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欧州の二つの国 前編(の前編) からの続きです。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/32294338.html
最近(08年)、政府は財政黒字にも関わらず、民間の金融機関が(4)をデフォルトしたヨーロッパの国があります。そう、アイスランドです。
【欧州諸国の財政赤字対GDP比率の推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_25.html#Euro
07年までのアイスランドは、他の欧州諸国と比べても極端な水準の「財政黒字国」でした。政府が財政黒字ということは、多くのケースで「政府が負債を増やす必要が無い」状況が起きていることを意味します。政府の財政黒字の裏で、国内の民間の負債の急激な増加、すなわちバブル経済が発生している可能性が高いわけです。
実際、アイスランドでは民間銀行が「海外の低利回り諸国からお金を集め、高利回りな証券化商品に投資する」というモデルで大いに稼いでいました。まんま、97年の韓国と同じ状態ということですね。アメリカで不動産バブルが崩壊し、証券化商品が暴落した結果、アイスランド・クローネ(同国の通貨)の暴落が発生し、民間銀行がデフォルトしたと、プロセスまで全く同じです。
そういえば、扶桑社から出した「崩壊する世界 繁栄する日本」において、わたくしはアイスランドについて、
『冷戦の重要拠点である事実を利用し、西側先進国である島国に、脅迫まがいの妥協を迫る。どことなく、どこかの半島国に似ているような気もするが、きっと気のせいだろう。(P66)』
なんて書きました。民間銀行がデフォルトするまでのステップまで、両国はそっくりなんですね。
さて、アイスランドの銀行は、主にイギリスやオランダの預金者からお金を集め、それを証券化商品に投資していました。最終的に海外からの借入(今さらですが、「預金」とは銀行にとって「借金」「負債」に該当します)は、同国のGDPの九倍を超えてしまうような状況に至ったのです。
バブルが崩壊し、投資先の証券化商品が暴落したところで、同国の対外負債が消えるわけでも何でもありません。海外預金者から集めたお金をどのように返済するのか。あるいは、そもそも「国家」として返済する必要があるのかどうか。
現在、アイスランドと英蘭両国はもめにもめています。
『2010年1月6日 「オランダ政府、アイスランド政府のローン返済拒否に失望」
http://www.portfolio.nl/article/show/3133
オランダやイギリスからネット預金で多くの預金者を集めていたアイスランドのアイスセーブ銀行が昨年破綻した件で、アイスランド政府は約束していた両政府の肩代わり補償に対するローン返済を拒否した。
火曜日に開かれた記者会談でアイスランドのグリムソン大臣は、オランダへの13億ユーロとイギリスへの25億ユーロの返済契約に署名しないと発表した。両国はアイスセーブに投資して失った個人預金者に対し補償金を支払っており、この分をアイスランドにローンとして貸し付けていたもの。
これに対しオランダのボス財務大臣は「非常に失望した」と発言。また自由党の議員は「全く信用できない国である」と怒りを隠さない。同議員は欧州レベルでアイスランドとの自由貿易を停止すべきだと述べている。
また英国の財務次官も「アイスランドは世界の経済から孤立する可能性がある」と警告を発している。』
『2010年1月7日 「アイスランドは「義務を守る」=預金返済めぐりグリムソン大統領」
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-13238320100107
アイスランドのグリムソン大統領は6日夜の英BBCテレビの番組で、経営破たんした同国の銀行に資金を預けていた英国とオランダの預金者に対する総額50億ドルを超える返済についてアイスランドは「義務を守る」と言明した。
アイスランド議会は12月末、英国ならびにオランダ政府が既に預金者に支払った補償金を両国政府に返済する法案をわずかな票差で可決している。
しかしグリムソン大統領は今週5日、法案の署名を拒否すると表明し、国際金融市場やアイスランド政府に衝撃が走った。大統領の署名拒否を受け、法案成立の是非は国民投票にかけられることになった。
大統領は「われわれが義務を果たさないとの見方は完全に間違っている。既に存在し、わたしが署名した法律の基本的原理は、アイスランドは義務を守ると宣言するというものだ」と述べた。』
ちなみに、アイスランドのGDPは175億ドルです。イギリスやオランダに返済を求められている50億ドルとは、同国のGDPの3分の1近いわけです。(日本で言えば、150兆円の返済を求められているようなもの)
この問題が複雑なのは、そもそも「(4)民間が海外から外貨建てで借りた負債」を、国家として海外に弁済する必要があるのかという、根本的な疑問が存在し、アイスランド国民が納得することは到底考えられないためです。国民投票にかけたところで、否決される可能性が高いと思います。(グリムソン大統領の言っている「義務を守る」とは、「署名した法律の義務は守る」ということで、彼は署名しなかったわけです。)
グローバルにマネーが行き交う状況では、海外政府への貸付(要は国債購入)のみならず、「海外の銀行への預金」についても、規模によっては国際問題の種になってしまうわけです。一般国民が海外の銀行に預金したところで、それは単に「民間の経済活動」に過ぎません。
その民間の経済活動についても、政府やその国の国民が責任を負わされるのでしょうか。あるいは、負わされるべきなのでしょうか。分かりません。
アイスランドのケースは、ルールなしで「グローバルにマネーが行き交う状況」を受け入れてしまった世界に、重い問いを突きつけているのです。
明日に続きます。
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