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はじめに

日本の夏は、太平洋高気圧が日本付近に居座って、下降気流場が持続して晴天が持続すると猛暑になります。
 
気象変化に関係している大気は、いわゆる対流圏ですが、中緯度では、冬季は1m以下、夏季は1万数千mくらいの厚さです。その上は成層圏と言って文字通り、安定した成層状態を保っており、空気の上下動が非常に小さくなっています。対流圏は、上に成層圏というフタをされ、下は地面とか海面で固定されています。

対流圏の中で上昇気流がある所では雲が発生し、曇りや雨の天気になります。逆に、下降気流がある所では、晴天になります。
 
上層で風が収束するところでは、上に空気の逃げ場所が無いため、下降気流が起き、晴天になります。

晴天が平年より長く持続する場所では、上層天気図の月平均図に平年より気流収束の大きな場所が見つけられる可能性があります。
 
今の気象学に寄りますと、風は「渦だけの風」と「発散・収束だけの風」に分かられますので、上層の風の収束の状態を調査するには、「発散。収束だけの風」から求められている速度ポテンシャルだけ見ると、「上層の収束」が分かるはずです。


1.速度ポテンシャル図


西日本の猛暑を大阪の8月の平均気温で代表して、速度ポテンシャルの8月の平均図から、上層のどの領域の収束が西日本の猛暑に関係が深いか調べてみました。


 1は、19588月の速度ポテンシャル図です。このような図が、1958年以降、毎月の平均図として最近まで気象庁のホームページで公開されています。

イメージ 1


1 速度ポテンシャル図見本(19588月の例)


1の実線がその月の速度ポテンシャルの平均値の等値線です。この線の値の低いほうから高いほうに向かって等値線に直角に、その間隔に反比例して「発散風」が吹いており、この風を解析するだけで、その月の上層の平均的な風の発散分布や収束分布が分かることになります。


色塗りは「速度ポテンシャル」の値が平年に比べて、高いか低いかを示しています。ポテンシャルの平年偏差ですので、風そのものの平年偏差ではありませんが、ポテンシャルの偏差を調べると、平年との差が表れており、どこかの場所で異常に収束が大きかったり、小さかったりすると、風の収束量の偏差にも現れている可能性があります。



2.図から平年偏差のデジタルデータを読み取る方法


月平均の等値線が実線で、その平年偏差が色塗りで示されていますが、統計処理をしたいので、この図からデジタルデータを取り出す方法を考えます。


実線の値を読み取る方法は、素人にはむつかしいので諦めます。偏差分布は色塗りで示され、その色の凡例も示されていますので、図の中の画素の色を読み込むことで、「その点」の「速度ポテンシャルの平年偏差の階級」が読み取られます。「階級」ですので、非常にあいまいな値しか読み取ることはできませんが、どの階級の色かが分かると、その階級の真ん中の値として読み取ることにします。緯度方向に2.5度、経度方向に5度に区切って、その格子に含まれるポイントの値を平均して、「その年のその格子領域の平均的な速度ポテンシャルの平年偏差」を知ることができます。


図2は、その格子による区割りの模様を示しています。南北60度までの全球を縦48区分、横72区分に分けて、南北60度で挟まれた全球の領域を、
横72、縦48
に区切って、それぞれの格子内の速度ポテンシャルの平年偏差を読み取ります。

イメージ 2
図2 全球を格子で区切って調査しました


領域の識別は(x、y)で表します。xは横方向に左端から何番目の格子か、yは上から何番目の格子かを示します。例えば、瀬戸内地方は(33,11)に当たります。


1つの格子内のサンプル数は、少ない格子では数個の場所もありましたが、平均的には40個あまりで、70個以上のサンプルが得られる格子もありました。


このようにして、縦48、横72の計3,456個の領域の速度ポテンシャルの平年偏差データが得られます。 


8月の速度ポテンシャルの平年偏差図は、1958年から2016年までの59年分ありますから、一つの領域について、59年分の、すなわち59個のデータが得られます。 


西日本の夏の猛暑を数値化するものとして、非常に単純に大阪の8月の気温を用いることにします。 


例えば、瀬戸内領域の(33,11)の速度ポテンシャルの平年偏差と大阪の8月の平均気温との相関を示すと図3のようになっていました。

イメージ 3


図3 大阪の気温と近傍上空の速度ポテンシャルの平年偏差との相関
(8月のみ)
 
すぐ近くの上空の速度ポテンシャルの平年偏差の間には、まったく相関はありませんでした。 


このような、関係を(72×48)の格子について調査し、その相関の強さ(相関係数)の分布図の一部を示すと、図4のようになりました。

イメージ 4
図4 大阪の気温と速度ポテンシャルの平年偏差との相関係数分布図

図4の相関係数の値は字が小さくて見ずらいですが、フィリッピン付近にマイナスの相関のやや高い領域が見られます。(東半分は、図が小さくなりすぎるため示していませんが、すべて0.3以下の小さな相関しかありませんでした)

フィリッピン付近の発散の中心に近いところで、平年偏差がマイナスだと平年より発散が大きい可能性があり、フィリッピン付近の上層の発散が、日本付近の下降気流の原因になって、大阪の夏の気温を押し上げている可能性を示した図になっています。

この領域の中で負の相関が最も大きかった格子は(31、23)の格子で、その場所の8月の速度ポテンシャルの平年偏差と大阪の8月の気温の相関は、図5に示す通りです。

イメージ 5
図5 格子(31,23)の速度ポテンシャル平年偏差と大阪の気温
8月)


散布図を見ても分かる通り、相関としては大きいとは言えないと思いますが、(31,23)の格子内の速度ポテンシャルが平年より小さいと大阪の気温は高くなる傾向はみられます。

速度ポテンシャルの大きさ自体が、発散や収束に関係しているような説明もありますが、本当はポテンシャル自体の大きさは直接には発散・収束に関係していません。

次に、このポテンシャルの偏差から「発散・収束の偏差」を求めて、大阪の気温との相関を調査してみましたので、続きをどうぞご覧ください




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