こだわりクラシック Since 2007

12月までに移行します。コメントも手作業でコピーする予定です。

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チェリビダッケ指揮ミュンヘンフィル
1986年10月14日 人見記念講堂(東京)
(ALTUS ALT140)

この演奏は先日紹介したパリ管の爽やかな演奏とは打って変わって42分もかけた重量級の演奏だ。このコンビで初めて来日した1986年の演奏で、FMでも放送され海賊盤でもだいぶ前から出ていた。

実は私がこの曲を初めてFM放送で聞いたのは1979年のカラヤン/BPOの来日公演で、続いて1980年のチェリビダッケ/ロンドン響の来日公演の放送も聞いた。いずれも40分近い演奏だった。なので私は遅めの演奏が好きになってしまったのだ。ラベルの楽譜にもメトロノーム指定は入っていないし、元々はロシアの作品なのだからフランス流の演奏とは違った解釈があっても良いだろう。

1980年の来日公演は最近DVD化された。これは悪い演奏ではないと思うし元気な頃のチェリの指揮振りが克明に記録されていて素晴らしいが、いかんせんNHKホールの響きはチェリのたっぷりした演奏とは相性が悪い。ひどく冷徹に醒めた演奏に聞こえる。ミュンヘンフィルの方が自発的で歌心にあふれた演奏をしていると私は思う。

しかし1986年の来日公演は過密な日程だったらしくオケの状態は完全とは言い難い。EMIから出ている1993年のミュンヘンでの演奏の方が上手くいっている場所もある。それにもかかわらずEMI盤よりもこのALTUS盤を選ぶ理由はEMI盤に致命的なミスがあるからだ。

それは終曲「キエフの大門」の練習番号120、小節数で158小節目と161小節目だ(EMI盤の5分43秒と5分54秒)。2分の3拍子の2拍目に大太鼓が入らなくてはならないのだが、大太鼓のパートに2分の3の指定が抜けているミスプリントの楽譜が存在して、4分の4拍子の3拍目に大太鼓が入ってしまっている(つまり大太鼓が半拍遅れている)。

私はEMI盤のこのミスが許せないため、多少の細かいミスがあることを承知でALTUS盤を支持するレビューをHMVのサイトに書き込んだところ、「EMI盤の大太鼓はミスではない。意図的だ。」などと主張する反論が複数あったのには大変驚いた。私もチェリの信奉者を自負しているが、ライブ演奏でミスがあるのは仕方ないことだ。チェリの演奏ならどれも素晴らしいという類の盲目的な姿勢は鑑賞者として相応しくない。

過去にクリュイタンスのベートーベンが音質を悪くしてフルトヴェングラーの演奏として流通したり、チェルニー=ステファニスカのショパンがリパッティの演奏として出回ったことがあったが、熱狂的なファンの盲目的な姿勢がこういう事態を助長するのではないだろうか。

私は本当は「あばたもエクボなのですか?」と書きたいところだったが、そういう熱狂的な人は下手に刺激をすると何を書き出すか分からない。何種類もの楽譜を見て確認した上でこのミスが楽譜のミスプリントであることを説得するのに私がいかに苦労したかは下記のページを見てもらうと分かるだろう。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/userreview/2546419/

もちろんここに書き込んでいる全員がそういう人たちばかりだった訳ではなく、1986年の公演で大太鼓を叩いたのは日本人のエキストラだったというような有益な情報を寄せてくれる人もいた。ネットの面白いところだ。そういえばカラヤンの1979年の来日公演もサクソフォンは武藤賢一郎氏が吹いていたはずだ。

この一件は演奏家も間違うし、楽譜にも誤りがあるということを私に強く実感させた。最終的に頼りになったのはEulenburg版(1994)とBoosey&Hawkes版(2002)の2つのクリティカルエディションだ。それ以降は複数の楽譜を見比べてから購入する傾向がますます強くなった。

閉じる コメント(6)

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この大太鼓の扱いについてはオデュッセウスも不思議に思っていました。というのは、チェリビダッケ/ミュンヘンフィルが1986年にベルリンで演奏した録音を聴いたことがあるのですが、EMI盤のようなずれ方ではなかったからです。
ただ、何となくミスではなくチェリビダッケの解釈である、という説を信じていました。まさか楽譜の相違であるとは微塵も思いませんでした。
やはり楽譜をしっかり見るというのは大事ですね。たかさんの執念に脱帽です。

2008/1/24(木) 午後 8:32 [ オデュッセウス ]

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間違ったパート譜が流通するというのは最悪ですね。チェリのEMI盤以外にも間違った演奏が出回っていて困ったものです......

2008/1/24(木) 午後 11:41 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

私も以前から大太鼓がずれる演奏があることが気になっていました。テンポが決まりにくい箇所なので、打楽器奏者が待ちきれなくて裏打ちになったり、遅れたりしているのかと思っていました。楽譜に違いがあるとは思いませんでした。

2008/1/25(金) 午後 11:32 JinK

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HMVのレビューには「些細なこと」見たいに書いている人もいましたが、ここはかなり気になりますよね。でもどう振るかも確かに問題になる場所で、クリュイタンスは3つ振り→2つ振り→3つぶり→2つ振りと明らかに振り分けています。私はこれで良いと思うのですが、チェリは2つ振りのまま通したようで(つまりティンパニと大太鼓は拍の途中で入ることになる)打楽器が入りにくかったのは間違いないようです。

2008/1/26(土) 午前 0:18 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

HMVのレビューを読みましたが、演奏に対する期待レベルの異なる人の間での書き込みの難しさを感じました。

2008/1/27(日) 午後 9:31 JinK

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いくつのもハンドルネームを使って無責任な書き込みを複数書き込む人がいるみたいですね。まあ仕方のないことです。そういう場所に書き込むよりも自分のブログにちゃんとメッセージをまとめた方が良いと思いました。

2008/1/27(日) 午後 9:57 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]


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