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<猛暑年と冷夏年の比較>
 日本の猛暑の原因がフィリッピン付近にあるか、朝鮮半島付近にあるかを考えるために、その逆の
冷夏年との比較をするとよく分かります。

 Fig.7に西日本の8月平均の年々の変動を示します。西日本とはFig.7付録に示される領域のデータです。
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               Fig.7 西日本の8月の年々の気温変動
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              Fig.7付録 統計に用いられた西日本の領域

Fig.8に猛暑年である1994年と2010年の、またFig.9に冷夏年の1980年と1993年の、8月の上層天気図
と外向き長波放射量分布図(OLR)を示します。

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       Fig.8 猛暑年(1994年および2010年)8月のOLR分布と対流圏上層の天気図

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       Fig.9 冷夏年(1980年および1993年)8月のOLR分布と対流圏上層の天気図

Fig.8及びFig.9は気象庁が公開している「外向き長波量(OLR)の分布図」と、「200hPa天気図」
のそれぞれからアジア付近を切り出し合成した図です。公開されている元の図の見本としてFig.10に
猛暑年の1994年8月のOLR分布図と同月の200hPa 天気図を示します。
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   Fig.10 1994年(猛暑年)8月のOLR分布(上図)と200hPa 天気図(下図)

外向き長波放射量(OLR)は、図では色塗りされて表示され、等値線に”200”とか”240”の値が付け
られています。この値の単位は1平方メートル当たりのW(ワット)で、等値線間隔は20W/m2で
引かれています。

静止衛星で地球表面から宇宙に逃げ出す赤外線のエネルギーを観測しているもので、この値が大きい
と地球表面の温度が高かったことを、低いと表面温度が低かったことを示します。

赤道上約3600Km上空の静止衛星から見ると、積乱雲のトップの高さ約16Kmもほぼ地球表面として
扱うことが出来ます。積乱雲に覆われるとマイナス50℃以下にもなり、一方好天が続く地表では、50℃
近くにもなります。海水面の表面でも25℃から30℃近くになりますので、積乱雲に覆われている所は
OLRが小さく、晴天の場所ではOLRが大きな値が観測されます。

OLRの観測はおおざっぱな天気観測として考えることが出来ます。これらの図でピンクから白で彩塗ら
れているOLRの大きい場所では好天持続、すなわち猛暑の場所と考えられ、青から水色で塗られている
OLRの小さい場所は、積乱雲の活発な場所であったことが分かります。

一方、「200hPa 天気図」は、等値線に"12300“とか“12450”の値が付けられた実線で表示されて
います。この等値線は、200hPa になるほぼ海抜「高度」を示しています。12300m以下は300mごとに、12300m以上は30m間隔で表示されています。

上層天気図の“高度”は、普通見られる地上天気図の気圧分布と同じように見ることが出来ます。高度
が高い所が気圧の高い所です。

ヒマラヤ付近に中心を持つ高気圧が夏の間いつも出来ています。この東西に平べったい高気圧の東の端
はくさび上に張り出していることが多いのですが、年によってその形に特徴が表れます。日本の夏は、
この張り出し方に左右されます。

猛暑の図Fig.8と冷夏の図Fig.9を比較しながら、まずは色塗りされているOLRの等値線を見て下さい。
猛暑の年は240W/m2の大きな値の等値線が日本の本州を覆い、260W/m2以上の薄いピンク
の領域が西日本を覆っています。OLRが大きかったことは前にも述べたように猛暑であったことをOLR
で確認したことになります。

それに対して冷夏年の図Fig.9では、240W/m2以下の薄い水色に覆われ、西日本付近は220
W/m2以下のやや濃い水色の領域も現れています。OLRが小さかったことは、発達した積乱雲に
覆われることが多く、日差しが少なく冷夏であったことを確認したことになります。

さて、上層の天気図を重ねて示したのは、これらの猛暑と冷夏の原因を天気図から見たいと考えてい
るからです。

 どちらの図にも共通して言えることは、ヒマラヤに高気圧の中心があって、東西に平べったく伸び
ていることです。

 そして、猛暑の場合は東に延びた高気圧の東側の端が、くさび状に尖っている場合はくさびの軸が日
本の北側の日本海に延びているか、東の端がくさび状ではなく、しっかりしたこぶ状の高気圧になっ
て日本付近を覆っています。一方、冷夏の場合は、東に伸びたくさび状の高気圧の軸は北緯30度より
南に延び、猛暑の例と比較 すると大分南に延びています。

さらに、最も注目して貰いたいことは、冷夏年では、12300mと12450mの間の偏西風帯が西日本付近を
通っていて、その偏西風帯に”定常的な気圧の谷“(東西に走る等高線が南に垂れ下がっている部分)
が東経120度か少し東側に見えることです。このように定常的な気圧の谷が120度付近にあると、その
東側では、「谷の前面の上層発散場」ができ、気象擾乱が発達しやすくなります。

それに対し、猛暑年では、定常的な気圧の谷が東経120度より西にあり、上層発散場は日本の西側、す
なわち朝鮮半島から大陸東岸に見られるか、あるいは谷は明瞭では無く、12450mの高度が北の
方に上がって、日本付近は上層の高気圧の中に入っています。

 これらの特徴から言えることは、日本の猛暑や冷夏は、上層に見られるヒマラヤ高気圧の東側のく
さび状の形や、ヒマラヤ高気圧の北側の偏西風帯の部分の位置と形状によって決まってくると考えら
れます。

 ヒマラヤ高気圧の北側及び東側の形状と日本の夏の特性には以上で見て来たような明瞭な関係がありますが、フィリッピン付近の対流活動との明瞭な関係は認められません。

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