飯嶋和一さんの歴史小説は小学館文庫に
江戸時代の鳥人 浮田幸吉(初代備前屋幸吉)
単行本は2000年1月に刊行されたが,文庫化されたのは2002年12月.
この本は,天明のころ空を飛んだといわれる備前屋幸吉をモデルにして,江戸時代に鳥人を試みた表具師職人の波瀾に富んだ生涯を描いている.
鳥人を目指して空を飛ぶ幸吉は,備前岡山の池田藩城下で悪政にあえぐ民衆から喝采を浴び,その時代の人々の希望の星になる.当然町奉行所は幸吉を捕らえるが,所払いの刑に処せられる.その後の幸吉と江戸時代の塩の流通事情と地回り塩問屋「巴屋伊兵衛」の独占流通に対する反逆が克明に描かれている.駿府城下に暮らす幸吉と巴屋伊兵衛を結びつけるのは,幸吉と幼なじみで弁財船の船主,平岡源太郎である.この3人は,現状に安住することなく,つねに前に行こうとする野心をもった冒険者達が活躍する話となっている.
天明5(1785)年陰暦6月3日夜半,備前岡山の材木町の2階屋の屋根から表具師周吾が凧に乗って西中島の砂州外れまで飛び降りた.
文化元(1804)年正月に,駿府江川町の備前屋幸吉は白張りの大凧に乗って,浅間山(しずはたやま)の裏手の崖から安倍川に面した井宮町外れの田んぼまで飛んだ.
浮田幸吉(初代備前屋幸吉)を発見したのは,「日本航空発達史」を1935年に出版した竹内正虎(旧陸軍歩兵大佐)さんと,「玉野市史」の編纂を担った伊東忠志さんの2人である.伊東さんは戦後に備前屋幸吉の晩年を丹念に調査した人物である
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