誰かのために時間を割くということ

2006年の病気入院をきっかけに始めたブログです。今日を大切に、ゆっくりしたペースで綴っていきます。

「Atlas」にて

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学生時代に友人に連れて行ってもらった、ジャズ喫茶「Atlas」。懐かしい場所に時々立ち寄り・・・そこで思い出すことを綴ります。
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大人って?

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 ここのところずっと直帰していたのだが、久しぶりに立ち寄った「Atlas」。
 いつもの席に腰を下ろし、シナモンティーを注文する。
 前回来たのは夏だったような気がする。

 昼間は久しぶりによく晴れたが、日が落ちるとさすがに寒い。
 俯きがちに駅に急ぎながら、急に思い立って方向を変えた。

 以前は足の疲れを取るために、ここでしばしの休憩が必要だった。
 そこからさらに長時間、電車での立ちっぱなしに備えて、
 ゆったりと椅子に腰掛けて足を伸ばす。

 白いポットで運ばれてくるたっぷりの紅茶をゆっくりと味わいながら、日記を書く。

 今夜は時間を気にせずに、どんどん書き進んだ。
 あれ? どこかで聞いたような懐かしい曲。
 何で思い出せないんだろう・・。

 ペンを走らせていたら、若いお兄さんが傍に立った。
 「あの・・バータイムになりますので、灯りを落とさせてもらってよろしいでしょうか・・。」
 「あ、はい。 どうぞ。」

 メニューが取り替えられて、彼が去ったあとに少し暗くなる。
 でも、字が書けないほどの暗さじゃない。

 曲が変わって、キースジャレットのピアノソロが流れ始めた。
 彼がテーブルの上にランタンのような灯りを置いてくれる。
 「あ、ありがとうございます〜〜。」

 メニューをチラッと眺める。
 何となくバーボンでも頼んでみたいような気持ちになる。
 病気をしてからほとんど口にしていないアルコール。
 
 若い頃は、こんなときウィスキーをロックで頼むと、大人になったような気がしたものだ。

 そういえば初めての勤務先に打ち合わせに出向いた日、
 一応一張羅のスーツを着て行ったというのに・・私は教務の職員に受験生に間違われた。
 その日は確かに願書の受付をしてはいたが、見ればわかるだろうに・・。

 見ればわかるだろうに・・。

 あの頃は、朝、梅田のカウンター席しかない小さな喫茶店で、
 フレッシュたっぷりのカフェオレを飲みながらその日の内容を確認するのが日課だった。
 何だかそこは「大人のスイッチ」を入れる場所のように思えた。 
 「よっしゃ〜 行くぞ〜〜!」

 あれからもう十五年以上経って、一体何が変わったろうと思う。

 
 Aちゃんは私より4歳若い。
 うんと若い頃一度結婚していて、わりとすぐに別れた経験があり、子どもはいない。
 激しいところがあり、頑張り屋で、いつもきりきり動いている。
 出会って8年くらいになるが、あまり話をしたことはなかった。

 こちらが敬遠していたわけではないが、
 Aちゃんからすると私は取っ付きにくいタイプだったのかもしれない。
 彼女はよく母親に対する激しい怒りや恨みを周りに話していたが、
 さっちゃんのそれとは少し感じが違った。

 いつも250ccのバイクで颯爽とやって来る彼女。
 さっちゃんとは真逆の雰囲気を持つ女性だが、そんなAちゃんが時おり話しかけてくるようになった。

 「Aちゃんが再婚して、4月ごろに関東の方に引っ越して行くらしい。」
 そんな噂は聞いていたのだが・・。

 数日前の寒い夜、駐輪場を出たところで呼び止められた。

 「takaoさん・・わたし・・結婚することになったんですぅ・・。
  京都を離れるのは嫌やったんやけど、相手の勤務先が急に東京になったんです。」

 そこからは、一方的に彼女の口からいろんな思いが噴き出した。
 
 見栄っ張りで世間体ばかり気にして、娘を自分の思い通りにしたいと思っていた母親。
 思い通りにならないと、無茶苦茶な言葉で子どもをののしった母親。
 そんな母親から離れたくて、早く家を出たくて結婚したこと。

 離婚してしまったことを家の恥だと言われ、それからは実家に寄り付かなかったこと。
 あんな人の娘やというのが嫌で嫌で・・、
 お父さん、何であんな女と結婚したんやろうとずっと思ってた。

 延々と続く彼女の話を、私はただ黙ってうんうんと聞いていた。
 ポケットに両手を突っ込んで、足元が寒いな〜と思いながら・・。

 再婚が決まって、父親と何度か会っていろいろと話をしたそうだ。
 そんな中で、両親に対する気持ちの変化があったという。

 「takaoさん、こないだ親に対して愛おしい気持ちを感じる年になったかな〜って、
  言うてはりましたよね・・。
  私なんか絶対あり得へんと思ってたけど・・。」

 私は寒くて少し震えながらも、思いがけない話に引き込まれていた。
 (あれ・・ Aちゃんも大人になったんやな・・)
 それにしても、この話はいつまで続くんだろう・・。

 喫茶店に誘えば良かったかな・・と思いながら見上げた空に、4日月が光っていた。


 大人と子どもを分ける扉があるわけではない。
 20歳になったら大人だなんて、今は誰も思ってはいない。
 仕事に就いてお金を稼ぐようになったら大人か?というと・・ 決してそうでもない。

 結婚して子どもを持つと一応親にはなるが、大人になったのかというと、それも怪しい。
 
 ひとはいつ大人になるのだろう・・。

 バーボンは結局頼まなかった。
 そろそろ腰を上げようかなと思ったとき、さっきの懐かしい曲名をやっと思い出した。
 そうだ、「ロングバケーション」の「セナのテーマ」だ。

 
 
 
 

 
 

 
 


 
 
 

家路

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 どうにも足が重くて、また「Atlas」に寄ってしまった。
 同じ場所に坐ってフーッと大きく息をつき、目を閉じると頭の芯がくらくらする。
 しばらくは頭の中を空っぽにしようと思うのだが、
 やっぱりさっちゃんのことが浮かんで来る。
 
 「携帯電話を変えたので、takaoさんとの通話が無料になったん。
  ちゃんと確かめたから大丈夫。」

 ということで、最近はよく携帯に電話がかかってくるようになった。
 むしろ朝が多いかもしれない。

 「takaoさん・・今何分大丈夫ですか?」
 「んん・・10分くらいならいいけど・・。」
 私はあまり気にも留めていなかったのだが、
 
 「あっ、もう10分になりますね。もう切ります。」
 「まだもう少しならいいよ〜〜。」
 「takaoさんは、時間になったらきちんと言える人なんですか?」
 「もちろん言うよ〜。夜なら言いにくいかもしれんけど、朝はそういうわけにもいかへんから。」

 「そうですか。それならいいんですけどね。
  私らAC(アダルトチルドレン)の仲間はそうじゃないんです。それが言えないんです。」
 「ほぉ〜〜。」

 「そんなのおかしいと思うでしょ。でもそういう人が多いんです。」「はぁ〜〜。」
 「それで・・あるとき唐突にメールが来て『今から死にます。あなたからの電話が切れなくて
  辛かった』とか書いてあるんです。」
 「へぇ〜〜。」

 「困ったもんでしょ?私からの電話を死ぬ理由になんかせんといて欲しいですよ。」
 「・・・。」
 「でも、自分も同じようなことをしてきたんかもしれませんけど・・。」
 
 「ふーん・・。まあ私もよう切らんことはあるけど、でもそれは自分の問題やからねぇ・・。」
 「だから、最初に聞いた時間、5分とか10分を守ることにしてるんです。」

 先日はある腹立ちを。
 「こないだ○○大学の○○センターの『心理学講座』1回5000円というのを申し込んだんです。
  ずっと前にも連続講座を受けたことがあって、結構好きなんです。
  それに、やっぱり勉強にもなると思ったし・・。」

 「それで、申し込むときにセンターの職員の人に『ACで自助グループの活動をしていますけど
  参加してもよろしいでしょうか・・』って確認したら、『いいですよ〜〜。』と言われたのに。」

 「30人くらいの参加で、最初に参加者のひとこと自己紹介みたいなのがあったので
  そう言ったんです。
  そしたら・・講師の男の先生がいきなり『君はこんな所に来てはダメでしょ!』って・・
  冗談っぽい言い方じゃなくて、ほんとにきつい調子で言われたんですよ。」

 「私は『センターの人に確認して、参加してもいいと言われました。』と言ったんですけど。
  なんかブツブツ言ってはって、センターの人は私が聞いた人ではなかったんですけど、
  何にも言われないし・・。」

 「何かしゃーないな〜っていう感じになって・・。私は『はっきりして下さい!』って
  言いたかったんですけど・・他の人の迷惑にもなると思って黙ってました。
  でもすごーく嫌でした。」
 「そうやね・・。」

 「次の日センターに電話して、私が話した人に代わってもらってそのことを言ったんですけど、
 『私は別にいいと思ったんですけど・・。』ってそれだけなんです。
  『すみませんでした』の一言もないんです。それって、企画した側としておかしいと思いません?」

 さっちゃんの言い分だけを聞いたのではもちろん解らないのだが・・
 たしかに失礼ではないかと思った。

 「私、おかしいですか?!」
 「私の言うてること、おかしいですか・・?!!」
 さっちゃんはよくそう問い詰める。

 「その講座って、何の内容やったん?『アディクション』か何か?」
 「いえ、カウンセリングの話です。」

 なるほど・・・少し解った気がした。
 でも100歩譲って少し解ったとしても・・・
 やはりその講師も、センターの人も無神経ではなかったか・・?
 心理学をやっていながら・・どうかと思う。

 ひょっとしたらそういう人って、かえって無神経なのかもしれないな。

 少しずつ自分の問題に向き合い、ゆっくりゆっくり回復していきたいと願っていても、
 一歩外に出たら守ってくれる人なんていない。

 「私の言うてること、おかしいですか・・?!!」

 おかしいなんて思わない。
 おかしいなんて、全然思わないよ。

 今朝も電車の乗り継ぎのホームで電話がかかって来たのだが、
 今日は夜まで電話は無理だと伝えた。

 そろそろ席を立とうかと思ったら、やはりメールが入った。

 「takaoさん、けさはありがとう。
  あたしあたまこわれてんの。にんげんこわれてんの。
  かなしいけど、いきててもいいよーとかみさまがいってくれてる。
  庭をみてると、そういってくれてる。」

 重たい腰を上げた。
 帰らなくちゃ・・。

 


 


 

プレゼント

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 バレンタインデーに、男女問わず数名の人にささやかな「感謝」チョコを渡した。
 義理チョコとは違う。
 ほんとうにちょっとした「感謝」のチョコ。

 お返しの心配の必要もないような普通のチョコに、手作りのカードを添えただけ。
 当然のごとく、ホワイトデーにお返しを貰うということもない。
 
 ところが3月も20日を過ぎてから、ある方がお返しを下さった。
 私はもちろんお断りしようとしたのだが
 「ほんとにちょっとしたものですから・・。」そう言われて無碍に断るのもどうかと思い
 いただくことにした。

 正直その方には、たまたま成り行きで渡したようなものだったのだが・・
 まあいいか・・・。

 小さな紙の箱から出てきたのはミニチュアのバイオリン。
 ケースも含めて細部までとっても丁寧に作られていて、驚いた。
 驚いたのはそのことではなく、私がそういうものが大好きだということ。

 昔はいろんなミニチュアを集めていた。
 洋服やアクセサリーには全く関心のない私が集めていたのは、紙といろんなミニチュアだけ。
 自分で模型も作っていた。

 でもここに越して来るときに全て置いてきてしまったのだが・・・。
 だから偶然とは言え、すごく嬉しかったのだ。 

 私はその方のことをよく知らない。
 年齢不詳のおじさん。
 細くて飄々としていて・・何をしている人なのか・・・。
 趣味の絵を描くのが生きがいだと話しておられたことはある。

 「定年」があるような仕事をして来られたようにも見えないが
 60過ぎくらいかな・・。時々ボランティアに来られる時だけお会いする。
 
 それからしばらくして、FAXが来た。
 自作なのか、引用なのかはわからないが、詩のようなものが書かれていた。
 携帯もパソコンも持っていないと聞いたことはある。

 私は「ありがとうございました。」とだけ言ったのだが。
 
 数日前ケーキを入れるような持ち手のある小さな紙の箱を下さった。
 もちろん断ったのだが・・・。
 もういただくのはこれで最後ですよ、ということで貰ってしまった。
 う〜んんまあいいか・・・。

 てっきりケーキが2つ入っていると思ったのだが・・・。
 友だちを呼んでお茶にしなくて良かった!
 開けた瞬間「何?!」一瞬新種のカップケーキかとも思ったのだが・・
 
 それは小さな植物。
 「セダム」と書いた紙が入っていただけ。

 私のところに可愛い生き物がやって来た。
 どうしよう・・・。
 置いてあげることにしようか、誰かにあげてしまおうか・・。 

 
 

 

嘘はつけない

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 明日の午後からはまた雪になるという。
 それなのに今日の暖かさは何だ?
 がんばって動き回ったら・・汗をかきそうだった。

 日曜日、さっちゃんに誘われて出向いた「フォーラム」はなかなか面白かった。

 小雪がちらつく寒い日となったのだが、
 淡路島の水仙峡に、500万本もの野生の水仙が群生している映像を眺めながら・・
 行ってみたいなぁ〜〜と思いつつ家を出た。

 自分ひとりで申し込んだのだったらサボっていたかもしれない。
 以前だったら自転車でも行けたのだが、さすがに今は無理!
 バスも以外に時間がかかり・・何とかギリギリに滑り込んだ。

 5人の先生のお話はなかなか面白く、私はとても集中してメモを取りながら必死に聞いていたのだが、
 彼女はあまり元気がなく、時々居眠っていた。
 そうだろうな〜〜。

 よほど疲れていたんだろう。
 前日にも「もう嫌になって・・会議から抜け出してしまいましたぁ〜!」
 と電話をかけてきたくらいだから・・・。

 同じ問題を抱えた人たちの自助(セルフヘルプ)グループというのがある。
 医師や援助者には限界がある。
 その、専門家にも立ち入れない最も肝心な部分に触れるのが自助グループなのだが、
 協力し合ってミーティングを開き、運営していくのは大変なのだ。

 会議で決めたことを守らない。引き受けたのに責任を負わない。
 何度も話し合って決め直しても・・まともに遂行されない。

 彼女はその穴埋めに奔走していた。
 
 普通の活動だったらやめてもいいのだろう。
 でも、「命かかってるやん・・・。」
 「わかってんねん、みんな病気やもん。」

 私は無責任なこととは思いながら
 「無理しない方がいい。、あなたが全部引き受けるのは良くないよ」とメールする。
 彼女の微妙なしんどさがどこからきているのかは難しい。

 「私は摂食障がい持ってるから『食べものと二人きり』で生きてきてん。
  レーシングカーで200キロ出してぶっ飛ばしてきた恋愛依存の子と比べたら
  私なんて補助輪付きの自転車ってとこやねん。
  ひとたまりもないねん。」

 私はほとんど聞くばかりで、もちろん滅多に意見などできないのだが・・。
 昨夜はこんな電話があった。

 「takaoさん・・・こないだ『ほっといたげたら・・』って言ったよね。」
 (そんなこと言ったかな・・?)
 「あれって、ほっとけ!ではなくてほっといてあげる、ということなんやね。」
 「・・・・・。」

 「私手を引くことにします。自分のグループのことをゆっくりやることにする。
  ほんとは私、無理したらすぐに具合悪くなるン。
  それやのに、ほっとかれへんで・・共依存にはまりそうになるン。」

 Atlasでほっと一息つくと・・しばらくは頭の中を空っぽにするのだが・・
 最近はここに坐るとさっちゃんのことを考えてしまう。
 家で机に坐っているときには、彼女は出てこない。

 ほんとうに稀になのだが、彼女が言うことがある。
 「takaoさんの話を聞きたい。」

 どこまで話せているのかは怪しいけれど・・
 でも彼女の前では嘘はつけないなと思う。
 そう・・正直に自分の話をしないと・・・。

 席を立とうとするとメールが入った。やはりさっちゃんから。

 「犬が産気づいたんで、しんどいのどっか飛んでいきそう。
  生は猥雑で楽しいなぁ〜っうつくしいな〜って思える。涙が出そう。
  takaoさんも早く鼻水治して、涙にした方がいいよ。」

 「ありがとう・・。」

 

 

 
 
  

 

 

 
 
 

  

正直な自分

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 おそらくこの冬一番の寒さだった昨日、ボアボアの大きなぼたん雪が舞っていた。
 時折突風のような風が吹いて・・・横に流れる雪が容赦なく顔に張り付く。

 雪の中で自転車を漕いでいると、やはり浮かんでくるのはあの歌。
 口もかじかんで、鼻歌を歌えるような状況ではないのだが・・・。

 「絶え間なく降りそそぐこの雪のように  君を愛せば良かった・・・
  窓に降りそそぐこの雪のように  二人の愛は流れた・・・」

 本当は最後のフレーズを歌わねばならないのだ。
 そこを歌って閉めないことには、ただ寒さにいじけて終ってしまう。
 
 「この長い冬が終るまでに  何かを見つけて生きよう・・・
  何かを信じて生きてゆこう  この冬が終るまで・・・」
 
 でも昨日はそんな気分にはなれなかった。
 寒さには強いつもりだったのに、根性がなくなったな。

 家に帰ってパソコンを開くと友人からのメール。
 これがまた、すぐに返事が打てるような内容ではなかった。
 着替えてすぐに布団を敷いて・・潜り込んでしまった。根性は全くなくなったな。

 その彼女とは、親しくなったのは一昨年の病気がキッカケだった。
 顔と名前は知っている程度の人だったのだが・・・
 私のお見舞に何度か本を持って来てくれていた友人に付いて来られたのだ。

 「絶食中」で「呼吸不全」でもあった私には、花も食べ物もダメということで、
 彼女も本を貸して下さった。宮部みゆきの「クロスファイアー」。
 私はその本を入院中に何度も読み返した。

 本も返さねばならないし、お見舞のお礼もしなければ・・と思っていたとき、
 彼女がご主人を突然亡くされたことを聞いた。
 元気そのものの、働き盛りの54歳。朝のジョギング中の心筋梗塞だったらしい。

 ちょうど1年前、少し落ち着かれた頃、彼女も私に会いたがっているということで、
 友人に誘われてお宅にお邪魔することになった。
 本とお礼を持って・・・少しドキドキしながら・・・。

 ご主人の思い出の品々に囲まれて、まだ少しハイな状態だったのかもしれない。
 彼女の話は尽きることが無かった。
 そして・・本のお礼を言ったとき、彼女は意外なことを言われたのだ。

 「私がなぜ『クロスファイアー』を持って行ったか言いましょうか・・。」

 そこに出てくる主人公の『青木淳子』という女性のイメージが、私と重なったというのだ。
 何度か顔を見たことがあるだけでどんな人かもわからないのに、なぜかそう思ったのだと・・。

 「気を悪くせんといてね。最初にtakaoさんの顔が浮かんだら・・もうそこから離れられへんの。」

 『青木淳子』というと、暗くて地味で可哀想な女性。
 『念力放火能力』(パイロキネシス)という超能力を持った女性。

 (え〜〜っ!!嘘でしょ〜〜!!)
 何とも言えない複雑な気持ちになった。
 誰かに似ていると言われたことはほとんどない。でもよりによって・・・!

 その日を境に彼女とのメールのやりとりが始まった。
 
 小学生と中学生の男の子を残して、突然逝ってしまった夫。
 一回りも年上の夫に何もかも依存してきたという彼女。
 その穴を埋めることはできないものの、先日無事に1周忌を終えて4月から教職に復帰するという。

 今日も寒かった〜〜!
 直帰しようかな・・と思いつつ、やはり「Atlas」に足が向いた。
 週末の雰囲気が漂うネオンを背景に、細かい粉雪が舞っている。

 クリスマスイブの夜だけ、ここにも蝋燭が灯っていた。
 『青木淳子』は見つめるだけで、蝋燭に火をつけたのだ。
 そんなロマンチックなことではない。
 彼女は怒りを抱いた人間を・・骨の髄まで焼く尽くす。

 (何でそんな女性が私なんだ・・?)
 
 昨夜の彼女からのメールの一部。

 「・・・寂しさは夫を亡くしたからではなく、ひょっとしたら自分中心の寂しさのような気も
  してきて揺れています。・・・
  わがままな自分を持て余し気味です。
  周りから求められている自分を演じてしまい、正直な自分を出すことができません・・・」 

 今夜は寒さに少し慣れたのか・・彼女にメールをしようという元気が残っている。
 でも何と書こうかな・・・。

 

 

 

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