に指示できるよう、本人や主治医が事前に意思表示する書面のひな型を作ることも検討している。

 委員長の丸川征四郎・医誠会病院名誉院長は「医師の判断と合わせ、現場で患者や家族の希望に応えられる仕組みが大切」と話す。

 本人や家族が蘇生処置を望んでいない時の対応について、朝日新聞が47都道府県の担当者に聞いたところ、36都道府県が「国による統一のルールが必要」と回答。岐阜、広島、長崎、大分の4県では、主治医に確認した上で蘇生処置をやめることをルール化していた。

 4県のルールは、隊員が患者らの意思と、職責との板挟みになって困らずに、意思に沿えるようにすることが狙い。救急隊の対応を助言・指導するために自治体が設ける「メディカルコントロール(MC)協議会」が2003年以降に作った。埼玉県や千葉県の一部地域でも、同様のルールを設けていた。一方、沖縄県では、家族らが中止を希望しても必ず蘇生処置することを明確にしていた。

 救急業務の法律問題に詳しい橋本雄太郎・杏林大教授(医事法)は「現状では、救急隊には応急処置が求められており、家族の範囲も法的にあいまい。隊員にとっては処置を続ける方が後でトラブルになりにくい」と指摘している。(阿部彰芳、石倉徹也)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160414-00000006-asahi-soci

なかなか示唆に富む話です。

蘇生を望まないのに、家族らが救急車を呼ぶ背景には、死の迎え方について事前の意思表示が広がる一方、自宅や高齢者施設でみとる態勢が不十分なことがある。容体が急変した時に主治医と連絡が取れなかったり、慌てたりして119番通報につながっている。

国は相変わらず、在宅医療や施設での看取りを推進していますが、
家族の負担は甚大ですし、それをサポートする態勢は不十分なことが多いです。

『容体が急変した時に慌てて119番通報』しないように、
家族を十二分に指導しておくのが、一番大切な医療者側の責務ですが

「医療者側の説明が足りない」「家族がパニックになる」ことにより、
救急車を呼んでしまうケースが多々あるからこそ、
こういう指針策定が必要なのでしょうね…

現状では、「救急車を呼ぶということは、蘇生処置を望むという意思表示」と見なされる

ことは、この機会に多くの方に知っておいて欲しい話です。


また、「岐阜、広島、長崎、大分の4県」の独自ルールは自然で妥当かと思われますが、
沖縄の『家族らが中止を希望しても必ず蘇生処置する』方針には驚きます。

隊員にとっては処置を続ける方が後でトラブルになりにくい

のは間違いないのですが、何かトラウマになった事案があるのでしょうね…



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 訴えによると、男性は2013年4月、十二指腸がんで入院。手術後、腹部の激しい痛みを訴え、コンピューター断層撮影(CT)を実施したところ、撮影中に心肺停止状態となった。男性はAEDの使用で約15分後に蘇生したが、現在も意識が戻っていない。

 男性側は「病院は男性の心肺停止後、別の蘇生法を試すなどしていた。AEDを直ちに使用していれば、植物状態になるのを避けられた可能性が高い」と主張している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150602-00000003-khks-soci

なかなか厳しい状況のように思われますが、男性の回復をお祈りします。m(__)m

AEDに関する訴訟は、学校関係が多かったのですが、
病院でも起きるようですね…

病院は男性の心肺停止後、別の蘇生法を試すなどしていた。AEDを直ちに使用していれば、植物状態になるのを避けられた可能性が高い

他のソースがないので、この『別の蘇生法』の詳細は不明ですし、男性の元々の病状も不明ですが、
まさか、『心臓マッサージ(胸骨圧迫)よりも、AEDを直ちに使用しろ』と主張してはいませんよね?

急変が起きたのは病院内ですが、CT室には普通はAEDは置かれてませんし、狭くて大勢入れないので、
心肺蘇生は病室に戻るか、救急室に移って行なうのが普通です。

医師、看護師や放射線技師などの医療者が、
突然のことに動揺して立ち尽くして何もしなかったのだとしたら、
相応の賠償金は仕方がないと思いますが、
胸骨圧迫などのCPRは行なったのに、『AEDを直ちに使用しなかったのは、病院側の過失だ』
と訴えられるのは、私は納得できません。


ただ、こういう訴訟が頻発するのは、
ガイドラインの文章が良くなく、誤解を生んでいるからかもしれません。

というのも、
「JRC(日本版)ガイドライン2010(確定版) 第2章 成人の二次救命処置(ALS)」の3ページ目に、
・心室細動/無脈性心室頻拍(VF/無脈性VT)が続く場合は、電気ショックを繰り返す必要があり、薬物投与や気道確保を行うとしても電気ショックを遅らせてはならない。
http://www.qqzaidan.jp/pdf_5/guideline2_ALS_kakutei.pdf
と書いてあります。

その前後には、胸骨圧迫の重要性が書いてあるのですが、
患者側弁護士や遺族は、ここだけを抜き取って、

「VFや無脈性VTでは、何よりも優先して電気ショックをやらなければいけない。AEDを直ちに使用しなかったのは病院側の過失だ」

と考えて訴訟を起こすのかもしれません…


また、「アメリカ心臓協会 心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン 2010」の10ページ目にも、
モニター中の患者がVFを起こした場合、VFからショック実施までの時間は3分未満でなければならず、除細動器を準備する間にCPRを行うべきである。
http://eccjapan.heart.org/pdf/ECC_Guidelines_Highlights_2010JP.pdf

という文章があり、「AEDを直ちに使用しなかったのは病院側の過失だ」
との主張の根拠になっている可能性があります。

ガイドラインは今年改定されるそうですが、
遺族側弁護士に誤解されて、無益な訴訟に繋がらないように、
文章を考えて欲しいと、私は願います。


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こういう話が、最近大きな話題になっているようです。


 静岡県の磐田市立総合病院で昨年12月、呼吸器内科の20代の男性医師が、救急搬送されてきた女児に付き添っていたブラジル人の父親に「くそ、死ね」などと暴言を吐いていたことが27日、病院への取材で分かった。病院側は事実関係を認め、「男性に事情を説明して謝罪したい」としている。

 病院側によると、昨年12月24日未明、同県菊川市に住む女児(6)が足の不調を訴え、同病院に運び込まれた。当直医だった男性医師が診察し緊急を要しないと判断、付き添いの父親に診察時間内に来るよう指示した。だが、父親は納得せずに口論となり、その中で男性医師が「死ね」などと発言したという。

 男性医師は「片言の日本語でコミュニケーションがうまく取れず、腹が立ってつぶやいてしまった」などと話しているという。

 男性医師の暴言をめぐっては、動画投稿サイト「ユーチューブ」にやり取りを記録した動画2本が配信され、インターネット上で話題になった。暴言の場面はないが、男性医師が「小児科に行け」と語気荒く指示する姿が記録されている。

 同病院によると、男性医師は病院長から厳重注意を受けた。同病院医事課の担当者は「医者として不適切。再発防止に向けて教育を徹底したい」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150128-00000114-san-soci

動画は、まだこのニュースから見れます。
http://www.buzznews.jp/?p=683297

疲れた当直勤務中に、つい不用意に発した一言がトラブルに発展した医療者は多いでしょう。
その一方で、医療者らの心無い発言に傷ついた患者さんやご家族も多いかと思われます…

男性医師は「片言の日本語でコミュニケーションがうまく取れず、腹が立ってつぶやいてしまった」

どんなに腹が立っても、冷静に対応しなければいけませんけどね…

他の記事によれば、動画の前にはこういうやり取りがあったそうです。
病院のHP上の「おしらせ」とは、大分違いますが…)
 病院は1月27日夜、書面で改めて経緯を説明した。それによると、2人の医師の判断で緊急に治療する必要がない旨の説明をした。その後、以下のような経過をたどったという。

(1)この説明に対し患者の父親は納得せず、入院希望、症状の原因特定、更には急変時の責任の所在や診断書の作成等を執拗に迫ってきた。
(2)診断書は正確を期すため、実施できる検査に限りがある夜間救急では、書かないルールとなっていることを説明するが納得しなかった。
(3)万全を期すため小児科医を呼び出し、専門医からも病状と対処について説明するも、耳を貸さず、大声で自己主張を繰り返すのみ。自分の大声や言葉に更に興奮し、医師に食ってかかる態度を繰り返した。
(4)その後一人の医師が父親に対し、不適切な言葉をつぶやいた。
(5)その言葉に反応し、患者の父親は当該医師の胸ぐらをつかみ、両手で突き飛ばした。
(6)この後から患者様のご家族は、スマホとタブレット計2台で動画の撮影を始めた。
(7)これについて、当該医師は不適切な発言を反省し、謝罪した。
この話が本当なら、

患者の父親は当該医師の胸ぐらをつかみ、両手で突き飛ばした

時点で、警察を呼ぶべきですが…orz

結果として『厳重注意』になったのは、公立病院だからかもしれませんね…


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ガイドライン違反のため、Yahoo! JAPANによって記事が削除されました。
双葉病院が県提訴 原発事故後報道発表事実に反する
福島民報 3月13日(木)12時14分配信

 東京電力福島第一原発事故による避難で入院患者が死亡した双葉病院を運営する医療法人博文会は12日までに、「患者救出時に病院関係者は1人も残っていなかった」とする原発事故発生後の県の報道発表が事実に反するとして、福島県に対し新聞への謝罪広告掲載などを求める訴訟を福島地裁に起こした。
 訴状によると、県は原発事故発生後の平成23年3月17日、双葉病院から患者を救出した際の状況について、同月14日から16日にかけて、病院関係者は誰もいなかった―と発表した。このため「重篤な患者を見捨てて逃げ出した」とされ、社会的評価が著しく低下したとして、新聞への謝罪広告の掲載を求めている。
 原告は、14日午前に病院内には院長ら病院関係者6人がいたとし、県の発表は虚偽であると主張している。
 県は「訴状が届いていないので、コメントできない」としている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140313-00000020-fminpo-l07


双葉病院が県を提訴 「発表は虚偽」謝罪求める
福島民友新聞 3月13日(木)11時13分配信

 東京電力福島第1原発事故で、救助の遅れから患者ら計50人が2011(平成23)年3月中に死亡した大熊町の双葉病院(鈴木市郎院長)が、県の「病院関係者は1人も残っていなかった」とする不適切な報道発表で病院の名誉を傷付けられたとして、県に謝罪広告の掲載を求め、福島地裁に提訴していたことが12日、分かった。
 訴状によると、県災害対策本部は11年3月17日、「自衛隊が病院、施設に救出に向かうと、病院関係者は1人も残っていなかったため、患者の状態は一切分からないままの救出となった」などと報道機関に発表した。
 「(報道発表は)虚偽で、原発事故で危険な状態になり、直ちに患者を避難させなければならない場面で、責務を放棄して患者を見捨て、死に至らしめた病院として悪名が知れ渡り、社会的評価が著しく失墜した」としている。
 病院側は、新聞の地元紙と全国紙など計6紙に各1回、謝罪広告を掲載、県のウェブサイトに少なくとも1年間、謝罪文を掲載するよう求めている。金銭的な賠償は求めていない。提訴は11日付。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140313-00010001-minyu-l07

元記事はこんな感じです。
震災後の混乱期で仕方がなかったかもしれませんが、福島県側にはきちんと謝罪して欲しいものです。

金銭的な賠償は求めていない

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