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「人民元安に舵を転じた中国共産党 前編」からの続きです。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/21155713.html
『牽引役一転。世界の重荷 中国、不動産低迷 来年ゼロ成長も
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200812030013a.nwc
中国の急成長地区の深セン、広州で住宅価格が急落し、世界のGDP(国内総生産)成長率を半減させる心配が出てきた。
不動産会社サヴィルズの調査によると、上海の住宅価格は7〜9月に前四半期比で19.5%下落した。中国の輸出品の約3割を生産する広東省で、最も急速な成長を続ける深センや広州では、集合住宅の価格が下げ足を早めている。
マッコーリー証券によると、中国の民間建設は10月に前年同月比32.5%増を記録してから少なくとも16.6%減に落ち込んだ。景気後退局面にある日本や欧米諸国向けの輸出需要が減る中で、すでに成長の伸びが鈍化している中国経済に建設ブームの冷え込みが追い打ちをかけている。中国にとって建設は成長の最大の牽引(けんいん)役であり、GDPの4分の1に相当。7700万人の雇用を支えている。(後略) 』
上海の住宅価格が前四半期比で19.5%下落って、さすがに嘘だろ〜っ!!!と言いたくなります。対前年比の間違いじゃないか、と言いたいところですが、中国のことだから分かりません。
中国人民銀行(中国の中央銀行)は先月の26日に、政策金利を6.66%から5.58%へと、1.08%(何でこんなに細かい数値でオペレーションやっているのでしょう?)引き下げました。この引き下げ幅は、実はアジア通貨危機以来のものですから、中国当局の危機感をまざまざと感じ取れます。
ところで、記事のタイトルのゼロ成長は、中国の不動産あるいは総固定資本形成がゼロ成長の意味かと思ったら、違いました。記事の後半に、以下の記述があります。
『アジアノミクスの主席エコノミスト、ジム・ウォルター氏は「中国は今や世界の景気減速の中心的存在となった。世界の成長が来年は恐らくゼロに近い水準に落ち込むという意味だ」と警告。同氏は来年の中国の成長率をゼロから4%と予想。30%の確率でマイナス成長の可能性もあるとみている。 』
散々語りつくされてきましたが、毎年新たに市場に参入する新規労働力を吸収するためには、中国は年間8%以上成長しなければなりません。マイナス成長やゼロ成長どころか、4%成長であっても共産党は重大な危機に追い込まれます。
先日、香港紙で中国の十月の成長率が5%にまで低下したという、微妙にディスインフォメーションっぽい報道が流れました。もしもあれが事実だとすれば、来年の中国の経済成長率が4%未満に落ち込むことは、可能性として充分にありえるでしょう。
そこで中国のGDP構成の話に戻りますが、「純輸出」「総固定資本形成」「政府消費支出」「個人消費支出」というGDPの四項目のうち、個人消費支出を拡大させることはとりあえず望み薄です。インフレと失業率拡大が続いているというのもありますが、大本の社会保障制度の問題が解決しない限り、中国人の貯蓄率が下がるとは思えません。中国にまともな社会保障制度を構築するには、もう一度共産革命でも起こさない限り不可能でしょう。
そして総固定資本形成(具体的には、対不動産バブル崩壊)対策としては、中国当局には利下げを繰り返すくらいしか手の打ちようがありません。世界的に信用収縮が起きている状況で、不動産バブルの夢よ、もう一度などと、超リアリスト揃いの中国共産党上層部が考えるわけないです。ついでに書くと、昨日のエントリーにも書いたように、中国不動産バブルの中心だった上海の人気が、大きく落ち込んでしまいました。要は、上海不動産市場はリスクが高すぎて、投資家に嫌気がされているわけです。
そうなると、中国の頼みの綱は「政府消費支出」になるわけですが、中国政府が57兆円の景気対策をぶち上げたのはご存知の通りです。
ところが、この57兆円の景気対策も、相当眉唾モノのようです。
『実は10兆円? 宣伝で先手 中国57兆円景気対策の内実
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200811120103a.nwc
中国政府が9日、総額4兆元(約57兆1360億円)の一大景気対策を発表し、アジア株が急騰したが、過剰な期待は禁物だ。“真水”の新規事業は半分以下になりそうだし、財源も不明確だからだ。(中略)
既存事業・計画分を割り引けば、純然たる新規の景気刺激策は4兆元の半分以下から3分の1にとどまりそうだ。とすれば日本円で単年度10兆円程度にとどまり、騒ぐほどでもない。(後略)』
総額や真水分、それに財源の問題もありますが、いずれにしても政府支出が景気拡大に貢献するには、ある程度のタイムラグが必要です。ついでに書くと、汚職まみれの中国では、「真水分」対支出総額の比率も他国よりも低くなることは確実です。
こうなると、結局は元に戻って再度「純輸出」の拡大を図るということになり、冒頭の人民元安誘導となるわけです。
しかし、現在の世界経済はアメリカを中心とした「需要の収縮」が最大の問題なわけであり、中国の人民元安誘導が輸出拡大に貢献するかどうか、正直疑問です。なぜならば、通貨暴落状態になっているにも関わらず、輸出が対前年比で減少してしまった韓国という存在があるからです。
もちろん中国共産党のことですから、韓国の現在の苦境をじっくりと凝視、観察した上で、人民元安誘導を選択したのだとは思うのですが。
ところで、前述の「57兆円の景気対策」の財源に絡み、「中国は世界最大の外貨準備がある」などとアホな論調があるので、付け加えておきます。中国が溜め込んだ膨大なドルを内需拡大(具体的には政府支出拡大)に使用するには、当然、ドルを人民元に変えなければなりません。10兆円でも20兆円でも別に構いませんが、これほど膨大なドルを人民元に両替したら、一気に人民元高圧力が強まり、折角の人民元安誘導も元の木阿弥です。
また、人民元安は中国への輸入価格を押し上げ、インフレ要因となります。加えて政府の景気対策に外貨準備を使用せず(するわけないですが。日本の民主党じゃあるまいし)、人民元を市場に供給すれば、これまたインフレ要因です。
現状、外需縮小の煽りを受け、沿海部の失業率が急上昇(既に今年初めから二千万人の失業者が出たという報道もありましたね)していますが、ここに不動産バブル崩壊と建設不況が重なると、恐らく数千万人単位の失業者が生じます。
インフレーションが収まらない中、失業率が急上昇し、沿海都市に数千万人の失業者が溢れたら・・・。スタグフレーションという双頭の蛇は、中国という巨大な存在を容赦なく締め付けて、食い尽くそうとしているのです。
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