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それは高校生のごくある普通の初恋で終わるはずだった・・・
二人は、たまたま同じ車両で毎朝通学していただけなのだから。。
東京のビル群の隙間から、朝の光が神々しく降り注ぐのを二人で見て、はにかみあったり、
トンネルに入ると、電車の窓に映る君の瞳をずっと眺めていた
僕たちは話したことはなかったが、互いに愛し合っていたのだ
時間は永遠だと思っていた・・・
告白できずに、時は過ぎ、
君は卒業し、僕も一年後に卒業した。。
大学も、君のことが忘れられなくて、同じ電車を使う場所に通うことにしたら、また君が前から2両目のいつも一緒だった車両にいてくれた
社会人になっても、二人はずっと一緒だった♪
名も知らない君とずっとずっと・・・
誰もが携帯を持ち、メールを送る時代になっても、
二人をつなぐのはこの前から2両目の場所でしかない・・・
駅が自動改札になり、駅ビルがどんどん建っても、
二人が逢うのはこの前から2両目の場所だけである・・・
時間は永遠だと思っていた・・・
君と出逢ってから、13年目の秋、
僕は不治の病にかかった
地方に行っての静養を勧められたが、
行くべき場所は、毎朝、横浜から品川まで動くあの場所しか僕にはない
入院していたので、半年間、僕はその場所に行けなかった・・・
ある木曜日の朝、
僕は病院を抜け出して、横浜に向かった
星の数よりも乗ってきたこの電車の2両目に、まだ相変わらず君はいてくれた。。
半年も経っているのに・・・
プラットホームで座り込んでしまった僕を見て、君はその場所から出てきてくれた
「調子が悪そうね? 今日は乗っていかないの?」
初めて君の声を聞いて、僕は、僕は涙があふれて止まらない
「ごめん、今日はちょっと無理そうだよ・・・
それより名前も知らない君にプロポーズするのは変かな」
と言って、僕はスーツのポケットから指輪を君に差し出した
「世間は変だと言うでしょうね・・・
でも、
一生はずさないつもりよ」
君は指輪を薬指にはめると、ひとつ遅れてきた電車にひとり乗り込み、
いつも僕といた2両目のその場所で、君はひとり泣き崩れた
電車が発車した
時間は永遠だと思っている・・・
僕はゆっくり目を閉じ、絶命した
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