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昼間は30℃近い蒸し暑さだった先週末。
雨が上がると、ウソのように気温が下がり始めた。
いや、ウソのようにではなく予報通りなのだが・・あまりの急降下には驚かされた。
山手の風は薄手のジャケットを通して身を震わせる。
これはもう自家発電するしかないと、走ってはみたものの、身体が温まる前に息が切れた。
灌木の中に入ると、懐かしい香り・・。
もうすっかり日が暮れて、あたりはよく見えないが、
目を凝らしてみると・・キンモクセイ?
薄っすらとオレンジの花が見えた。あそこにも、あそこにも・・。
早いな〜〜。 いや、早くはないか・・。
でも昨年は、まだかまだかとずいぶん待ちくたびれたような気がする。
Kちゃんからの毎晩の定期便は、携帯メールと固定電話。
メールで書くのがじれったくなると、「今から電話してもいい?」。
尋ねてくること、訴えてくることは、日常の中のささいなこと?
いや、彼女にとっては決してささいなことではない。
「誰にもわかってもらえへん。 私のしんどさは誰にもわかってもらえへんねん。
私って一生こんなんかなぁ・・。この先どうなるんやろう・・・。」
「わかるよ。」なんて言えないし、言わない。
わかるわけがない。
私は貴女ではないのだから・・・。
まだ出会ったばかりの頃、一緒にコンビニで昼食を買おうとして驚いた。
私はサンドイッチ2つと牛乳を買って、先にレジを済ませたのだが、彼女はおにぎりの前で迷っていた。
迷うことは別にかまわないし、急いでいたわけでもないので、何も思わずに待っていたのだが・・。
飲み物のところでもずいぶん迷い、それは棚に戻して、会計を済ませて店を出る。
5分ほど歩いたところで、彼女は急に落ち着かなくなった。
「これ・・返したいんやけど、返せるかなぁ・・。」
「?? まあ返せるんと違う? レシートもあるでしょ?」
「うん。」
結局、店に戻っておにぎりを返品した。
店員はわずかに戸惑ったようだが、仕方なさそうに引き取ってくれた。
外に出て歩きながら、
「私って変かなぁ・・。普通の人はこんなことせえへんよね〜。」
「う・・・ん、まあね。 何が嫌やったん?」
「うーーん、私がほしかったんは違うかなと思てん。」
「換えてもらったら良かったのに・・。」
「ほんでもまた嫌になったら困るから・・、もういいわ。」
彼女は買い物においては、ほとんどこの調子なのだった。
買い物だけではない。
パーマ屋でカットしても、気に入らないと翌日にまた行ってしまう。
3度目にもなると、そこでも揉めることは必至だ。
手に湿疹ができて皮膚科にかかったときも、3度薬を変えてもらっても一向に治る気配がなく、
納得がいかなくて、しつこくいろいろと聞いたらしい。
夜にまた行くと、診察時間は終わっていて・・受付の人とのやり取りでまた揉めて・・。
受付の人に「警察を呼びますよ!」と・・・。
おそらく彼女の方が先に切れたのだろうが、そこまで言われて深く傷ついた。
それっきり病院にも行けない。
「私はただ、詳しく聞きたかっただけやのに・・。」
役所の窓口でもことごとく揉める。
「私って、やっぱり変やねんなぁ・・。 普通の人はこんなことは言わへんねんね。
私って、やっぱりクレーマーなんやね。 でも、どうしたらええのかわからへんねん。」
彼女もトラブリたくは無いのだ。
そのたびに辛いには違いない。
専門のクリニックにもかかっていた。
病名は「強迫神経症、不安神経症」。
仕事もなかなか続かず、しょうがい者枠の雇用でも何度か転職している。
家庭も複雑で、ずっと父子家庭だったが、そのお父さんも彼女が19のときに亡くなった。
家と少々のお金を遺して。
兄弟姉妹も無く、親戚はいるが支えになってくれるような人はいない。
彼女の根っこの部分の「不安」は、生い立ちやこれまでの環境のせいもあるのだろう。
「周りの人は、みんなちゃんとやってはるやん。みんな自分より幸せに暮らしてはるやん。
私、いつも周りの人を羨んで来たかも知れん。」
「みんなちゃんとやってるかというと・・そうでもないと思うよ。
多かれ少なかれ、誰にでも生き辛いところはあると思うし、自分の問題に気付いてない人も多いし。」
誰かに借りたという「大人の発達障害」という本を読んで、「私はこれやと思う。」
「でも、どうしたらいいん?治すことなんかできひんのでしょ。」
4月からしょうがい者枠で採用された今の仕事は、何とか続いている。
主任さんについて聞かせてくれる話では、信頼できそうな人に思えるのだが・・。
彼女の中の不安や、これまでの「裏切られ感」が根強くて、人を信じることがなかなかできない。
「こんなこと、主任さんに話しても大丈夫かなぁ・・。」
「ここまで話したら首になるかなぁ・・・。」
「大丈夫、首になんてならへんから・・。」
何とか隠し事は止めて、しんどい部分は少しずつ正直に、全部伝えることができたようだ。
あとは主任さんを信じるしかない。
今すぐ聞きたいことがある、というときには、携帯に電話がかかってくることもある。
出られないときには仕方ないが。
役所の窓口で揉めているときには、「今日のところは帰って、整理してから出直そう。」と言うしかない。
手帳は持っていても、今の診断では生活保護や年金の対象にはなるのは難しい。
払うのは簡単だが、いただく場合は・・・とにかく福祉の書類はややこしいのだ。
窓口の人が不親切に思えても、喧嘩腰になったらダメだよと、繰り返伝えるしかない。
「可愛いんやから、ニコッと笑うくらいにならないとね。」
そして、一つクリアーできたら、自分を褒めないと・・・。
今夜は絵文字だらけの嬉しいメールが来た。
「こんばんは、お仕事ご苦労さまでした・・。
いろいろあったけど、小さなことは流すことができました。
何とか今日も一日終えました。 ありがとう・・・おやすみなさい。」
「おやすみなさい・・。」
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アニーさん、コメントありがとうございます・・。
大層なブログ名を付けたままになっていますが、これはそういう意識を持たなかった自分への戒めと、自分のために時間を割いて下さった人への感謝のつもりなんです。
多かれ少なかれ、誰にでもそういう部分はあると思います。
「障がい」という表現ではなく、「発達アンバランス症候群」の方がふさわしいと書いた本もありました。
ただ・・社会生活を送れない、自立するのが難しいところまでいけば、本当に厳しいと思います。
今朝も明るいメールがありました。
「おはようございます〜。良いお天気ですね。
今日は何とか穏やかに過ごしたいです。」
私は使えないような「動く絵文字」。大きな太陽と、ハート型の雲がもこもこ動いていました。
2011/10/8(土) 午後 9:55
らいむさん、コメントありがとうございます・・。
たしかに、理解を求める過ぎる人は、相手のことまで考える余裕は無いかもしれませんね・・。
私は遠慮なく言います。「相手が気の毒だ」と。
彼女もそのことはわかってはいるのですが・・・なかなか止められない。
少しずつでいいので、待つことができるようになって欲しいと思います。自分が、「変われる」と信じることしかないと思います。
2011/10/8(土) 午後 11:16
☆子さん、コメントありがとうございます〜〜!
そうですね・・。
その人の持って生まれた資質もあり、環境の影響もあり、その他のいろんな要因もあり・・。十人十色、みんな違います。
性格の問題というのはみんな抱えていますから、他人となかなか馴染めない人もけっこういます。
「他人と協調していける」のが「大人になる」ということなら、彼女はまだ大人になっていないのかもしれません。
小さいことは聞き流す、受け流すというのも、彼女にとっては小さいこととは思えないんでしょう。
行き辛さも・・程度によりますが、かなりしんどいとは思います。
私は寛容でもなんでもないですし、諦めが早すぎていい加減ですので、反省させられることもありますよ。
でも、少しでも楽になり、生き易くなればと願っています。
2011/10/8(土) 午後 11:31
たっちゃん、コメントありがとうございます・・。
そうですね、私でよければいくらでも聞きます。
「私っておかしい? 普通の人はこんなこと言わへんのん?!」
そう繰り返す言葉は必死ですから・・。
特に助言ができるわけでもありませんが、感じたことは言います。
ただそれだけですけど・・。
(何時に電話があろうと、誰にも気兼ねすることもないですし・・)
2011/10/8(土) 午後 11:52
G・Lさん、コメントありがとうございます・・。
そうですね・・。
私の大きな欠点でもある「人との距離の取り方」。
その距離の取り方は、彼女とは真逆なんです。
そこがいいのかもしれません。
決して私が一方的に面倒を見ているわけではなく、教えられることも多いです。
本当に言葉って大事ですね・・。
ささやかな言葉でも、数行の文章でも、正直な気持ちを込めるというのは、とても大切なことだと痛感しています。
いろんな後悔も引きずりながら・・・。
2011/10/9(日) 午前 0:07
そうですか、気温が下がってきましたか。
Kチャンだけでなく、私も毎日こんなんですけどね。
「何とか今日も一日終えました。 ありがとう・おやすみなさい」
2011/10/10(月) 午後 10:09 [ hokutosei_N43 ]
hokutoseiさん、コメントありがとうございます・・。
そうですね、一旦下がったのですが・・ここのところ夜もそれほど気温は下がっていません。まだ10月の前半ですから・・。
同じですよね。
「何とか今日も一日終えることができそうです」。
毎日が一杯一杯で、その日暮らしもいいとこです。(私の場合はですが・・)
2011/10/10(月) 午後 10:53
こんばんわ。そちらも少しは色づいてきましたか?
来月でないと、まだ早いですかね。こちらはそろそろ、ピークを越してきました。例年になく、暖かい気がします。でも、初雪が近いことは確かですが。
2011/10/19(水) 午後 11:32 [ hokutosei_N43 ]
hokutoseiさん、コメントありがとうございます〜。
こちらの紅葉のピークは11月の半ばなんですが、桜の葉っぱは少し色づいています。
一昨日でしたか、北海道は真冬並み?というニュースを聞いたような・・。でも、今日は気温が高いとのこと・・。
かなり変化しながら冬に向かっているようですね。
こちらはまだ当分は暖かめのようです。
11月に入ってからキュンと冷えると、紅葉が美しくなると思います。
2011/10/19(水) 午後 11:53
こちらは、紅葉のトリを勤める、イチョウが黄色くなってきました。
気温も下がってきました。湯豆腐の季節に入ってきましたね。
清涼寺へ行きたいです。
2011/10/21(金) 午後 9:53 [ hokutosei_N43 ]
hokutoseiさん、コメントありがとうございます・・。
そうですか、トリのイチョウがもう黄葉していますか・・。
今夜は雨ですが、関西はここのところずっと温かいです。
朝夕も冷えませんし、昼間は暑く感じるくらい・・。
まだ湯豆腐よりは冷や奴を食べています。
清涼寺という名前にピンと来なかったのですが、嵯峨野の釈迦堂のことですね。紅葉の名所です。
今ならひっそりとしていると思いますが・・見ごろの頃には・・。
薄っすらと雪景色の頃に行くと、ロマンチックかと思います。
2011/10/21(金) 午後 10:28
このタイトルは、私の事かと思いました(笑)
Kちゃんは、完璧主義な所があるのでしょうね。
黒か白、100%でないと満足が出来ない、納得が行かない。
1+1が、必ず2であるはずで、そうでないと否定される事は自分を否定されている様に感じるのでしょうね。
皆多少のこう言った事はあるけれど、Kちゃんの場合はそれが図抜けているのでしょう。
個性の1つとして、それを活かせる仕事があったら良いのにな〜と、端から見ていると思いますが、実際に私の周りにKちゃんがいたら、「良い加減にしろー!」と言っているだろうなと思います。
でも、takaoさんが書いている様に、彼女から学ぶ事も多い様な気もします。
がんばれ! Kちゃん、がんばれ! takaoさん!
2011/10/23(日) 午後 5:26 [ tat*ug3 ]
tatsuさん、コメントありがとうございます〜〜。
このタイトルですが、はぁ・・・実は私も全くこの通りです。
ため息をついてはいけませんが、この通りです。
要領が悪いんでしょうね、毎日自転車操業です。
Kちゃんはやはり度を過ぎていまして、これは「病的」とも言えますが・・、でも福祉の対象ではない。そこも厳しいところです。
「私っておかしい?」と聞かれたら、「うん、おかしい。」とも言いますし、「いい加減にしろよ〜!」と言ったこともありますが、彼女が前向きになってきたときには、何も非難する言葉はありません。
「これって、小さいこと?」
この質問が多くなりました。
「そうやね、小さいことかな・・。」
小さいかどうかは、それぞれ人によって違うこと。
他人が何か言う資格などないんですが・・、
「ここはさらっと流そう〜。」と言ってしまいます。
「こだわり」というのは何よりも大切なことでありながら・・度を過ぎると首を絞めてしまいますから。
なかなか難しいですね・・・。
2011/10/23(日) 午後 11:55
清涼寺は「嵯峨野の釈迦堂」と言うのですか?僕は森嘉の豆腐を食べるところと言う認識なんですが…薄っすらと雪化粧したころがロマンチックなんですか?行ってみたいですね、そんな時に。あと2ヶ月もしたらありえますかね。
2011/10/25(火) 午後 10:41 [ hokutosei_N43 ]
hokutoseiさん、そうなんです。
「清凉寺」という正式?名称より「嵯峨釈迦堂」の方が馴染みがあります。北野の天神さんの近くに「千本釈迦堂」がありますけど、それに対して「嵯峨釈迦堂」。
昨年の冬は、わりと雪が降りましたが、その前の数年はほとんど降りませんでした。
年内は無理かと思います。
修学旅行生も来なくて、一番ひっそりとして、雪化粧が見られるのは2月くらいでしょうか・・。
森嘉のお豆腐は高級品ですので、庶民は滅多に食べませんけど。
たまには食べたいです。
2011/10/25(火) 午後 11:09
***さん、コメントありがとうございます〜〜。
そうですね・・。
話を聞くことだけでは、何ともならないです。
何か別の形で支えていくというのも、今の私にはできそうもないですし・・。
なかなか難しいですね〜〜。
いろいろと気遣って下さっていることは、十分伝わっています。本当にありがとうございます・・・。
2011/10/28(金) 午後 11:42
2月に森嘉の豆腐を食べに行くと言うのが、贅沢な話になるんですね。2月の寒い中、京都歩きも悪くないですね。最近急に思い出した物がもう一つ、「にしんそば」です。こちらで食べた時、
昔食べた京都のがうまかったと、皆懐かしがっておりました。
2011/10/31(月) 午後 10:33 [ hokutosei_N43 ]
にしんそばhokutoseiさん、コメントありがとうございます〜。
うっすらと雪化粧した嵯峨野を、一人で静かに歩き、森嘉のお豆腐を食べましょうか・・。これは地元の者でも贅沢かも。
年越し蕎麦は、必ず「にしんそば」でした。
自宅で作りますが、「やぐ羅」さんの「にしんの煮つけ」を買っておきます。生魚が手に入らない京都ならではの「身欠きにしん」や「棒だら」の煮つけだと思います。
2011/11/1(火) 午前 1:18
こちらでも、生鰊は旬の一瞬だけ。それに、最近では身欠きにしんを食べる文化もなくなりつつあります。私は炭火でじゅうじゅう焼いてあっつあっつを食べるのが好きです。にしんそばは、鰊の加工の出来が重要です。「やぐ羅」さんですか、初めて知りました。食べてみたいですね。そのニシンの煮つけでにしんそば、美味しそうですね。
2011/11/3(木) 午後 11:21 [ hokutosei_N43 ]
hokutoseiさん、コメントありがとうございます・・。
↑のコメントで、頭に「にしんそば」が付いてしまって申し訳ありません・・。(新しいPCでは、どうもヒュッと行が移動してしまうんです?)
生の鰊なんて! でも北海道では一瞬でも食べられるんですね。
鰊の開きは、こちらでも大人気です。
脂の乗った身が厚く、ほろほろと取れますので・・日本酒にも最高の肴ですね・・。
今年も大晦日は実家で過ごしますが、出石のそばとやぐ羅さんのにしんで、美味しい年越しそばを作りたいと思っています。
北海道の年越しそばは、どんな感じなんでしょう??
2011/11/3(木) 午後 11:52