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オーケストラ コンサート Aプログラム
8月18日(金)19:00開演 キッセイ文化ホール
マーラー/交響曲第9番ニ長調
指揮:ファビオ・ルイージ
演奏:サイトウキネンオーケストラ

まず最初に申し上げるなら、今回のマーラーの9番を松本で聴かれた方はこの20年間のマーラーすべての演奏のライブ演奏で最も優れた最高の演奏を耳にされた方々です。
今回の演奏はいまだに心臓がドキドキしています。
第2楽章の金管のほんの少しのミスなど多少のキズを含めてもバーンスタイン級の演奏だったと断言できます。
すごいの一言です。

ファビオ・ルイージという指揮者は本当に素晴らしい指揮者です。

この日の演奏も冒頭から超ゆっくりな開始でした。音のためが半端でないのにも関わらず、異様な緊張感を取り除いた解放されたアダージョです。絶妙な音出しでした。
音を表面的にとらえず、何層にもディテールを表現し、マーラーの矛盾性を音として表現されていました。
単に日本のオーケストラだとここを指揮者の指示から表面的にとらえて再現してしまうことがほとんどなのですが、世界に散っている演奏家たちは指揮者の言葉をきちんと理解したうちで「再生」することに成功しています。
これほどの完成度は奇跡といってもいいでしょう。

今までに数えきれないマーラーの9番を聞いていますが今回の演奏ほどこの曲から音の多様性を情報と聞いたことがありません。
こんな曲だったんですね、マーラーの9番の第1楽章って。

この曲で最も優れたものと思っているのはバーンスタインのコンセルトヘボウo(ベルリンフィルのものを昔は好んでいますが、緊張感はあるものの最近は完成度に課題があると思い始めています)とアバドのルツェルン祝祭oのものです。
かつての紹介とは異なりますが、今の自分はこの2つです。
好みが以前と比べて変わってきたようです。

マーラー交響曲第9番ニ長調
https://blogs.yahoo.co.jp/takashidoing0826/30374605.html

そして今回の演奏は間違いなくこれらの演奏と肩を並べているということです。
それはひとつにこの曲が弦とホルンが完璧でなくてはないらないということなのですが、その両者が完璧だったということに尽きます。

金管の起点はほとんどホルン、スーパースター バボラークからのものですが、それが正確に機能していたことにあります。
さらにコンサートマスターが矢部さんだったことです。インバルと長らく組みマーラーの真髄を取得している彼の音は世界屈指のマーラー演奏のエキスパートであることは間違いないです。
このサイトウキネンの弦の中心は都響の透明度と圧力が素地として流れており、一点の妥協もないということです。
新日本フィルの豊嶋さんが仮にコンマスを務めていたらもう少しロマンチックな音になってしまうのですが、絶妙な細く硬くかつ柔軟な糸は矢部さんのもののように思います。

人によってはもう少し穏やかでドビュッシーのような生暖かい音を所望される方もいるのでしょうけど、このツボは僕としてこれしかないと思っています。
きっとルイージがドレスデンで同曲を演奏したときもこんな音だったんでしょうね(演奏したかどうかはわかりませんが)。
但しドレスデンの音は録音では聞けません。音源として残っているのはMDR交響楽団(中部ドイツ放送交響楽団)です。

第2楽章についてもオーケストラの連携が素晴らしかったです。1年に1度とはいえ、もう同じメンバーが音を重ねているのでバラバラ感がまるでありません。
どんよりした部分がないですし、変な突出もなく緊張感が高いものです。

そして第3楽章。この演奏の中でこの楽章が一番優れていたと感じました。
煽られたわけでもないのに躍動感がすごく音の弾丸といった感じです。

最後は第4楽章。このオーケストラの弦は本当に素晴らしい。世界最高のシルクのような滑らかさがあります。この音を聞きたいために今回松本に足を運びましたが期待以上です。
小澤さんもリハーサルに顔を出さなかったのでしょうか?
御自分が演奏したいと思われたんじゃないでしょうか。
サイトウキネンオーケストラの弦は間違いなく世界の5本の指に入ると思います。
音の圧力、バランスそして何よりも精度がすごいです。フルトヴェングラーが求めるアインザッツがこのオーケストラは完成されています。

そして終了後、ほぼ30秒誰も手を叩こうとしません。指揮者が指示するまで演奏者同様観客も指揮に合わせた行動を取りました。
松本までやってくるお客の精度の高さでしょうね。

演奏時間
(1)26分45秒(2)15分31秒(3)13分42秒(4)27分48秒 全体86分24秒

<参考>MDR
(1)28分36秒(2)15分27秒(3)14分44秒(4)28分37秒 

19時12分に指揮棒が振り下ろされ、20時38分に演奏会は終わりましたが充実した時間でした。

で、僕は20時52分には松本駅前に立っていました。余韻にひたれなかったのが唯一残念なことでした。

今回の音源がCD化されてほしかったですが、録音機材は放送用の感じで、パートマイクはティンパニーのところしかなかったです。
小澤さん以外ではハーディングのアルプス交響曲が録音されていますが、ルイージのものも日の目を見てもらいたいと思ったのですが残念です。

今年感じたことは、キッセイホールに入った瞬間かび臭かったことです。もう26年サイトキネンの歴史になりますが、ハードは確実に古びて行きます。
ホール周辺の飾り物も今年のものは費用に安っぽい感じがしました。

ルイージのチケットはずっと残っていて日曜日の演奏は演奏会直前もソールドアウトになっていません。この指揮者は相当な実力者、少なくともドゥダメルやネルソンスより優れた指揮者だと思うのですが日本の観客の受けは悪いです。個人的にはNHK交響楽団のパーヴォの次は彼であってほしいと考えています。世界的にはメトロポリタンでは音楽監督ではないにしろポストを得ていますが、最も主要オーケストラの常任指揮者は今は有していません。レパートリーの問題なのか、人事管理をしたくないジュリーニのような本当の芸術家なのかもしれません。

来年も振ってくれるなんてことはないでしょうか。
マーラーの中でも最もむずかしい7番なんて演奏してくれると最高なのですが、チケットが売れないのでないでしょうかね。
本日も15時から演奏しますが期待できますよ。

閉じる コメント(2)

こんにちは。
細かい傷はあったものの、全体的な完成度は世界最高レベルだと思いました。今日聴けないのが非常に残念です。

個人的には、アンサンブル精度の高さと、ルイージの曲解釈が特に素晴らしかったと思います。2楽章の主人公は木管、3楽章は金管と、細かなパッセージまで対比させ、作曲者の意図的なものが、いつも以上に感じられました。

豊嶋さんは、私の右前方客席に開演5分前にいらっしゃいました。今回リハの日程が合わなかったのでしょうか?

1番はN響で4月に振ったから、3,6,7あたり来年もやってくれないかなぁぁぁ~。

2017/8/20(日) 午後 5:38 とむ

いつまでサイトウキネンの演奏が聴けるかでしょうね。
来年もルイージが来てくれるかどうかですね。
小澤さんの目の黒い間は楽しめるのでしょうけどね。

豊嶋さんは小澤さんのプロ(B,C)でコンマスを務めるのでしょうね。少なくとも内田光子さんとの演奏会はご出場でしょう。

ルイージは2014年から毎年で今年で4年になりましたね。シリーズ化して来年もマーラーの大曲をやってくれるといいですよね。チケット販売が小澤さんのものに比べ苦戦しているのがやるせないところです。

小澤さんが来年もベートーヴェンをやるようならルイージを聴きに来ます。今年のシュトゥッツマンの意味がわかりません。音楽塾で十分だと思うのですが。

2017/8/21(月) 午後 6:18 NCC-1701-T


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