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シン・ゴジラを観ました。 いきなり記事にしたのは映画の音楽を聴いたからです。 「ゴジラシリーズ」昭和29年(1954年)の第1作に遡ります。平田昭彦氏の好演が光ります。先月もNHK−BSで放送していましたので食い入るように見ていました。 90年代に新シリーズが再現され再度ゴジラから始まりました。 90年代のものはメルヘン(ビオランテやモスラのような)あり、タイムマシンありと一定の子供の客を意識した作りで、シリーズ最後は自分の体がついていかずメルトダウンのようにゴジラが崩壊していくものでした。 ゴジラ・ファンとしては納得しがたい作りになってしまったことです。 今回の「シン・ゴジラ」ですが、怪獣の物語ではなく第1作に近い、組織や人間の物語として作られています。 この第1作の考え方を非常に大事にし、ゴジラの日本への進入経路も「品川」としています。 怪獣と戦うシーンが派手に取り扱われていません。 東日本大震災や先般大被害を与えた熊本大地震のような現実目線を使い、人間たちがどういう行動を取るかという観点で物語が進行します。 大杉漣氏が内閣総理大臣、柄本明氏が官房長官の職をこなしていましたが、それぞれ味のある演技でした。 とりわけ、総理大臣が意志決定する過程とゴジラの被害が大きくなりだしてからの自分がリーダーとして速やかに機関決定をしていかざるを得ないことがよく出ていました。 映画監督はまるで預言者なのかと思えたのは余貴美子氏が防衛大臣についていたことです。なかなかの強硬派で現在の稲田さんを彷彿できるような仕事ぶりです。 子供に媚びず、社会の権力構造の中で、安全保障がどういう意思決定で進んでいくかを映像化(やや極端に描いていましたが)したものです。 ゴジラは動き回る悪の形ではなく、動かない怖さ、いつ人間社会に向かってくるかという怖さの象徴として描かれていました。 人間の知恵と勇気を試される「対象」として存在していました。 その対象に向かう際、リーダーがきちんとリーダーとして機能しようとし、それが遂行されると思ったところで大きなイレギュラーが起こり、新たなシステムを構築しなくてはならない状況になるところなど盛りだくさんです。 物語の構造は小松左京原作の「日本沈没」に似たようなところがあります。 ゴジラが東京に出現すると社会の動きはそこに住む人間をどのように扱っていくのかという意志決定が非常に現実的です。 さらに人間の将来への希望をうたい物語を閉じます。 従来の怪獣映画は、人工密集地でも、簡単にドンパチするのですが、その下に生活している人間の姿は描かれていないのですが、今回の映画はまずこれらの人間をどこに避難し、どのように養うべきかという観点がきちんと示されています。 大八車で動く大変さではなく、どこに避難して、たとえばその後どのように生活していくかということを提起していました。 やはり、東日本大震災で被災した住民がどのように生活にこぎつけたかをフィードバックされたように思います。 ゴジラが放出する放射能の恐怖も今回は課題として示されていました。 映画のやまは防衛相がゴジラに戦いを挑む「ヤシオリ作戦」展開です。ネタバレで申し訳ないですが、ここで旧作の「自衛隊のテーマ」が新しいアレンジではなく古い音源のまま使用されます。それも途中音楽を替え、最後ピアノの不協和音のあるバージョンです。 観ていて泣きそうになります。伊福部昭の真骨頂が出ている音楽です。 出てくる兵器(人が乗っている)が次々と破壊されるが、作戦をとにかく進め、最後はゴジラの周りのビルを全て破壊してゴジラを倒し670キロリットルを超える血液凝固剤を経口投与します。 なんとJRの車体のN700系新幹線や山手線、京浜東北線、中央線車両(E231、233系)までゴジラへの兵器とするプランは普通なら滑稽な話だが、変に説得力があります。 なお、ヤシオリ作戦の開始はN700系により攻撃で幕を切ります。自衛隊のテーマが高らかになるのと同時に始まり、ゴジラに立ち向かっていく新幹線に愛しさすら感じます。 作戦陣頭上をゴジラの光線を受けても微動だにしない姿は懐かしい宇宙大戦争と同じ演出。コテコテなのですが大好きです。 福島原発でメルトダウン防止(本当は既にメルトダウンしていましたが)のためにヘリコプターから放水したのと同じぐらい失笑に近い内容ではあったのですが、人間が最後まであきらめないというのを見せてくれる非常に良い絵図でした。 シン・ゴジラの「シン」は単に「新」ではないというのがわかりました。 ゴジラは外部から来た敵ではなく、人間社会が作り出した問題に対し、自然(神とはいわないけど)が人間に突きつけてきた試験だということです。 第1作のゴジラが水爆実験に対する日本の警笛だったわけですが、今回も文明社会に対し、かなり辛辣な打撃を与えてくれています。 なお、作品は旧作の一連のゴジラシリーズのパロディを出すだけでなく、踊る大捜査線(会議部分)やエヴァンゲリオンまで出してきました。 これも本当は言ってはいけないのですが、エンドタイトルの音楽は「ゴジラ」第1作の主題曲が当時の録音のまま流れ、2曲目にキングギドラVSゴジラに使用した音楽、さらに3曲目には再び「自衛隊のテーマ」が流れます。オールドゴジラファンは映画の最後まで席を立つことが許されません。いい選曲だ!! なお、故岡本喜八が写真だけで出演(ゴジラの謎を探していた過去の研究者役〜どう選択するか好きにしなさいと後世の人間に謎かけした人)していますが、同氏は東宝に所属し、特撮が大嫌いで名が通っていました。盟友の田中友幸氏はゴジラ一家でしたが、このあたりは庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)あたりの意向なのでしょうね。茶目っ気があるのでしょうか。 シン・ゴジラの最終部分から続編制作の可能性が目いっぱいあります・・・ 今回のゴジラは是非観に行ってください。ただ、1回見ただけでは多分内容がわからないので2回見ることをお薦めします。 ひとつ文句言うなら石原さとみの役(米国特使)。チャラすぎ。 |

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新幹線のシーンは、切り札としてN2を積んだ、エヴァ新幹線を使って欲しかった。
ゴジラの出すビームの応酬も『宇宙大戦争のマーチ』のイメージまんま
2016/8/12(金) 午後 3:49 [ ひこにゃん ]
コメントありがとうございます。
そうですね。ゴジラのビームのシーンは宇宙大戦争のままでしたね。
テレビで見るとたいしたことないのですが、劇場で見るとそれなりに感心できます・・・
2016/8/26(金) 午後 6:32