BARホンダF1チームは,日本グランプリ終了後に中国グランプリの前(10月4日〜11日)になるが,2005年仕様のF1(007)レーシング・カーを1台,米国ユタ州のソルトレーク市郊外(北西17マイル)のボンネビル・ソルト・フラット・レース競技場(氷河期のボンネビル湖の残骸が岩塩湖となっている:)に持ち込み,F1レーシング・カーによる速度記録に挑戦する発表した.ドライバーは南アフリカ出身の若手Alan van der Merwe(現在はテスト・ドライバー25歳:ヨハネスブルグ生まれ2003年の英国F3チャンピオン)が担当するらしい.
BARホンダF1チームは,速度記録400km/h(249mph)以上を目標にした走行テストを行なうらしい.
現在のF1における速度記録は2005年にイタリアGP前のテスト走行でマクラーレンのファン・パブロ・モントーヤが記録した372.2km/hが最高速となっている.
アマチュアの速度記録イベントに自動車メーカーが侵入するような気がするが,F1の米国向けの話題作りなのだろうか?しかし,内燃機関で駆動する車輌の絶対速度記録に挑戦するというのは考えられないのだろうか?
自動車部門の絶対速度記録への挑戦は
現在の地球上の絶対速度記録は,1997年10月15日に英国空軍の戦闘機パイロット,アンディ・グリーン(Andy Green)がスラストSSC(リチャード・ノボル所有:Rolls-Royce Avon 302 Jet engine)に乗ってネバダ州ブラック・ロック砂漠で記録したマッハ1.02(およそ763.035mph=1228km/h)である.しかし,この記録はジェット・エンジンによる推力を利用したものだ.米国人はわかりやすいことを好むから,ジェット戦闘機の主翼を外して地上滑走専用にした車輌だろうが,地上のコースを最速で往復した速度記録が圧倒的速ければいいのだ.
つまり内燃機関で車輪を駆動する分野では,サマーズ兄弟(Bob/Bill Summers)が1965年11月12日に4基のChrysler HemiV8エンジンを装備して2400馬力としたゴールデン・ロッド(Goldenrod)による409.277マイル/h(658.526km/h)という速度記録が自動車(エンジンで車輪を駆動する)の最高速となっている.
この記録の前が1960年9月9日にミッキー・トンプソン(Mickey Thompson)がチャレンジャー1(400馬力のポンティアックV8プッシュロッド・エンジンを4基装備)で往路406.6mph(654.4km/h)を記録したが復路ではドライブ・シャフトが折れてしまったために,400マイル/時(mph)の壁を破って米国に速度記録を英国から取り戻したとして米国の記録として大きく取り上げられていたもの.
その前は,なんと英国のJohn Rhodes Cobb(1899.1202〜1952.0929)が,1947年9月16日に記録した394.19マイル/h(634.196km/h)である.速度記録に使用したレイルトン・モービル・スペシャル(Railton-Mobil Special:排気量4万7872cc)には,涙的型ボディに出力が1250馬力(3600rpm)に達する2基のNapier-Lion航空エンジン(W12気筒24L)にスーパーチャージャを装備したもので重量は3トン(3203kg)を越えている.設計したのは,Reid A Railtonだが,当時の速度記録車をマルコム・キャンベル,パリー・トーマスにも提供した技術者である.S字形バックボーン・シャーシにライオン・エンジンを曲線部に配置して,前後の車輪を2つのエンジンで駆動する4輪駆動方式をとっている.ボディ・カバーはアルミで製作して軽量化した.ジョン・コッブは1938年より絶対速度記録を更新していて,第二次大戦後の1947年に挑戦した際には,400マイル/時の壁を往路で突破して403.1mph(648.8km/h)を記録したが,往路と復路の平均速度がFIAの公式記録になるから,非公式な記録となっている.
またアマチュアとして,ドン・ベスコ(Don Vesco)が2001年10月18日にガス・タービン(AVCO Lycoming T55ヘリコプタ用:3750馬力)で車輪を駆動するTurbinator(流線形)が458.44mph(737.395km/h)を記録している.レシプロ・エンジンはもう時代遅れということなのだろうか?
ということになれば,戦艦大和の登場である.モータ・スポーツに遅れた自動車生産国にとっては最後のチャンスだから,自動車メーカーがスポンサーになっても内燃機関で車輪を駆動する自動車による速度記録を更新するレーシング・カーを開発すれば,歴史に名前を残すことができそうだ.しかもドイツのVW社当たりはW12気筒エンジンを量産しているから,これをベースに600馬力程度に出力を増加させて,軽自動車並みのボディ(500kg)で一人乗りの記録挑戦車を開発するような工業高校の同好会なんてのは,ないのだろうか?皇室向けのリムジンを開発するより,はるかにわくわくする計画ではないか.
|