知財屋さんの交渉日記

知財戦争といわれる昨今、交渉三昧の日々の一端をご紹介。

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キルビー特許

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 米国特許商標庁(USTPO)での面接審査を終えた米国出張最終日、もう仕事もないのでワシントンD.C.のスミソニアン博物館に行こうということになった。
 
 航空博物館では、ライト兄弟に始まり第二次世界大戦中のグラマー戦闘機にゼロ戦、果てはアポロ宇宙飛行船まで数多くの展示物があり、男なら誰でも一回りで興奮状態にさせてくれる。
 中でも、知財部員の僕の心をわしづかみにしたのは、世界最初の半導体チップと、キルビー特許の明細書である。

 キルビー特許。 
 わが国ではキルビー最高裁判決としての方が有名なのではないだろうか。あの権利濫用法理により裁判所でも無効理由の判断ができることを示した有名な判例である。TI社の当時新入社員だったジャック・キルビーの発明した米国特許を原出願として、1960年に日本出願された特許の分割出願は、日本版サブマリン特許として1989年という実に30年近い年月を経て特許査定となり日本企業を震撼させた。TIはこの分割出願で日本企業を攻めたのである。のきなみ和解する大部分の日本企業を尻目に、富士通だけが訴訟という道を選んだ。そして、上記判決を得たのである。
 
 キルビー氏が考え出したモノシリックICは、後にIntelを設立する、当時Faichildに在籍していたロバート・ノイス博士が半年後に出願したプレーナ特許とともに現在の半導体装置、ICの原型を作ったと言われている。かつてTIとFairchildのどちらが真の発明者に当たるかで訴訟合戦になったのであるが、結局のところ米国司法はノイス博士のプレーナ法に軍配を上げた。しかしながら、スミソニアン博物館に提示されていたのはキルビー氏の特許だった。キルビーは1983年に正式にTIを退職し、その後もTIの顧問としてコンサルティングを行った後、ICを発明した功績により、2000年にノーベル物理学賞を受賞し、2005年6月米国ダラスにて癌のため死去した。81歳だった。

 このキルビー判決を条文化したのが平成17年改正で新設された特許法104条の3である。この改正と同時に35条も改正された。その契機はこの時期に複数起きた職務発明をめぐる判決であろう。中でも有名なのは中村修二氏と日亜化学の発明の対価をめぐる争いである。問題になった特許発明は、中村氏によると青色発光ダイオードの基本発明とされるLEDの製造プロセスの特許である。果たして、中村特許はキルビー特許と比較してわが国産業界にどのような影響度をもたらしたのであろう。

 法改正に至るまでのインパクトと言う意味では両者とも同じである。発明の価値としては、ICの基本特許と青色発光ダイオードの基本特許でそのパイオニア度では互角としよう。では、どちらがライセンス料を得ているのか。

 TI社がすごいのはこのような基本特許をガンガン権利行使したところだろう。もちろん中村氏の在籍していた日亜化学も当然LED分野で数々の戦歴があるはずだが、果たして中村特許を積極的に権利行使したのであろうか。この点、包括クロスなどを考えると本当のところは不明だが、中村修二氏との和解に要した報奨金相当額を事業利益ではなくライセンス収入でペイできたのであろうか。

 一般にプロセス特許は権利行使が難しいと言われる。いかに基本特許だったとしても、あるいはいかに生産方法の推定規定や文書提出命令、具体的態様の明示義務などの裁判手続き上のサポートを得たとしても、構造特許に比べるとやはり侵害成立の確信を立証するのは大変な作業であろう。

 無論そのような点ばかりが判断の材料ではないが、スミソニアンに展示されるキルビー特許のように、中村特許もどこかの博物館に展示される日は来るのであろうか。

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2010/12/10(金) 午後 1:06 [ 人妻 ] 返信する

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2011/9/3(土) 午前 3:54 [ エロ ] 返信する

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