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<ヘルムホルツの分解定理>
流れの場の特性を表す量に「どれだけの速さでどちらに向かって流れてるか」と言うベクトルそのものの特性のほかに、「発散」と「回転(渦)」と言う量があります。
ヘルムホルツの分解定理によれば、任意の流れFは、「回転の無い発散のみの成分」と「発散の無い回転のみの成分」に分解されることになっています。
すなわち、流れの場F(r)は、
F(r)=∇Φ+∇×A ・・・・・・・・・・・1)
と言う式で示すことができるとされています。
∇Φを発散成分、∇×Aを回転(渦)成分と呼んでいます。
注:回転は渦とも呼ばれますが、ここでは、回転と言うことにします。
<ヘルムホルツの分解定理で言う成分は成分ではない>
ベクトルとは方向と大きさをもった量で、その空間の座標軸方向の成分に分解できます。この座標軸方向の値が成分です。この成分は、ベクトルそのものの別の表現の仕方であって、個々のベクトルに対して定義できます。
しかし、発散や回転は、その定義を見て分かりますように、1点だけに与えられたベクトルには、定義できません。空間微分によって定義されるこの量は、そのベクトルがその微小領域の中でどれだけ発散に、あるいは回転に寄与しているかを示す、寄与量です。決して成分ではありません。
<もしもそれを成分と言うのであれば>
発散や回転に寄与するその点のベクトルの寄与量を、強いて成分とするなら、その成分は、その微小領域の中で、「発散に寄与する成分」、「回転に寄与する成分」の他に、「発散にも回転にも寄与しない成分」と「発散にも回転にも寄与する成分」を考慮すべきです。
すなわち、流れの場の中のある点における、発散、回転に関するベクトルの成分は、下図のように分解することができます。
<任意の流れをベクトル場Fと考えると、∇Fと∇×Fは、くっついており、分離できない>
流体学者は、流れの場Fが存在するとき、∇・Fの場も∇×Fの場も計算できることをもって、これが「分解できた」と早合点しますが、「発散にも回転にも寄与する成分」があると、元のベクトルFは両方に寄与しているので、下図のように、∇・Fの場と∇×Fの場が分離できない「くっついた場」になっていて、Fが「発散のみの場」と「回転のみの場」に分解されていません。
流れに回転が無いと分かっている場合には、∇(∇・F)だけのネットになり、流れに発散が無いと分かっている場合には、∇×(∇×F)だけのネットになることが、数学的に分かっていますが、一つの流れの中に発散も回転もある流れでは、これらのネットはくっついていて、分離することはできません。
すなわち、ヘルムホルツの分解定理は、一般に流れの場には適用できないことが分かります。
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Helmholtz Decomp
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