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今回泊まってみて初めて気づいたのだが、標高の高い場所にある山小屋は初めてかもしれない。
若かりし頃はずっとテント泊だった。
よくあんなに重いザックを背負って歩いていたものだと思う。
夏の縦走の場合、男子は体重の半分の重さまでは大丈夫と言われていたので、平均30キロくらいの荷物にな っていた。
女子は身体への負担を配慮して20キロまで。
それでも、今思えばとんでもない重さだ。
さて、五竜岳までの午後、
晴天ならあのピークを越えて、あのあたりに山小屋があるはずと推測できるのだが、濃い霧の中では何も見え ない。
ピッチと時間を考えると大体の予測はつくが、「まだまだ・・・。まだまだ・・・。」と言い聞かせながら歩いた。
もうすぐかなという期待は、なるべくしない方が賢明だ。
靴の中まで濡れてきたなと感じる頃、山荘の屋根が薄らと見えたときには心底ホッとしたのだが・・・。
安堵を隠しながら、小さく「ヤッター」。
木の扉を開けて中に入ると、土間は広く、何とストーブが炊かれていた。
とりあえず濡れた雨具だけを脱ぐ。
リーダーが宿泊申し込み書に住所氏名を書き、残りの者はその下に名前を書くだけ。
そして、その場で宿泊費を払う。
個室のある山小屋は予約が必要だが、今回泊まった2ヶ所は雑魚寝のスペースしかないので、予約の必要も ない。
部屋名と食事の時間だけが告げられた。
泥だらけの山靴を脱ぎ、湿った靴下も脱いでビニール袋に入れ、
ずっしりと重く感じるザックを背負って、木の廊下をとことこ歩く。
ふくらはぎの筋肉や、解放された足の指がみしみし痛んだ。
カレーのいい匂いが食堂と思われる部屋から漂ってくる。
部屋といっても、廊下の両側がズラーッと2段の棚になっていて、柱とカーテンで仕切られるだけというもの。
すでに先客がところどころでくつろいでおられた。
布団を敷き、横になっている人もいる。
「石楠花」の札のかかった一区画は下段だった。
端っこに布団がどーんと積み上げられている。
すでに2組の先客があった。
奥の2人は布団を被ってお休みのよう。
「こんにちは〜」と小声で挨拶。
壁には説明書が貼ってある。
「〜8人まで」「9〜12人まで」「13人以上」??
ほぉ・・・・。すごいなぁ〜〜〜。なるほど〜〜。
どちらを頭にして、どのように寝るのかが簡単な図で示されていた。
今日は12人までの寝方ということで、自分たちのスペースを確認する。
4人分としてあてがわれたスペースに、敷布団は3枚しか敷けない。
が、とりあえず3枚を敷いて、掛布団4枚と枕4つをしっかりと確保して・・・。
それから・・・ああ〜〜〜・・・。
それぞれに足を投げ出し、重なるように寝っころがった。
これでも今夜は恵まれているわけで、3枚の敷布団に8人寝ることもあるのだ。
山小屋は、予約もキャンセルも無く、宿泊を拒まれることもないのだから当然だけど。
自分たちのねぐらを確保したところで、濡れた雨具と衣類を乾燥室に掛けに行った。
晴天だったら、一日歩いたあとでは山小屋の500円もするビールでも絶対買いそうな男2人だが、
身体が冷えているのかそういう気分でもないようで、リーダーが飲料水を1本買っただけ。
ねぐらに戻って、リーダーがザックから取り出したのはウィスキー!
「温ったまろか・・・」。
カップにほんのちょっと入れてもらって水割りにして飲むと、ポッと胃から温まった。
「お疲れ〜〜。」
非常用には手を付けないが、あられとナッツを出してきてつまむ。
ザックから夜の必需品を取り出しておく。
9時に消灯すると、それ以降はトイレに行くにも灯りが必要だ。
昔持っていたヘッドランプは、単2電池を2個入れたもので、懐中電灯が頭にくっついたようなもので、結構大きかったのだが、今のものは卵焼き1切れ分くらいの大きさしかない。
小さな2つの電球はLEDでとにかく明るく、点滅にも切り替えられる。
しばらく離れていた間に、山の道具や衣類までがすっかり進化していた。
なるべく出費を抑えて準備した。
山靴は22年前に買ったもの。当時アルバイトで貯めたお金で、思い切って手に入れたイタリア製だが、
管理状態が良く、全く問題ないと言われた。
ザックもズボンも前から持っていたもの。
雨具は、先輩女性からいただいたゴアテックの高級品。
今回は衣類のみにお金を使った。
Tシャツのようなものでも、速乾性の生地がいいということで、木綿のものとは0がひとつ違うのだが・・。
汗や雨で濡れても全く冷たくなく、すぐに乾いていく。
それがいかに大事かは、今回嫌というほど思い知らされた。
そうこうしているうちにも、山小屋の中はどんどん賑やかになっていった。
夕食は時間差で、アルバイトと思われる女の子が呼びに来てくれる。
この山小屋の夕食はカレーと決まっているそうなのだが、びっくりするほど抜群に美味しかった!!
中辛くらいだが、とにかくコクがある。
信州のカレーは牛かな、豚かな??と思ったが・・・・。
???えっ?
しっかり煮込まれているのでほろほろになっているが、チキンだけでもないような・・。
私たちがあーだこーだと話していると、横の若い人たちが「豚も入ってますよ〜〜。」
具だくさんの味噌汁が、鍋ごとどーんと置かれていて、これがまたとにかく美味しかった。
隣りの人たちにもついであげていると、若い男性のグループはあっという間にお代りに並びに行く。
早っ!!
うちの男性2名のうち1人は小食なのだが、山に入ってからはよく食べている。
彼らがお代りに立ち、最初が大盛りだったにもかかわらず、私も半分だけお代りをした。
とにかく山ではご飯が美味しい。
日帰り山行の時にも、1合分のお握りをペロッと平らげていたが、お米が美味しくて、普段の2倍ではきかない量を、軽く食べてしまうのだ。
今回のメンバーは、リーダーとW君と、W君の奥さんと私の4人。
奥さんのTちゃんは山に登ってきた人で、私たちより5歳若い。
晴れ男のリーダーは、明日の午前中は雨は上がると予想していた。
彼の念力が届くのか・・・?
なるべく早く行動しようと、明日の朝食はお弁当に変えてもらった。
ねぐらに戻ると、「石楠花」は9人になっていた。
60歳近いかなと思われるご夫婦は、すでに横になっておられる。
先ほどのカレーも奥さんは残しておられたし、疲れが出ているのかも。
布団の上に座って、小声で喋りながらリーダーが取りだしたのは日本酒!
山小屋泊まりなので荷物が少なく、小さめのザックにしたのだが、
これじゃぁ北アルプスに礼儀を尽くせないと思って、大きいザックにしたそうな。
あんまりスカスカなので、ウィスキーと日本酒を突っ込んできた!?
かくして、単独行の同年代の山男を交えて、ウィスキーと日本酒でちびちびと・・。
山小屋の夜を楽しんだ。
水道の蛇口から出てくるのは雨水をろ過したもので、手や顔を洗うためのもの。
飲料水は500mlが300円。調理用の水は500ml100円。
歯磨き粉は使ってはいけないし、持ち込んだゴミは全て持ち帰るのが当たり前。
山小屋にも捨てられない。
北アルプスを歩いていて、ゴミを見つけたことがあるだろうか・・・。
たばこの吸い殻さえ見たことが無いような・・・。
富士山って、なんでゴミだらけになるんだろう・・??
9時前には真面目に布団に入り、なかなか寝付けない中、いびきの三重奏?4重奏?に見舞われながら・・・、
夜は更けて行った。
どーんというわけのわからない音に飛び上がったりもした。
上段に上がる梯子から、誰かが落ちたのかもしれない・・。
朝かと思って目覚めると、12時半??
えーーっ時計が壊れた〜と思ったのだが、まだ12時半なのだ。
ヘッドランプを付けて恐々トイレに行き、戻って山小屋の入り口まで出てみた。
雨の音は聞こえない。
シーンと静まり返った土間に下りて、木の扉を開けてみると・・・。
霧は晴れていた。
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素晴らしい!!!
山小屋の様子、その中での同じ宿泊者の姿が目に見えるようです。
やっぱりtakaoワールドには敵いませんなぁ・・。
2013/8/28(水) 午後 1:40
お〜〜
いい経験を
アルプスすごいよ
なんとなんとご無沙汰
とおもったら
だいそれたことを
いいな
いきたいな
ナイス
2013/8/28(水) 午後 5:41
たっちゃん、早速のコメントありがとうございます〜〜。
山の続編を書き始めると・・山小屋のことだけで終わってしまいました。
なんだか、ダラダラと長くなってしまって・・・。
2013/8/28(水) 午後 11:17
mappuさん、早速のコメントありがとうございます〜〜。
「ナイス!」までいただいて・・。
本当にご無沙汰しています・・。
記事の更新は1年以上サボってしまいました。
そうなんです。
思い切って行ってまいりました!
一応、六甲山系などで足慣らしを続けてのことですけど・・。
勘が戻るのには時間がかかりますね。
その間に歳も取りましたし・・。
でも、行けて良かったです〜。
2013/8/28(水) 午後 11:29
いつものことながら表現力がありますね。
将来小説でも書くと、読者が増えそうでうね。
もしかして、下書きの原稿とか用意するのかな?
それとも一気に打ち込んでしまうのでしょうか?
さて、ごみの問題は、やはり個人のマナーでしょうね。
富士山に限らず電車の中に空き缶やごみが落ちているとすごく
不愉快になります。最低限のマナーは、守って欲しいですね。
2013/8/30(金) 午前 0:30
久しぶりの更新、、と思いながらアッと驚きました。なんと北アルプスに登ってこられたとは!!!懐かしい山々の名前がずら〜り!
素敵な雲海と山々、、、懐かしくて懐かしくて、、、山小屋の様子、
お代わりに並ぶ様子、、雑魚寝、、いびきの合唱、、、あ〜〜そこにあるように☆には見えます。もちろん表現力の素晴らしさのおかげです。感謝です。☆は23日に大阪地裁で尋問が終わりました。この体でよくここまで頑張れたと思います。多くの方々のご支援の賜物です。結果は、、、、医療過誤裁判ですから、もちろん、2%の勝訴率らしく、、???ですが、とにかく、☆は頑張ります。同じような医療過誤が違う医師や大○田哲雄医師によって繰り返されないためにも、頑張りたいと思います。山の空気を胸いっぱいに吸って、、頑張りますねっ♪ 大阪の☆ ナイス∞
2013/8/30(金) 午後 11:51
ビーナスさん、コメントありがとうございます〜〜。
読み返してみると、なんだかダラダラ長いだけだなぁと・・。
反省してしまいます。
下書きというのはありません。
とにかく一気に書いて一度は見直し、「非公開」にして投稿します。
ちょっと休憩というか、他のことをしてから・・・「修正」にして再度気になるところをちょこっと直し、「公開」に切り替えます。
そんな感じです。
(とにかくやたら長くなってしまうものですから・・)
そうですね、もちろん個人のマナーの問題ですけど・・。
山だけではなく下界でも守るべきですね。街中ではゴミ箱もあるし、
ペットボトルや空き缶を捨てるところもありますし・・。むしろ守りやすいはずなんですけど・・。
2013/8/31(土) 午前 0:08
☆さん・・・来て下さってありがとうございます〜〜。
ブログも、長い間記事の更新を休んでいました。
山も、長い間遠ざかっていました。
山は、きっかけを作ってもらったおかげで、また少しずつ行けるようになりました。
本当に、懐かしい場所に来られたという思いで一杯になりました。
思いもよらない医療過誤のせいで受けた苦しみ。長い裁判を続けて来られた苦悩は計り知れません。
もし私が同じようなことになったとしたら、力も勇気も湧いてこないでしょう・・。
☆さんの前向きな強さに、いつも励まされるばかりです。
ありがとうございます〜〜。
2013/8/31(土) 午後 10:35
:::さん!ありがとうございます〜〜!!
とっても嬉しいです・・。
ご飯は好きなのですが、普段の生活の中では別に感動を持って食べているわけではないですよね。
ところが・・山で食べるおにぎりが、ご飯が、米が!なんであんなに美味しいのか・・。
運動したから、だけではないものがあります。
山の「気」かも・・??
夏でも身体が濡れると低体温症になります。
冬の凍死と同じように、命に関わることになるんですよね。
肌着や衣類は大事です。
こちらの週末は雨です。そちらはもっと酷い雨なのではないかと案じています。
2013/8/31(土) 午後 10:51
こんにちわ。石ころ交じりの地面の感触が懐かしくよみがえります。山小屋は泊まったことないんですが、雰囲気がとてもよく伝わってきます。食事もおいしそうです。しょっと湿気ぽい室内とドアを開けたときのひんやりと乾いた外の空気感も伝わってきました。その中に居るtakaoさんを感じます。
2013/9/3(火) 午後 1:37 [ hokutosei_N43 ]
hokutoseiさん、コメントありがとうございます〜〜。
私も、山小屋に泊まったのは初めてでした。
テントの中の雑魚寝はわかりますが、どんな風に寝るんだろうと興味がありました。
雨続きでしたから布団は閉めっぽかったです。それでも、雨の中のテント泊に比べると天国ですけど・・。
外の空気は澄んでいて、気温は関西の冬に近いですから・・。
猛暑の中からやってきたことが嘘みたいな時間でした。
2013/9/4(水) 午前 0:13
若かりしころ八つヶ岳を縦走し
山小屋に泊まった時のことをふと想い出し
なつかしく読ませていただきました
朝・・
木の扉を開けると別世界が目の前に・・
感動の瞬間がこちらまで伝わってきました〜
なんて素晴らしい景色なのでしょう!
ナイス☆
2013/9/5(木) 午前 1:21
takaoさん。お久しぶりです。記事待ってました〜〜 スマホのRSSで
記事が更新されていたのは分かっておりました。ようやくお邪魔できました。
以前、七面山に登ってみたい云々言ったことがあり、その時の靴下やシューズについてアドバイスいただいたことがありました。
有言不実です(;^ω^)
takaoさんの記事で、私が想像していた以上に本格的になさっておられたんですね。 元祖山ガールなんですね。 かっこいいです。
富士山が世界文化遺産に登録されて以来、俄登山家が増えた由。
山頂からのご来光とか、一度は見てみたいとも思うのですが、興味本位でナメてかかれない相手だと思うので、熟慮しないと。(そのうちおばあさんになってしまいそうです)
2013/9/5(木) 午前 10:37
G・Lさん、コメントありがとうございます〜〜。
そうでしたか・・。八ヶ岳の縦走を!!
お互いに“若かりし頃”が懐かしいですね〜〜。
近郊の野山を歩くのもとてもいいものですが、やはり3000m近い山々の高度感と空気には圧倒されます〜〜。
荘厳な山々に囲まれていると、襟を正したい気持ちになります。
(深部静脈血栓症の後遺症で、足の痛みに悩まされていた日々がウソのように、ここまで足を酷使することができるようになりました)
2013/9/6(金) 午前 0:30
ぐぅさん!!
コメントありがとうございます〜〜!!
昨年、父が亡くなった記事を書いたときに来て下さって以来ですから・・もう1年と3カ月も経ってしまいました。
(その間、ずっとブログをサボっておりました)
七面山のお話、もちろん覚えていますよ。
あれからさらに山用品は変化しています。
あの頃はまだ「山ガール」は出没していなかったような・・??
一度山用品の店に行ってみて下さい。
何も買わなくても、山に行かなくても、見るだけでも楽しいと思います。
ひと頃に比べると「山ガールブーム」は下火かもしれませんが、素敵な服装はいろいろと揃っています。
富士山は人気が出過ぎてラッシュでしたね〜〜。
でも、我が国の最高峰ですから、近くの山で十分足慣らしをしてから出かけて下さいね。真夏でも防寒具が必要ですし・・かなり手強いと思います。
2013/9/6(金) 午前 0:40
2枚の写真から、北アルプスを想像しました。
何しろ、ツアーで立山黒部アルペンルートに行ったくらいなのです。
自分の足で辿りついたわけではありませんので・・・。
takaoさんのブログから、北アルプスの魅力と奥深さが分かりました。
アルプスの麓くらいまでは行ってみたいと思いました。
これからも山の魅力を教えて下さいね。
ナイス
2013/9/18(水) 午後 7:55
アニーさん、コメントありがとうございます〜〜。
立山黒部アルペンルートは本当に魅力満載ですよね・・。
いろんな形で、オールシーズン楽しめるところも素敵です。
(バスが通れない時期にはそれなりに)
私は、黒部の源流や雲ノ平が特に好きです。
関西からは、どうしても北アルプスが入りやすいものですから・・。
大糸線も懐かしくて、ワクワクしました。
60代後半?という年代が多かったように思います。
パートナーさんと一緒に、これから挑戦できると思いますよ・・。
2万歩、3万歩近くでも歩かれるアニーさんですから、大丈夫です。
2013/9/19(木) 午前 0:18