腐女子教師の化けの皮の下

受験シーズンも一段落、いよいよ卒業式・終業式。某地方の弱小私立高校講師をしてる腐女子教師の日常をつづります。

らき☆すた

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2、ゆきとソフトボール

ゆきはそうじろうに似ない妹だった。
年齢は兄の一つ下、かなたよりは一つ上、
あまり活動的でない二人と遊ぶのはゆきが小2の頃までだった。
ゆきの父は家に籠もりがちな子供たちを心配し、
地域のスポーツクラブに入れようとした。
そうじろうは野球チームに見学に行っただけでもういいと逃げ出し、
父がさほど期待していなかったゆきは見学して
その場でソフトチームに入団を決めた。
そんなゆきに父は大変喜び、道具一式をすぐに買い与えた。

元々泉家は背は伸びる家系で、ソフトを初めた頃からグングン伸び、
あっと言う間にかなたがずっと年下に見える体格を身につけた。
恵まれた体格で練習に打ち込み、
兄より年上のチームメイトとポジションを競う中、
精神的にも肉体的にも鍛えられ、
ゆきは自分に強い自信を持つようになった。

日に日に逞しくなるゆき。
一方いつまでも内に籠もるそうじろう。
両親は前向きで活発なゆきに期待してソフト活動を応援し、へ
ゆきもその期待によく応えた。
ゆきは小学校最後の大会をエースピッチャーで4番、
しかもキャプテンの大役をこなし、
県内ベスト4の成果を残して中学に進んだ。

ゆきは中学でも迷わずソフト部に入部した。
ゆきの目標は、小学校チームで叶わなかった県大会優勝。
そんな目標を抱くことも当然の実績をもつゆきは、周りの大きな期待を
裏切らず一年からピッチャーでレギュラーに定着した。

そんな娘の活躍に両親は喜び、仕事の都合をつけて大会へ応援に駆けつけた。
ゆきは両親を受けて試合でも活躍し、2年続けて県大会ベスト4に貢献した。
そうじろうがようやく志望高校を決め勉強を始めた秋。
ゆきは部長となり、県大会優勝を目指すチームの中心として、
部員を引っ張っていった。
石川の雪深い冬もトレーニングを欠かさず、
チーム全員が次こそいよいよ県大会優勝を、
という気持ちを強めていった。
実際雪解け後最初の練習試合は、昨年県大会準優勝チームに大勝し、
部員たちは自信を確信に変えていった。

そうじろうは進学校に合格し、新しい生活が始まったはずだが、
相変わらずかなたにつきまとい、
ゆきの目には兄が目標を定めず過ごしているように映った。
「私は兄と違う、絶対中学での目標を達成するんだ」
そんな気持ちをほんの少し心の底に抱いて、無意識に焦っていたのかもしれない。

3年に上がった5月のことである。
ゆきはいよいよ近づいた夏に向けた激しい練習と試合での連投から、
肩を壊してしまった。
思いの外酷い状態で、投手としてのプレーは難しくなった。
もちろん悔やんだが、涙は決して見せず、
3年最後の夏の大会はマウンドを2年に譲り、
打撃の中心と手堅い内野手として県大会を迎えた。
予想外のアクシデントに部員は動揺したが、
ゆきはよくチームをまとめて戦った。
負ければ即引退試合。
そんな緊張の中で2回戦まで勝ち、少しずつチームの堅さもとれてきた。

中学最後の夏の大会は、高1のそうじろうが中2のかなたを連れて、
一回戦からずっと応援に来てくれた。
両親がどうしても都合がつかず、
優勝までの妹の勇姿を写真に収めるよう父がそうじろうに命じたのだ。

そうじろうは両親の期待以上に多くの写真を撮っていった。
かなたは出来上がった写真を見て、ゆき以外の写真の多さと
その映りの見事さに驚き呆れ、
でもゆきの活躍を最も見栄えよく撮った腕にほんの少し感心した。
そして上手く言葉に出来ない不安を、
そうじろうとカメラと女子中学生の組み合わせに感じ、
決勝まで一緒に行かなければ、という責任感が芽生えた。

そんな事情から応援に来てくれる兄とかなた。
近いようで遠い観客席に座る二人をグラウンドから見上げる度、ゆきは
「あの二人と一緒に漫画を読んで遊んだ最後はいつだっただろうか」と思い、
同じ家、同じ町に住む二人がやけに遠く、ずっと会っていないように感じた。
ソフトを始めてからは、漫画やアニメに夢中で夢見がちな兄と、
儚げで物静かなかなたからは、どこかつかみどころのない、
夢ばかりみているような雰囲気を感じ取り、
苦手に思っていたことを改めて思った。

勝てば準々決勝という3回戦。
大会前優勝候補に挙げられたゆきたちのチームは、
序盤から点を重ねるが、相手も少しずつ点を返し突き放せない。
そして、試合終盤でゆきの後輩投手の乱調から一気に逆転され、
勝てる試合だったが終わってみれば一点差で負け試合となった。

3年の引退試合にしてしまったことを悔いて泣く後輩投手を慰めながら、
治らない肩を抱えてはもうこれ以上ソフトの夢は見られないことをゆきは悟った。
チーム全員で応援団に挨拶に行くと、返ってくる大きな拍手。
見上げれば、兄たち二人の姿。
兄はカメラをしきりにいじりながら、どこか落ち着かないようにみえた。
かなたは顔を伏せて肩を震わせている。
ゆきは深く帽子を被り直し、逃げるようにグラウンドを後にした。

ベンチからバスに荷物を運びこもうという時に
ちょうど降り出した雨に濡れながら、ゆきは雨の日にかなたの家の縁側で、
かなたのお気に入りの絵本を二人で読んでいたことをふいに思い出した。
濡れた草や土の匂いを乗せて優しく吹く風。
包み込むような穏やかな雨音。
何故かそこで初めて引退の思いが込み上げ、ゆきの頬に涙が流れ始めた。

(3へつづく)

閉じる コメント(10)

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1より少し前の話になってしまいました。
本当はゆきの高校卒業まで一気に書くつもりだったのですが、
思いのほか妄想を練りこんだら長くなってしまい分割しました(泣)
下手な文章ですが、お付き合いください。

2007/9/3(月) 午後 5:37 [ 秋山妙子 ]

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最後ちょっと涙が出てきそうになりました(T_T)
いい話ですなぁ

2007/9/3(月) 午後 10:43 [ ちょび ]

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初です、ゆきの話を書けるとは……
長くなりそうですが、頑張ってくださいね!

2007/9/4(火) 午後 7:13 [ さくや ]

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>イラスト中心様
コメントありがとうございます。お気に召したようで嬉しいです。
>raki tsukayaside様
よろしくお願いします。ゆきの話…確かに他ではないと思いますw
でも、きちんとかなたとそうじろうの話につながりますので
気長にお付き合い下さい。

2007/9/4(火) 午後 10:53 [ 秋山妙子 ]

ゆきっていう人物は先生が作った架空人物ですか。

2007/9/5(水) 午前 0:37 [ えこ ]

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いえいえ、そうじろうの妹ですよ〜
ゆいやゆたかの母、こなたのおばさんです。
原作では顔も出ていないようです。

2007/9/5(水) 午前 0:39 [ 秋山妙子 ]

「ゆき」まで絡ませてくるとはスゴイです!
この三人がどうなるのか楽しみです☆

2007/9/5(水) 午前 11:46 カピバラ

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>カピパラ様
有り難うございます!妄想だけは誰にも負けませんw
なんか22話でかなたがしっかり描かれた
ようなので、構想を変更するかもしれませんが…
でも好きなキャラが本編でも取り上げられるのは嬉しいです☆

2007/9/7(金) 午前 0:33 [ 秋山妙子 ]

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完成度高いです。この前のらきすたも神回でしたけど、これもアレ並に感動モノですね^^ゆきはアニメ版出ないんでしょうか・・・

2007/9/7(金) 午後 11:13 [ - ]

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有り難うございます!なんか原作と雰囲気違いますがw
でもこなたちゃん初めて観たときからこういう背景を
思い浮かべてて。ゆきさんはいっそ出ないままで
存在感を出していくのもアリなのでは、と思ってますが…
いきなりラッキーチャンネルに出てきたりしてw

2007/9/9(日) 午前 0:25 [ 秋山妙子 ]


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