新世紀のビッグブラザーへ blog

作家 三橋貴明のホームページ「新世紀のビッグブラザーへ」のブログです。

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続 日本のGDPあれこれ

 日本のGDPあれこれというタイトルですが、日本の話はあまりありません。
 さて、世界で最も「一人当たりのGDP」が高い国はどこでしょう。ご存じでしょうか、ルクセンブルグです。
 このルクセンブルグの「一人当りのGDP」世界一ですが、一つ大きな問題を抱えています。それは、分母となる「国民」数のカウントです。
 OECDの統計によると、ルクセンブルグの人口に占める外国生まれの割合は33.1%。そして国連の調査によると、労働力人口に占める外国人の割合は45%です。
 さて、ここで問題です。
 一人当たりのGDPを計算する際、外国人労働者は「一人」に含まれるでしょうか? 勿論、含まれません。外国人労働者は国民じゃないのですから、当たり前です。
 つまり、GDPの計算時には外国人労働者が産みだした付加価値分はカウントされるが、「一人当たり」を数えるときには、外国人労働者数が省かれるのです。
 外国人労働者が半分近くを占めている状況で、これは「ルクセンブルグ国民」の産みだした付加価値で、こちらは外国人分などと区分けできるわけもありません。特殊事情を抱えるルクセンブルグが、統計を取るときに、こういう異常な計算式になるのは分からないでもありません。
 2007年のルクセンブルグのGDPはちょうど100,000ドル位でしたが、同国の人口が46万人なので、GDPとしてカウントされているのは、約460億ドルになります。外国人労働者が45%なので、単純計算して55%がルクセンブルグ国民の労働者により生み出された付加価値としましょう。
 そうすると、GDPが253億ドルになり、人口が46万人なので、割り算をすると、ルクセンブルグの一人当たりのGDPは$55,000に下がってしまいます。ほぼ半減です。
 ちなみに、日本の労働人口に占める外国人の割合は0.3%です。
 わたしは別に、ルクセンブルグの国民所得は嘘だとか、インチキだとか、極論を言う気はありません。ルクセンブルグが主に金融業で経済成長を続け、国民が富んでいるのは事実なのですから。
 ただ、外国人労働者が45%を占めるルクセンブルグと、0.3%の日本を同じ土俵(一人当たりGDP)で比較して、果たして意味があるのかと問いたいだけです。
 日本とルクセンブルグを比較するなら、「労働者一人当たり」GDPとかで比べなければ、ダメでしょう、どう考えても。

 もう一つGDPネタを。
「中国の経済規模、実際より4割過大評価=世界銀行」
http://www.chosunonline.com/article/20071219000044
「 世界銀行は17日、購買力平価を基に算定すると、2005年の中国の国内総生産(GDP)は5兆3000億ドル(約600兆円)で、1986年の物価を基準にして算定した8兆8000億ドル(約997兆5000億円)より40%も小さいとする試算を明らかにした。
 購買力平価基準によるGDPが縮小したのは、GDPの算定基準となる物価が急騰したためだ。中国は86年以降、世銀による物価調査に応じてこなかったが、今回の調査にインドとともに加わり、物価上昇が反映された結果、GDPも大きく修正された。中国は世銀調査に11都市の物価統計を提出した。」

 わたしはご存じの通り、元々PPP(購買力平価)ベースのGDPに重きを置いていませんが(購買力算定時に、価値を計りにくいサービスを含めているため)、中国に至ってはそのPPPベースのGDPの基準となる物価さえ、出鱈目なものを使っていたわけです。
 1986年と言えば、すでに22年前です。中国は22年間物価が変動していないという前提で、PPPベースのGDPを計算し、「すでにPPPベースなら日本を抜いた!中国マンセー!」とやっていたわけです。
 もう、ね、莫迦ですか、と。いっそ、PPPベースGDP算定時の物価基準は、文革直後くらいのものを使えばいいんです。GDPが50倍くらいになって、めでたくアメリカも抜けますよ。
 この中国のインチキPPPベースGDPの数値を元に「中国は日本を抜いた!」とやっていた経済評論家の皆さん。あなた方は中国をウォッチするのに向いていないのが明らかなので、取りあえず廃業された方がよろしいかと。いきなり40%もPPPベースのGDPが減少する国ですから、明日計算し直してみると、今度は90%位下がるかも知れませんよ。


*新世紀のビッグブラザーへのHPに、ブログのインデックスを作りました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm

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ルクセンブルグは、金持ちの為にある国ですからね。
王室や国際金融資本などの資金が集中しています。
巨大なオフシェア市場を持ち、利子や所得税の優遇処置で欧州の富裕層や国際企業を集めています。これは地政学的な位置関係と少ない人口の成せる技といえますね。(%が低くても金額が膨大ですから)
今回のEU統合でも、欧州裁判所、会計監査院、欧州投資銀行(EIB)、欧州議会事務局などのEU諸機関などがおかれることになっており、欧州の王室や支配者の為の国家であるということが良くわかりますね。ルクセンブルグの移民条件は非常に厳しく一般人では移民できません。その為単純労働は周辺国からの出稼ぎ労働者が補っていますね。
まぁ、裏にある手品の種としてはこんなところでしょうか?

2008/4/26(土) 午後 7:52 [ 渡邉哲也 ]

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う〜ん・・・なじめそうにない国ですね。(まあ、縁も無いですが)
いくら富裕層を集め、金融サービスで国を富ませようと、やはりインフラ維持などのための単純労働者は必要ですが、それは外国人労働者で補っているわけですか。そして、その外国人たちはルクセンブルク国籍は取らせないと。
ある種、典型的ですね。

2008/4/27(日) 午前 0:02 [ tak**kimit*uh*shi ]

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