こだわりクラシック Since 2007

12月までに移行します。コメントも手作業でコピーする予定です。

チェロ

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チェロ:フルニエ
ピアノ:バックハウス
1955年録音
下記サイトに試聴あり
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1890673

2チャンネルあるいはそれ以上のマルチトラックの録音機が普及し始めたのは50年代半ばからだが、マルチマイクの録音はモノラル時代から行われてきた。メインマイクから離れた楽器の音を明瞭にとる、あるいは離れた楽器の音が到達する時間差が生じるのを防ぐのが狙いだ。

特にデッカはマルチマイクの採用にSP時代から熱心だった。DGやEMIのような歴史やブランド力がない新興レーベルだったデッカにとって「音が良い」ということはマーケティング上の絶対条件だった。1948年にフルトヴェングラー指揮するVPOとブラームスの第2交響曲を録音した際は指揮者が1本のメインマイク以外のマイクの撤去を命じたと伝えられる。(それにも関わらずこの録音はフルトヴェングラーのSP録音としては良い音だという噂だが筆者未聴)

このフルトヴェングラーの録音をプロデュースしたのはヴィクター・オロフであり、彼もSP時代からマルチマイク使いだったことが分かる。しかしマルチマイクの難しいところは、録音に問題が発生した場合にどのマイクが原因なのか分かりにくくなるという点にある。しかもマイクの数が非常に多くなってくると1本1本に問題がなくてもマイクが拾った音同士が干渉して歪みが発生する場合がある。

60年代以降のようにマルチトラックのレコーダーが使用できればバランスを後から変更したり、歪んだトラックは使わずに2チャンネルにトラックダウンすることが可能になる。しかしモノラル時代、あるいはステレオ初期はテープに録音した時点で最終形になってしまうので、どのようにマイクをセットしてどのようにミキシングするかは大変に経験と勘に依存する作業だったであろう。

実際カルショーが1959年に録音した有名なカラヤンのアイーダの録音は歪んでいる。リマスター盤でも余り変わらなかったのでマスターテープが歪んでいるのだろうと思っていたら、カルショーの手記でもその件が触れられていた。スケジュールを変更して2幕をもう一度録り直したが直らなかったそうだ。カルショーはどのマイクが問題を起こしているのか特定できなかったのだ。

私が思うにカルショーはマイクを使いすぎ、マイクに頼り過ぎだと思う。60年代からクラシックの収録にもマルチトラックのレコーダーが使われ初め、後からバランスを変更できるようになったことは彼のような録り方をする人にとって大変な朗報であっただろう。

明らかにマルチマイクを使った録音であってもオロフの場合はカルショーのような人工的な感じはしない。私はこれはオロフ自身が音楽家だったためではないかと推測している。オロフのバイオグラフィーを探したところは1898年生まれだそうで、指揮とピアノとヴァイオリンをしたそうだ。デッカにはロッシーニのセビリアの理髪師序曲や、カンポーリの伴奏をオロフが指揮したパガニーニの協奏曲の録音もあるようだ。

オロフのバイオグラフィー
http://www.answers.com/topic/victor-olof?cat=entertainment

私がヴィクター・オロフの名前を最初に意識したのがこのフルニエのブラームスである(私が持っているのは1990年に出た輸入盤)。モノラル録音だということは知って買ったので音質には余り期待していなかったのだが、ありがちなモノラル録音のように音が寸詰まった感じがしない。1955年なのでモノラル最後期とは言えこんなに上手に録れるものかとびっくりした。

フルニエのチェロも素晴らしい。私はロストロのようにゴリゴリ弾くよりはこのぐらいの優雅さをもって弾く方が好きだ。古い録音だからと敬遠せずにぜひ聴いてほしい名盤だ。

閉じる コメント(12)

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今晩は、最近は精力的に記事をアップされてますね!!
素晴らしいですね。

このCDは往年の二人の名手による名盤でしたね。フルニエにはステレオ録音もありますが、こちらの旧盤もまた見事な演奏でした。

2008/3/31(月) 午後 11:21 [ maskball2002 ]

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なぜか書きたいことが次々にあるのです。
単なる現実逃避かもしれませんが(笑)

フルニエも良いですが50年代のバックハウスもまた素敵ですね。私は60年代のバックハウスは苦手なのですが、これは良いと思います。

2008/3/31(月) 午後 11:45 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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ネタが増えるのは良い事です。
どんどん書いてください。

2008/4/1(火) 午前 4:24 [ 菅野 ]

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↑のは広告ですね。

僕は甘ったるいロマンチックなケンプよりもバックハウスのような更迭のような音楽が好きですね。

2008/5/3(土) 午前 3:07 [ 菅野 ]

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はじめまして。
マルチトラックレコーダーについてですが、デッカは基本的に2トラック収録が基本であり、マルチトラックは単にバックアップです。ですので、それで「バランスを変更できるようになった」ということはないはずです。

2009/1/2(金) 午後 8:37 [ orsonwells ]

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orsonwellsさんはじめまして。
デッカはマルチトラックはマスターに使っていないのですか。
DGやソニーやRCAとは異なるということですね。初めて知りました。勉強になります。ありがとうございました。

その割にはリマスター盤でバランスが変わっているような気もしなくはないのですが、マルチトラックのバックアップからリマスターするということは考えられますでしょうか?

たか

2009/1/2(金) 午後 9:33 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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まったくおっしゃるとおり、マルチトラックの使い方でデッカはマルチトラックからミックスダウンしてステレオマスターを作っていたDGやソニー(最大48トラックレコーダーを使用)とは別の道を歩んでいました。しかも、バックアップのためのマルチトラックといっても4トラックです。リマスターでバランスが変わっているとすれば、その原因はミキシングではなく、イコライズやフィルタリングに求める方が適当と思われます。
また、オロフについてですが、オロフの録音が比較的人工的ではなく聞こえるとしたら、その原因は彼がデッカを去った時期にあると思われます。オロフのデッカ時代にはコンソールのマイクインプットの数がたしか6つしかなかったはずです。

2009/1/2(金) 午後 11:15 [ orsonwells ]

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補足です。DGやソニーがマルチからトラックダウンしてマスターを作るようになったのは、70年代のことです。60年代の中盤まではDGもソニーも、2トラックまたは3トラックが基本だったと思われます。
ただ、デッカは最後まで2トラック収録が基本でした。

2009/1/2(金) 午後 11:23 [ orsonwells ]

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なるほど。そうなのですか。70年頃に4チャンネルブームもあったのでこの頃のマスターはマルチトラックで当然かと思っていたのですが、そういえばデッカって4チャンネルをやっていなかったような気がします。
DGやフィリップスの70年頃の音源がいくつかSACDマルチでリマスターされていますが、デッカの音源はそういう喜びは期待できないということですね。

オロフの頃のコンソールはトランジスタでなく真空管ですよね。

2009/1/2(金) 午後 11:28 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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そうですね。60年代のマスターはせいぜい3トラックですね。

2009/1/2(金) 午後 11:29 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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デッカが4チャンネル録音を制作したことは間違いなくありますが、数は僅かで、資料によれば市販はなかったそうです。

2009/1/3(土) 午後 5:06 [ orsonwells ]

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「フェイズ4」という紛らわしい名前の録音方式をやっていましたが、これは4チャンネルではありませんでしたね。そういえばデッカはSACDマルチチャンネルもほとんどないですね。ステレオはあくまで2チャンネルというのがポリシーなのかもしれません。

2009/1/3(土) 午後 5:12 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]


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