タイヨウ2号です。
お待たせいたしました!
本日は、例の“小泉徳宏監督オンライン・ティーチイン 〜おしえてカントク!〜”についてお届けいたします!!
先日の告知/募集記事にて皆様からお寄せ頂いたご質問の中から、担当者の方で11問ほど選ばせていただき(選ばれなかった方スミマセンです。また、なるべくたくさんの方のご質問にお答え頂けるよう、お一人で複数のご質問頂いた方は1問だけ選ばせて頂いたそうです)、監督へメールにてご送信、その後監督からご返信頂くというカタチでご回答頂きました。
監督からは「結構楽しくて長々と答えちゃいました。適当に編集して使ってください」との、お申し出を頂いるとの事ですが、そんなもん、せっかくなのでノーカットで掲載させていただくに決まっております!
それにしても小泉監督という方は本当に真摯なお方ですよぉ。
では、そんなご回答を全2回に分けて大公開いたしまっす。
まずは前半の5問をば。
ウガーッ!
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■小泉徳宏監督オンライン・ティーチイン 〜おしえてカントク!〜(前篇)
〜ご回答の冒頭に添えられた小泉監督からのメッセージ〜
さすがに、タイヨウ兄弟ブログを読んでる方々だけに、いい質問ばかりですね。ネタバレ注意!なので、まだ映画を御覧になっていない方は、映画を観るまで読まないことを強くお勧めします!
□主役にYUIさんをキャスティングした理由は何ですか? [ YUKIさんからのご質問 ]
主役である雨音薫のキャスティングを検討し始めたのは、脚本が一通り出来上がった段階でした。薫は歌を歌うことで生きている事を実感している役どころなので、もちろん映画の中に歌うシーンが出てきます。そこで考えなければならないのが、役者に歌ってもらうのか、歌手に演じてもらうのか、という二択。これは映画そのものの仕上がりに大きく影響する選択でした。
年齢も薫と近いし、透明感があって佇まいもどこか儚げ。でもそんな物理的なことよりも何よりも、彼女は、「歌を歌っている時に最も輝いて見えなければならない」という薫役の最も重要な条件を、僕らの想像を遥かに超える形でクリアしていたのです。
□撮影で一番大変だったシーンはどのシーンですか? [ rhythmさんからのご質問 ]
「大変さ」の種類にもよりますが、体力的に大変だったのは、薫の部屋や雨音家のリビングでのシーンを撮っている時、つまりセットでの撮影でしたね。あの時はスタッフ全員、5日間ぐらい連続で20時間以上働いて1時間睡眠とかで過ごしてました。今思い出すだけで、目が回るほどの眠気がよみがえってきます。
時間が無くて大変だったのは、薫と孝治と両親による最後の海のシーンですね。繊細なシーンであると同時にカット数も多かったので、丁寧且つ迅速に、太陽が落ちる前までに撮りきらなければいけなかったのは大変でした。
これは裏話になりますが、映画の最後の最後で、孝治が雄太や晴男と共に海へ飛び込んでゆくカットも、実はこのシーンと同じ日に撮影しています。この時はもう太陽がほとんど沈んでしまっていたので、当初3カットだった予定を急遽1カットに構成し直して、「タイヨウが沈むぞぉー!」なんていう怒号が現場に飛び交う中、慌しく撮ったカットでした。でも結果的には、多くの方に強い印象を残すカットになりました。映画にはそんなミラクルな瞬間があるようです。
□監督が一番撮りたかった画はどんなものですか?[ TIW23さんからのご質問 ]
「一番」と言われると、どれも甲乙つけがたいのでなかなか難しいのですが、薫と孝治の横浜でのデートシーンで、“Skyline”が流れる中、薫の演奏の中に他のミュージシャンが乱入してくる画は撮りたかったですね。
普通に生活している僕らにとっても、共通の趣味を持った人と出会うと、結構嬉しいものですよね。今までそういう人と出会った事すらなく、ずーっと一人寂しく歌ってきた薫ならば、その喜びは相当なもののはずです。自分の歌を大勢のお客さんが聞いてくれる喜びを知ったばかりではなく、自分と同じことに興味を持っている他のストリートミュージシャンたちと演奏できるなんて、薫にとってどれほど嬉しいことだったでしょう。
もちろん、現実的にはなかなか考えにくいシチュエーションではあるのですが、あの場面では、多少リアリティを損なうことになってでも薫の最高に楽しい姿を描きたかったので、気にせず撮ることにしました。
□映画の中で薫と孝治の“服装”がとっても印象に残っているんですが、それぞれイメージやポイントがあったのでしょうか?? [ まみさんからのご質問 ]
孝治の服装は、七里ヶ浜地域に在住の、同じ年齢くらいの人々を観察して構成していきました。皆さん本当にああいう恰好をされています。
薫の服装は、実は相当難しかったです。なぜなら、薫の生活スタイルからして、薫の服装選びには色々なアプローチがありすぎたからです。夜だから特に紫外線を気にしなくてもいいと思われるかも知れませんが、蛍光灯などの電球からも微量な紫外線が出ているんですね。だから、「夜でも長袖長ズボンなんじゃないか?」とか、「いやいや、昼に半袖とか着られない分、夜だからこそかえって開放感のある服を着るのではないか?」とか、他にも、薫は自分で服を買っているのか?母親が買っているのか?メーカーとかにこだわる性格なのか?ネットで買ったりするのか?スカートは履くのか?などなど、色々な憶測が飛び交いました。
最終的には、ストリートミュージシャンらしい、薫にとってもYUIにとっても似合うスタイルにしました。
□セットでの撮影で「やむおえず撮る事ができなかったこだわりのシ−ン」とはどういうシーンだったんですか?[ ジミヘンさんからのご質問 ]
こ、この質問には意表を突かれましたね。確かに 監督日記にそんなことを書きました。よく読んでいらっしゃる。正確に言うと撮影できなかったわけではなくて、自分が予定していたような演出では撮影できなかっただけで、シーンそのものは映画の中にも残っています。
そのシーンとは、朝陽を一緒に見ることができずに走り出した薫を孝治が家まで送り届け、今にも朝陽を浴びようかという瞬間に薫が玄関に駆け込み、孝治がわけもわからず外に締め出される、あのシーンです。あのシーンではその後、玄関のドアを挟んでの二人の沈黙が続きますが、その時の二人の様子を撮る際に、ちょっとした仕掛けを美術さんに頼んで用意して頂いていました。
これも裏話になりますが、玄関の内側と外側は別場所で撮影されていて、内側はセットで、外側は一般のお宅をお借りして、しかもそれぞれ別の日に撮っています。ところが先に説明した通り、セットでの撮影は非常に困難を極め、予定していた仕掛けをやる時間がなくなってしまったので、今現在映画にあるような撮り方に変更したのです。
今となっては存在しない演出なので、申し訳ないのですが詳細は内緒にさせてください。理由はただ一つ、次に皆さんがそのシーンを見た時に、「あぁ、本当はあーなるはずだったのにダメだったんだな・・・」という、本来ならば考える必要のないことを考えて欲しくないからです。逆に、ここで寸止めしたことで、かえって気になってしまうかもしれませんが(笑)
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どのお答えも興味深くて面白いですね! なんかまた映画観たくなりました。
という事で次回はこの続き(後篇)をお送りいたします。
現在放送中のTVドラマ版『タイヨウのうた』についてや、ご自身の「これまで」や「これから」、そして「監督にとって映画とは? 『タイヨウのうた』とは?」なんてご質問にもお答え頂いてますので、引き続き、お楽しみにしていてください。
押忍!!
■映画『タイヨウのうた』現在上映中の劇場一覧(もうすぐ公開終了です!)
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