|
5.ヘルムホルツの分解定理の間違いによってもたらされる悪影響 ヘルムホルツの分解定理が間違っている事の一番大きな問題は、この定理が与える考え方にありま す。この定理は、数学的・解析的に分解が証明されたとして、渦だけの成分流れと、発散だけの成分 流れに分解され、それぞれの流れが他に影響を与えないと考える点に大きな問題が発生してきます。 その発散解析を、ヘルムホルツの分解定理が成り立つと、速度ポテンシャルから得られる発散風だけ の解析で行うことになります。 実際に、多くの気象学者が発散解析を速度ポテンシャルだけで行っていて、現象の本質を見ること が出来なくなっています。その結果、大気大循環の考え方に大きな間違いをもたらせています。 発散分布そのものは、元の風から求めることが出来、そのことに関しては全く問題はありません。 風そのもので解析すると、日本に夏をもたらせる太平洋高気圧は、上層に出来るヒマラヤ高気圧の北 側の流れが、その東の端で南下するところで収束を起こし、その上層収束が日本付近の気圧を高め、 太平洋高気圧を維持していることが分かります。 分解できるとして、速度ポテンシャルを求め、発散成分風だけで発散分布を解析すると、太平洋高 気圧の原因となる「上層における日本付近の収束」がフィリッピン付近で発達する積乱雲からやって きていると言う結果になってしまいます。 猛暑となった1994年、2010年、及び冷夏となった1980年、1993年の夏の特徴を示す8月 の月平均図を用いて、猛暑や冷夏の説明が、ヘルムホルツの分解定理を信じず、元の風の解析だけを 利用した方が納得のいく説明が出来ることを述べたいと思います。 5.1 ヘルムホルツの分解定理が正しいとするフィリッピン付近原因説 発散や収束の分布は、天気現象を考える上で大変重要です。その発散や収束の原因となる風がどこ から来ているかを考察する場合に、ヘルムホルツの分解定理が成り立つと、発散成分だけからなる風 (以後発散風と呼びます)だけを検討することで事足りると考えられます。その場合、速度ポテンシ ャルという関数が得られて、その関数の傾きが発散風を与える事になります。 例えば、2010年の夏は日本の各地で観測開始以来の猛暑となった年ですが、この年の8月の対流圏上 層(200hPa)の速度ポテンシャル分布と発散風はFig.5.1の通りです。 Fig.1は、気象庁のホームページで公開されている資料ですが、図に見られる等値線の極大域Dから 極小域Cに向かう発散風が世界の風による発散収束を起こしていると考えられています。図の青や赤 の塗りつぶしは、平年からの偏差を表しているもので、今は無視して下さい。 アジア地区についてもう少し拡大してみましょう。 Fig.5.2に寄りますと、フィリッピン付近のDが発散の中心です。上層で発散した発散風は、赤道を 越えて南半球に流れる風が目立ちますが、日本付近に注目してみますと、Dから北にも流れ出した発 散風は、日本の南海上で収束しているように見えます。フィリッピン付近の積乱雲から上層に持ち上 げられた空気の一部が日本付近にやって来て、収束し下降気流を起こしていると考えることが出来ま す。これを漫画的に描きますと、Fig.5.3またはFig.5.4の様に描くことができると思います。 これが今の気象学会で信じられている日本の夏の大気大循環図のモデルです。夏が猛暑になるのは フィリッピン付近の積雲対流活動が活発になって、日本付近の上層で持続的に強い収束を起こすこと が日本の猛暑の原因と考えられるのが一般的です。 5,2 分解定理が間違いとして朝鮮半島付近の定常気象擾乱を原因とする説 ヘルムホルツの分解定理を全く用いず、発散・収束を元の風から求め、その原因を考えることがで きます。 Fig.5.5に実際の風の月平均分布とその風による発散・収束分布を示します。 風は矢印の方向で風向を、やの長さで風速を示しています。赤い等値線は発散量を、青い等値線は 収束量を示し、等値線の間隔は4×10−6(sec−1)です。 Fig.5を見ると、西日本から関東南および東海上に広く収束域が見られます。月平均で現れるこの上 層の収束域は、持続的な下降気流の存在を示し、ひいては日本に猛暑をもたらせた事を示す図と考え られます。 そしてこの収束域へ流れてくる風の上流は、朝鮮半島から中国大陸東岸の発散域となっています。 月平均図で現れるこの朝鮮半島付近の発散域は、定常的な気象擾乱の存在を示すものと見られます。 これを漫画に描いて見ますと、Fig.5.6 の様になります。 。 すなわち、ヘルムホルツの分解定理を用いなければ、日本の猛暑の原因は、日本の南に有るのでは無 く、西方に原因があることになります。 |
全体表示
[ リスト ]



