|
さて、3連休の最後を飾る(?)映画は、最近気になり始めたクリスチャン・ベール主演の映画だ。 この映画はDVDスルーで、ほとんど話題にもなっていないようだが、ベールが出演、しかも、またまた痩せるといううわさを聞いて、彼の身体芸(?)を考える上でもぜひ観なくてはと思って鑑賞した。 D:ヘルツォーク A:クリスチャン・ベール あらすじ:ベトナム戦争期、極秘任務についた空軍兵士ディーター(ベール)は、墜落して捕虜になり、収容所へ。そこにはほかにも5人のアメリカ兵が捕らえられ、悲惨な日々が待っていた。脱出を試みたディーターは成功し、もう一人の仲間とタイを目指すが・・・ ■やっぱりクリスチャン・ベールは、激やせしていた。 すごいな。脱出時の映像では、その胸板の薄さ、指の細さ・・・。 しかも、虫を食べたり、蛇を食いちぎったり、ヒルに食われたり・・・・これらはスタントや偽物を使うことなしに、ガチでやっていたという。 彼ってマゾなのか、という思うほど、過酷な捕虜・脱走生活を熱演。 激やせと言えば、≪マシニスト≫を思い出すが(本当に、文字通り、骨と皮だった・・・)、ひょっとして、彼にとっての演技とは、このように身体を過酷な状況に置くことを意味しているのか? 少なくとも、身体込みで役になりきることが、彼にとっては演技であり、またそれが好きなのだろうと思う。 実際、激やせとは逆に、≪バットマン≫シリーズや≪リべりオン≫では、筋肉質の身体作りをしているし、それをひけらかすのも好きなようだし。 ちょっと昔を振り返ると、たとえば≪レイジング・ブル≫でデ・ニーロが役のために劇太りしたという話は有名だし、たしかに、役作りで体重を増減させる役者は少なくない。 でも、ベールの場合、それ自体が快楽なように感ずるんだよね。むしろ一義的なのは、身体込みの変身であって、それができるから俳優をやっているというような・・・ ■そもそも、クリスチャン・ベールにとって、演技・俳優って何なのだろう? 彼の演技って、実は意外と地味で、しかも、そう幅がないようにも見える。どの映画を見ても、特に目の表情がそんなに変化せず、決して豊かな表現力がある俳優だとは思えない。 何かの役に没入しているようにも見えないし・・・・ でも、その身体込みで見てみると、むしろ、身体が身体それ自体でものを言っているような、変な存在様式の俳優だ。 そうだ、心理的な俳優ではなく、本質的に、身体的な俳優なのだ。 身体的な俳優・・・これまでの俳優は、たとえアクション俳優だったとしても、心理描写を一義としてきたことを考えるならば、ベールのこの特質は、はたして今後どのように成長し、どんな俳優・演技の在り方を新たに切り開いていくのか・・ちょっと楽しみだ。 ■ベールについての話が長くなってしまった。 映画は、その捕虜生活、脱出行の部分がやはり見ごたえがある。 ベールの身体的な変化が、リアリティをいやがおうまでに高めており、私なぞは、途中で過酷な閉塞感にいたたまれなくなったほどだ。 もちろん、細かなサバイバル技術や脱出のための知恵と忍耐など、ディティールも具体的にふんだんに描かれているし、仲間の絆のもろさ、さらには、最終的に一人残された時の幻覚なども、リアルだった。 ■中でも、ベールが、脱出行の後半で連れを亡くす場面は、とても印象的。 飢えた二人が、ふらふらとベトコンの前に姿を現すが、ベトコンは発砲し、連れのドゥエインは死ぬ。その時、ディーターはとっさにドゥエインの靴を脱がせて、それをつかんで逃げていく。その無意識の生存欲求の強さ! そしてディーターは、その後、ドゥエインが「足が冷たい」とつぶやく幻聴・幻影を見る・・・ ■というわけで、さすがヘツツォーク監督、緑のジャングルの映像美など、とても見ごたえのある映画に仕上がっている。 しかし、ただ一つ、ラストはいかがなものだろうか。 これは実話ということなので、映画のラストのような出来事があったことも事実なのだろうが、あのラストでは、あまりにも単純なアメリカ万歳!になってしまっている。 私は、ディーターが救出されて空母の仲間全員に祝福され胴上げされているシーンは、ひょっとしたら夢おちか?と思ってしまったほどだ。 確かに、ディーターは「アメリカに翼をもらった」と話し、アメリカ的なるものを肯定し裏切らなかったわけだが、彼が生き残ったのは、彼個人の生存本能と能力だろう。 それに、そもそも、彼が飛行機乗りになりたかったのは、ドイツにいたときアメリカ軍の飛行機に攻撃され、その飛行機が美しかったからだという、きわめて皮肉な話だ。 であれば、このラストの描き方は、もう少しニュアンスを含めるべきだったと思うのだが・・・・ ■まあ、それでも、ラスト直前までは面白かったし、クリスチャン・ベールの演技について考えるというおまけまでついてきたという意味で、この映画は良し!としたい。 しかし、この映画が劇場公開されなかったというのは、単に戦争映画が不評なのか、はたまた、ヘルツォーク監督のような「岩波映画」監督が敬遠されるご時世なのか・・・・それとも、とにかく洋画全体が今の日本では不振なせいなのか・・・
とにかく、憂うべき予兆の一つであるように思うのは、私の勝手な思い込みかしらん。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー





はじめまして。オネムと申します。WOWOWで放映されたので、見ることが出来ました。ベイルがこういうので主役っていうので、期待してみました。虫、嫌いなので、おえっ・。。。でしたが。最後の締め方は確かにちょっとねぇとおもいました。
TBお願いします。今後ともよろしくおねがいしますね。
2010/1/16(土) 午後 4:29
オネムさま、コメント、TBありがとうございます。
クリスチャン・ベイルのファンですか?私も、少しばかり・・・。
彼って、さまざまな大作に出ているけど、主役級の割に二番手的な扱いが多かったり、意外と彼の魅力を全開した作品がないように思うんですけど。個人的には≪リベリオン≫の彼が、好きです。
とても多くの映画を見てらっしゃるんですね。こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
2010/1/16(土) 午後 9:37