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また中三生の質問。
どうして"円高"というのか、 すっきりしません。 これはなかなか賢い女の子でした。 だから、テストではちゃんと答えが書けるんです。 でも、自分の中で、何か ストン、と落ちていかないというのでした。 つまり、1ドルが100円から、1ドル90円になったら なぜ円が高いのか、ということです。 従来は、そのとき円がたくさんのドルに替えられる、とか 物を買うときに有利になる、とか 円の強さの面が説明される説明ばかりでした。 でも、それではストン、とこないのです。 私は、簡単な方法を知っています。 それは、「円が」の主語をやめるのです。 「ドルが」の主語を考えましょう。 ドルを中心にします。 1ドルが100円と同じだったのが、今90円と同じになりました。 このとき、「ドルは」どうなりましたか。 彼女は、弱くなった、安くなった、と理解しました。 同じ1ドルが、値下がりしたからです。 つまり、それが「ドル安」です。 比べている相手の「円」はその逆ですね。 つまり、「円高」と呼ぶことになっているのですよ。 彼女は、ストン、ときました。 さっぱりした笑顔で帰っていきました。 説明のとき、 立場をかえること、 主語を何にするかを意識すること、 そういう見方の変化が、功を奏すときがあります。 尤も、横で聞いていた、 考えることよりもとりあえず暗記で凌いでいる友だちは、 「よく分からん」とその説明を聞いていました。 元々あまり考えていないからなのでしょう。 まあ、いよいよのときには、それでもいいのですが。 |
社会
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"違憲審査制"と解答にあったのですが、
"違憲立法審査権"でもいいですか。 中三のある女子の質問である。 そもそも「制」と「権」とが決定的に違うのですが、 それ以前に何かあるぞと 説明しながら問いただすことにしました。 案の定、説明すればするほど?マークが彼女から。 違いを説明してもどうも言葉が通じないので、 思い切って尋ねてみました。 ――国会って、要するに何をする仕事? すると彼女は、 内閣総理大臣を指名……などと言い始めます。 それは三権分立の中での立ち位置なのであって、 そもそも国会というのは、 法律をつくるところなんですよ。 立法権、って習ったでしょう。 こうして、国会が立法を仕事とすることが認識できて、 それでようやく、違憲立法審査権の何たるかを 理解することができるようになっていきました。 それが分かれば、それと比較して、 違憲審査制も見えてくるようになります。 理解のためには、 基本はほんとうに大切です。 分からなくなったら、つねに 基本の定義に戻ること。 公民はとくに、中学生には馴染まない内容が多いので、 細かな言葉の定義を幾度も振り返って見つめてください。 |
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六年生。
中学受験はしないクラスです。 社会科で、ずっと歴史を教えてきました。 そしてこの秋、公民分野に入りました。 その日は、選挙についての学習でした。 せっかく選挙権があるのに、 投票に行かない人が多いんです。 私がそういうところを説明し始めたときのことです。 一人の男の子が声をあげました。 「もったいない」 私ははっとしました。 そう、もったいないことだよね。 歴史の中で、 選挙権を獲得するために、 どれほど多くの人が努力し、 また時に血を流したかを その子は歴史からちゃんと学んでいたのです。 それを理解していたから、 投票に出向かないということは、 確かに、「もったいない」ことなのです。 私の授業を理解してくれた、と思うと、 私はとてもうれしい気持ちになりました。 |
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六年生の子に歴史を教えるのは
勇気が要ります。 初めて聞く日本の歴史。 ここでどんな印象を与えるか、 そこに責任を覚えるのです。 日清戦争や日露戦争を話します。 それ以前も、古代や秀吉などないわけではないけれど、 外国を相手に行った戦争です。 欧米列強に子ども扱いされ、その圧迫の中で、 一人前でありたいと富国強兵を実施した明治政府。 中国に、そしてロシアにまで買ったことは 大きな益となりました。 が、朝鮮(韓国)を支配下に置くなど、 今度は他国を傘下に入れようと働き始めます。 だから日本は悪い国だ、 そんなふうに教えたくはありません。 しかし、 あれは正しかった、仕方がなかった、 そんなふうにも教えたくはありません。 歴史の中でも、どの国も、 内であれ外であれ、戦争をしてきています。 日本だけが、ではありませんが、 戦争が正しい、というわけでもないと伝えます。 戦争というものが、人や国を変えます。 人や国がまた、その戦争を起こすこともあります。 私たちもまた、 戦争を起こすことに加担するかもしれません。 何かを教えると、すぐさま、 イデオロギーはどうか、右か、赤か、 そんなふうにレッテルを貼りたい大人がいます。 レッテルを貼られる前に、 人間はひとりの人であってよいと思います。 戦争をカッコイイと思ってもらいたくもないし、 戦争の内実の専門家になってほしいとも思わない。 平和をつくるとはどういうことなのか、 歴史を学ぶ中から自分で考え続けてほしい、と思うのです。 |
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日中韓首脳会談が始まり、
震災の地に、 中国と韓国の首脳の訪問がありました。 中学生がよく質問します。 「日中共同声明」(1972)と 「日中平和友好条約」(1978)とは どう違うんですか? 「声明」と「条約」の違いだよ。 そんなふうな説明では、分かってもらえません。 中学生は、おとな社会の約束事に通じていないからです。 「おつきあいしましょう」と告白して そこからデートが始まるのが、「声明」。 「結婚しましょう」と婚約(あるいは結婚)するのが「条約」。 法的な問題が発生しますから。 この説明で、一発で納得してくれます。 少しでも感覚的に分かる捉え方があればよいのです。 |



