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流体の流れの場は、まさにベクトル場です。
ただし、実際に時間を止めた瞬間の空間に分布しているのは、「物質の位置r」の分布だけです。空間に分布している各物質の位置が次の瞬間(Δt後)にどこに移動したか、異なる二つの瞬間の位置の差「ずれ」を時間差Δtで割ったベクトルの分布を、たとえば後ろの瞬間の空間に代表させて表示したものを「流れの場」と、便宜上しているだけです。
したがって、厳密には、時間という次元を持たない瞬間の空間に「速度場」という場はありません。
流れの場は、実際には、流れを構成している流体で占められています。場合によっては、空間が流体の物質で埋められなくて「真空」になっていることもあるかもしれませんが、二つ以上の流れの物質が同じ瞬間に同じ場所を共有することはありません。
すべての現象は、3次元空間の「ぱらぱら漫画」であり、gifアニメのように、物質の位置の分布が、次々と変化すると考えるべきです。
一方、電磁気学が取り扱う電場、磁場は、ベクトル場として、一般に数学的には、流れの場と同じく「ベクトル場」として扱われていることが多いですが、実はベクトル場では無く、「ポテンシャル場」です。
「ポテンシャル場」とは、「ベクトル場」とどのように違うか、以下に説明をします。
二つの電荷または、質量があるとき、その間に働く力は
の形で示されます。Q1,Q2は電荷または質量で、距離r離れた場所でお互いが受ける力を示しています。原子などは質量も電荷もともに備わっていて、電気力(クーロン力)は万有引力場に比べてけた違いにおおきいのですが、天体間の力は、電気力と同じ数式で表現できるので、以下、電場のみで話をいたします。
二つの電荷があると、互いに他に力を及ぼします。または、互いに相手から力を受けます。この一方に電荷Qを置き、もう一方を単位の電荷とすると、単位電荷には互いを結ぶ線上の方向に、大きさが
の力ベクトルが与えられます。
この「もしも単位電荷を置いたとしたら与えられる力ベクトルの場」を一般に電場ベクトルEと言っています。
この電場ベクトルEは、電場を作っている電荷Qのある点にすべて向かっていて、その距離rだけの関数で与えられますので、回転は全くなく、∇×E=0の条件を満たしているので、スカラーポテンシャルφを持っています。そのスカラーポテンシャルφは、
で与えられます。
もしも、電荷が複数個ある場合は、ここの電荷により複数個の電場のスカラーポテンシャルができますが、このポテンシャルはスカラーですから、足しあわせができます。
これらの計算を行うと、はじめに電場ベクトルEが存在していて、そのベクトル場からスカラーポテンシャルが求められたように思われますが、実態は、電荷Qがあると、その周辺にポテンシャルφが存在し、任意の場所に単位電荷を置くと、そのポテンシャルによって、電場Eを得ることができると言うことを認識しておくべきです。これが電界Eと言うベクトル場です。
それは、万有引力場における質量が受ける力に関しても、全く同じです。
再確認しておきますが、電場のベクトルEは実際に空間に満ちているわけではありません。電荷Qがある周辺の空間に実際に存在するのは、電場ポテンシャルΦがあるだけで、このポテンシャルがあっても、その空間に電荷を置かなければ、力のベクトルはありません。ポテンシャルが空間に広がっていて、“ベクトルを考えることのできる空間”がそこにあるということです。
磁場もポテンシャルです。ベクトルポテンシャルとベクトルの名がついていますが、物理的な意味は「単位電流(単位の電流の中に単位長さを考えると)」がそこにあれば、その電流の流れの方向と磁場のベクトルポテンシャルHの間にベクトル積を取ることによって物理的に意味のある「力ベクトル」を考えることができる、と言うポテンシャル場です。
そのベクトル場を電界Eや磁場Hとして、流れのベクトル場Vと同じように、一般には扱われています。
しかし、ベクトル場とポテンシャル場は、基本的に違いがあります。
ポテンシャル場が流れのベクトル場と違う点の一つは、流れの場が正確には二つの瞬間の「物質の位置rの微少な時間微分」であるので、瞬間値が存在しないのに対して、ポテンシャルの値は、掛け値無しに「その瞬間」に値が決められる点にあります。
従って、ポテンシャル場である電場や磁場によって与えられる(力)ベクトルも瞬間に考えることができます。ポテンシャルの分布が決まっているので、「点」における空間微分値が決定できると言うことです。ポテンシャルが与えられるとベクトル場は、必ず決定できます。
それでは、逆にベクトル場があると、必ずポテンシャル場は存在するでしょうか。ベクトル場というのは、空間のどのポイントにもベクトルが与えられれば、ベクトル場と言うことができます。極端な例を挙げると、各空間にランダム関数で成分を与えた場合でもベクトル空間と言うことができます。
流体の流れの分布は、結論から言うと、ナビア・ストークスの非線形方程式で与えられます。私の「ヘルムホルツの分解定理は間違っている」の記事に
のようなコメントをいただきました。
彼の言うベクトル場とは、ポテンシャルのあるベクトル場で、言い換えると、ポテンシャルから導かれるベクトル場のみがベクトル場と言っています。
「ベクトル場」の言葉の使い方は、私と違っていますが、流体の流れの場が、非線形方程式で表されるべきモノで、現実の流れの場に一般的にポテンシャル(彼はベクトル場と言って居ますが)が無いと言う事については、同じ考えです。
彼の言って居るポテンシャル場から得られるベクトル場は、「回転の無いベクトル場か、発散の無いベクトル場」しかありません。回転も発散もあるベクトル場は、彼の言う意味でのベクトル場は、数学的に存在しません。数学の得意な彼ならその証明はできるはずです。
流れの場に、もし回転(渦)が無ければ、速度ポテンシャルが、発散が無ければ流線関数というポテンシャルが存在することが数学的に保証されます。
これらの関係は、すなわち流れの場に「渦がある」と「速度ポテンシャルが存在する」こととの関係、および流れの場に「発散がある」ことと「流線関数(ベクトルポテンシャル)が存在する」こととの関係は、どちらも「必要十分条件」です。
したがって、もしも流れの場に「発散も回転も、両方」あれば、回転があることにより速度ポテンシャルが、発散があることにより流線関数の存在が否定されます。
こんな簡単な科学的、基本的類推が現代の科学者には理解が出来ず、さる権威ある先生から
とのコメントを頂きました。もうずいぶん前になりますが、他の権威ある先生から同じことを聞きました。これだけの権威ある先生方が、同じように言っているのだから、正しいのでしょうか。
例えば、流れの場を何かの容器に例えましょう。
この容器(流れ)には形で言うと直方体の容器と円柱型の容器があります。他の形の容器はありません。直方体の容器には空色の金平糖が入っていますが、円柱型の容器には空色の金平糖は入っていません。形は回転があるか無いかを表しており、回転がある流れは円柱形の容器で、回転が無い流れは直方体の容器で表しています。
一方、容器は黄色と白色の2種類の色が塗られています。他の色の容器はありません。白い容器には赤い紙に包んだ飴が入っていますが、黄色い容器には赤い紙に包んだ飴は入っていません。容器の色は、発散があるか無いかを表しており、発散がある流れは黄色い容器で、発散が無い流れは白い容器で表しています。
さて、黄色くて円柱型の容器には、ケーキと飴が入っているでしょうか?
この権威ある先方生は「直方体の容器にケーキがあり、白い容器に赤い紙に包んだ飴が入っていることを証明しただけで、直方体でなく白くない容器に飴やケーキが入ってないことは、証明出来ない」といっています。この説明で世間は納得しているのです。この考え方によって、ヘルムホルツの分解定理と言う定理は”成り立っている”のです。
私には、幼児が”だだをこねている”だけのように思えますが、これが現状です。
彼らは、なぜこんな簡単なことが分からないのでしょうか。流れの場Fには、発散の場∇・Fも回転の場∇×Fも計算によって求めることが出来ます。これらの計算ができるだけで、それらが独立して存在していると勘違いしています。
それらが、互いに独立していると証明出来れば、彼らの主張が正しいのですが、その証明も出来ないままに、独立していると勘違いしています。
流れFを用いて、∇・Fと∇×Fが計算できれるので、流れの発散の分布も流れの回転の分布も得ることができます。発散の分布が分かれば、その分布は、回転の無い流れ成分による発散分布であり、別に回転の分布が分かれば、その分布は発散の無い流れ成分による回転の分布と考えると、ヘルムホルツの分解定理には、何の問題も無いと考えています。
しかし、元の流れFに、両方の計算に寄与する成分があると、流れFが回転成分と発散成分にきれいに分解は出来ません。(ヘルムホルツの分解定理を前提にして、発散成分、回転成分と言って居ますが、もともと発散成分や回転成分というのはありません。成分とは点ベクトルにも付随しているもので、周辺のベクトルとのありようで決められる発散や回転の量は成分と言うことはできません)
流れFには、発散に寄与する成分、回転に寄与する成分があることは、∇・Fと∇×Fが計算できれるので容易に考えられます。発散にも回転にも寄与しない成分は、一様流を考えると、簡単に理解できると思います。問題は、「発散にも回転にも寄与する成分」があるか、どうかが問題です。
発散と回転を求める式を極座標で見ると下図の通りです。
見ると両方に寄与する成分があることは、発散、回転の両方にすべての成分が関係しているので分かります。
たとえば、極座標成分を(極中心方向r、経度変化方向φ、(90度−)緯度変化方向θ)と呼ぶことにします。すると、発散と回転とを計算している点のUrの値の変化は、発散にも影響を与えますし、回転にも影響を与えることが分かります。他の成分もすべて、その変化が、どちらにも影響を与えています。
すなわち、流れの場Fから求められる∇・Fの分布から得られる発散分布と∇×Fから求められる回転の分布は、互いに独立して存在するモノでは無く、下図のイメージに示すように互いに共通する成分を持っています。
上の図は、流れべくとるF から∇・Fと∇×Fが求められても、発散に寄与する成分と回転に寄与する成分が共通の項を持っているため、元のベクトルが「発散成分」と「回転成分」に分解できないことをイメージしています。
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