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「それで、私は何をすればいいのかしら」
「まずは人を集めようと思っている。能力が高くて信念に基づいて行動してる奴が欲しい」
キャロリアは腕を組み少しの間思案する
「変わり者でもいいかしら。いい意味でだけど」
「どういうことだ?」
「準備ができたらそこへ案内致します。説明するよりも見た方がわかりやすいと思いますので」
「見た方がいいと言われてもこの姿でか?」
人型をしているとはいえ、明らかに人とは異なるものが貴族の下を訪れるのは異様であろう
「ローブをまとって顔もフードで覆って私の話に合わせていただければ何とかいたします」
「わかった。西の森に身を隠しておくから準備ができたらどの魔物でもいいから頭をなでてやってくれ。俺達のところに案内するように命令しておく」
それだけを伝えて去ろうとするとする
「お待ちなさい。彼女も森の中に居させるつもりですか」
「そのつもりと言うかシアがどうしても離れないんだ」
「私はフェルザーの側近です。傍を離れては意味がありませんので」
無表情のまま事実だけを淡々と答える
「俺もここに来るまでの間に何度も宿に泊まるように行ったんだが絶対にこれだけは譲ってくれないんだ」
「絶対に譲りません」
「丸一日使って説得してみたがダメだった」
「野宿には慣れてますから」
「はぁ〜、わかりました。貴方達を客人として屋敷に招きます。仮にも貴族に会うのですから身だしなみは整えてください」
そう言うと周りの本を片付け始めた
「いいのか?俺なんかを屋敷に入れて」
「私の屋敷の使用人は全員が私の研究と目的を知った上で協力してくれている者たちだけです」
それを聞きフェルザーは疑問に思う
「目的?」
「あら、知らないんですか?」
不思議そうにキャロリアが聞き返す
「私の目的、というより夢は魔物たちと共生していくことなんですよ」
フェルザーは急に笑い出す
それも心底から
「なにがおかしいのですか?」
笑われたことが気に障ったのか、声に怒りが含まれる
「いや、おかしくない。ただ自分の考えと一緒の奴がいたことがうれしくてな。しかも人の身のままでだ」
「人の身のままで?」
「そうだ、俺はこの姿になってから自分の中の価値観がかなり変った。それこそ生まれ変わったようにだ」
「具体的にはどういう風に?」
気になったのか聞いてくる
「そうだな、まずは魔物の見方が変ったな。勇者時代は姿を見れば殲滅していたし、勇者になる前は逃げてたな。今はそこら辺にいる人間と変らないな。いや、人間より純粋な彼らのほうが付き合いやすいな」
「確かに人間よりは純粋でしょうね。でも純粋でないからこそ人間はここまでの文化を築き上げたのでしょうけど」
「否定はしない。だまし、裏切り、妬み、怨み、怒り、だからこそ強くてもろい。自分たちが一番崇高な生物だと勘違いするには十分だな」
「自分が一番崇高な生物。そう思えるから人間なのでしょうけど、貴方はどうなの?」
「俺か?俺は自分がどれだけ卑怯で汚くい存在かは理解しているからな。この世で一番崇高なものになんかなれないな」
「これから世界を変えようというのにその考えはどうなのですか?」
「世界を変えるのに崇高である必要はないからな」
「ふふふ、人間と違って貴方なら本当に世界を変えれそうね」
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