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このDVDは1982年4月13日にロンドンのロイヤルアルバートホールで行われたコンサートの映像で、英国の皇太后もご覧になったロイヤル・ガラ公演だ。もともとパバロッティ・イン・ロンドンというタイトルでパイオニアがLDで出していたものだが、2004年になってデッカが「the essential Pavarotti 」というタイトルでDVD化した。商品化されたパバロッティのソロコンサート映像としては最も初期のものだ。曲目は以下の通り
1.ヴェルディ「運命の力」序曲
2.プッチーニ「トスカ」〜妙なる調和
3.ヴェルディ「マクベス」〜ああ父の手は
4.ヴェルディ「第一回十字軍のロンバルディア人」〜私の喜びで彼女を包みたい
5.ヴェルディ「ルイザ・ミラー」〜穏やかな日には
6.ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」〜やがてこの世に別れを告げよう
7.チレア「アルルの女」〜ありふれた話
8.プッチーニ「トスカ」〜星は光りぬ
9.ドニゼッティ「愛の妙薬」〜人知れぬ涙
10.プッチーニ「トゥーランドット」〜誰も寝てはならぬ
11.クルティス 帰れソレントへ
アドラー指揮ロイヤル・フィルハーモニック
一見してどこか見たような曲目だと思うかもしれない。そう、このコンサートで歌っている曲目は、同じくロンドンで9年後の1991年7月30日に開催した野外コンサート「パバロッティ・イン・ハイドパーク」や、横浜で1993年1月に開催した「パバロッティ・アリーナ・コンサート」とほとんど同じなのだ。
「パバロッティ・イン・ハイドパーク」もDVDになっているが、しかしこのコンサートは大きな違いがある。それはパバロッティがマイクに向かって歌っていないという点だ。映像をよく見ると舞台の端に控えめにマイクが置いてあり、これは映像収録だけでなく場内拡声に使われた可能性もある。ロイヤルアルバートホールは8000人も入る大きなホールなのでその可能性は否定できないが、しかしここでのパバロッティはマイクによる拡声を前提としない真剣そのものの歌を聴かせている。
皇太后を前にしてさすがのパバロッティも緊張したのか最初は少し声が上ずっているが、すぐに調子を取り戻す。後年のように1曲ごとに舞台袖に引き帰らずに何曲も立て続けに歌うので見ていてとても気持ちいい。後年のパバロッティに慣れてしまうと、一聴して「おっ」と思うくらいに突き抜けた明るさの声だ。私はこのビデオを見る度に「そうなんだよ。これが本当のパバロッティなんだよ」と納得する。
パバロッティがデッカのディレクターのジェイムズ・ロックの音響システムを用いた「パバロッティ・アレーナ・コンサート」を開始したのは翌1983年のことだ。以後パバロッティはドーム球場や公園で拡声器を使った大規模コンサートに執着し、1993年のニューヨークセントラルパークのコンサートには50万人が集まったとも言われる。
3大テナーコンサートも含めてマイク付きの公演によるクラシックの大衆化を一概に否定するつもりはないが、クラシック歌手の場合マイクをあのように近くに置くとどうしても声の音圧が歪みとして音に乗ってきてしまう。パバロッティは2004年4月の最後の来日ではサントリーホールの公演ですらマイクを使ったそうだが、(恐らく)高額なチケットを買った客は肉声を聞けると思っていたのではないだろうか?
私は「パバロッティ with マイク」ではなくて人間パバロッティの声をもっと聞きたかった。このロイヤル・ガラが、大規模コンサートは金になるということをパバロッティに気づかせてしまったのだとすると、この夜は「終わりの始まり」だったことになる。
残念ながらデッカはこのDVDを日本では発売していない。多少収録が古くてもベストフォームの演奏の方を作品として残すのがレコード会社の義務だと私は思う。画質・音質は悪くない。後年のパバロッティしか知らない人にもぜひ見てほしい映像だ。幸いリージョン0で日本のプレイヤーでも問題なく再生できる。ユーチューブにもたくさんアップされていたので紹介するができればDVDで見てほしい映像だ。
http://www.youtube.com/results?search_query=pavarotti++1982+idock02
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パヴァロッティは晩年にはマイクを使うのが上手になりましたね。私は少し悲しい気持ちで見ていました。オペラ歌手は肉声で勝負してほしいです。
2007/12/10(月) 午前 1:56
ほんとうにそうですね。私はマイクつきのコンサートは全部パスしてしまいました。
2007/12/10(月) 午後 9:53 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]