こだわりクラシック Since 2007

12月までに移行します。コメントも手作業でコピーする予定です。

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・ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲
 トリスタン:ルネ・コロ(テノール)
 マルケ王:マッティ・サルミネン(バス)
 イゾルデ:ヨハンナ・マイアー(ソプラノ)
 クルヴェナール:ヘルマン・ベヒト(バリトン)
 メロート:ローベルト・シュンク(テノール)
 ブランゲーネ:ハンナ・シュヴァルツ(メゾ・ソプラノ)、他
 バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
 ダニエル・バレンボイム(指揮)
 演出・舞台装置・衣装:ジャン=ピエール・ポネル
 映像監督:ブライアン・ラージ
 収録:1983年、バイロイト祝祭劇場
http://www.youtube.com/results?search_query=tristan+1983+bayreuth&search_type=&aq=f

バレンボイムのスカラ座でのトリスタンがクラシカジャパンで放送されていたが、やはりトリスタンの映像はこれにつきる。1981年にバレンボイムとポネルがバイロイトに初登場した際のプロダクションだ。当初83年までの3年間の予定だったが好評につき86年と87年にも主演をホフマンに変えて再演された。ポネルは88年に亡くなりバイロイトでの演出はこれが最初で最後になった。
http://www.1876.net/wagner/document/bayreuth3.html

ポネルの演出作品については下記サイトが詳しい。
http://www.ne.jp/asahi/sayuri/home/music/ponnellemozart.htm

81年の頃はちょうど私がオペラを聴き始めて年末のバイロイトのFM放送をエアチェックし始めた時期だ。このような優れた演奏に初めから接することができたのはとても幸運だ。もちろん初めは良く分からなかったが、この映像が86年頃に地上波で放送されたころにはだいぶ理解できるようになっていた。

とにかくコロの輝かしいトリスタンが素晴らしい。コロは80年のチューリヒがトリスタンの初役で、この年にはクライバーのトリスタンの録音にも参加しているが、83年のこの映像ではこの役を完全にものにし切ってさらに力強い。コロが実際にバイロイトでトリスタンを歌ったのは81年〜82年の2年間だけで83年の夏はミュンヘンでリエンツィを歌ったためバイロイトの舞台では歌っていない(舞台ではヴェンコフが歌った)。この映像は上演とは別の機会(下記サイトによれば83年10月)に収録されたものだ。録音の少なかったヨハンナ・マイアーのイゾルデも素晴らしい。86年のウイーン国立歌劇場の来日を聞けなくて残念だ。サルミネンのマルケとシュヴァルツのブランゲーネも適役でベストメンバーの映像が残されて本当に良かった。
http://www.wagneropera.net/RW-Performers/Rene-Kollo.htm

ポネルの演出もロマンティックでありながら奇をてらうことなく爽やかで違和感がない。ポネルは81年の初演時にゲネプロの段階になって3幕でトリスタンがイゾルデと会わない(イゾルデはトリスタンの幻覚だった)という解釈に変更しようと考えたそうだが、舞台ではこのアイディアを十分に実現できなかったそうだ。コロとポネルとバレンボイムがとても良い共同作業をしていたことも含めてこの経緯がエウリディーチェさんのHPに詳しく書いてある。
http://www.geocities.jp/euridiceneedsahero/k169.html

この映像では最後にイゾルデが消えてトリスタンが残され、全てはトリスタンの幻覚だったのだというエンディングになっている。この映像が放送されたときには解釈の変更かと話題になったが、事実は逆でポネルはもともとそういう演出意図を持っていたが舞台でできなかったことを映像版でやっと実現できたのだ。まだこの映像を見ていない方はユーチューブで確認してほしい。
http://www.youtube.com/watch?v=sUVaJrLDF7A

バレンボイムはトリスタンが好きなようで90年代にCDにも録音しておりバイロイトのミュラー演出も最近DVD化されていたので都合4種類の演奏が存在する。バレンボイムの指揮はだんだんあっさりしてきてうねりが感じられなくなってしまったように思う。
(1995年のバイロイトのトリスタン)
http://www.youtube.com/results?search_query=muller+tristan+1995&search_type=&aq=f
(2007年のスカラ座でのトリスタン)
http://www.youtube.com/results?search_query=tristan+scala+2007&search_type=&aq=f

下記サイトでは8人のイゾルデの聞き比べができる。
http://www.wagneropera.net/Themes/Liebestod.htm

(追記)
プレミエは81年だったので修正した。バイロイトは少なくとも3年は同一プロダクションを上演するので83年までの上演が当初から予定されていたことになる。つまり83年のミュンヘンでのリエンツィはかなり早い段階で契約が入っていたことになる。あるいは83年のトリスタンをキャンセルしてミュンヘンのリエンツィを選んだのかも? この後コロは85年のタンホイザーをキャンセルし、その後バイロイトには戻らなかった。この83年10月の映像収録台がバイロイトの舞台に立った最後の機会になってしまった。

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このDVDは私も鑑賞しました。しかしバレンボイムの最近の円熟ぶりは素晴らしいものがありますね。若い頃は多くの好ましくない評価も受けていましたが、それらを完全に凌駕して大指揮者の一人として成長しました。この演奏などは彼のワーグナーの作品の中でも最も成功したものの一つでしょう。コロとマイアーの歌唱についても申し分がありませんね!!

ポネルの演出も堅牢な舞台の構成と美術と合間って、壺を心得た心憎いもの!ところでこの「トリスタンとイゾルデ」の第2幕の舞台構成は歌舞伎の「藤娘」そのままのもの!おそらくポネルは歌舞伎をも参照したのでしょうね。
サバタ、ボダンツキー、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、カラヤン、ベーム、バーンスタイン、クライバー、ティーレマンと名盤には事欠かないこの作品ですが、その中でも一際輝く名演奏でしたね。

尚、「藤娘」はブログでも採り上げています。http://blogs.yahoo.co.jp/maskball2002/53995970.htmlもしお時間がありましたら、訪問してみて下さいね。

2009/12/31(木) 午後 4:41 [ maskball2002 ]

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なるほど。歌舞伎ですか。ポネルはカルミナ・ブラーナでもちょっと変わった作品を作っていますしこのトリスタンもちょっと宗教的なものを感じたのですが歌舞伎の影響もあるかもしれませんね。もっともっと活躍してほしかったですね。

私はメードルのイゾルデが好きですし、オケだけならクライバーが最高だと思いますが、映像だとこの作品で決まりでしょう。

2009/12/31(木) 午後 7:18 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

これ見ましたが、コロは素晴らしいんですが
マイアーが不満で残念な印象がありますね
このエンディング、
自分的にはあまりにも無惨な気がするのですが。。。

2010/1/1(金) 午後 8:44 konta♪

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kontaさんこんばんは
私はこのイゾルデはイゾルデ歌いで有名なもう一人のマイヤーよりもいいと思います。初めて聞いたのがこの演奏ということもあると思いますが。
エンディングの解釈は評価は確かに分かれるかもしれません。舞台ではできない表現なのでまあこれはこれでありかなと思っています。

2010/1/1(金) 午後 10:08 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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このポネル演出は81年プレミエだと思います。
ヴォルフガングはバレンボイムと契約後、最初シェローに声を掛けたが断られ、バレンボイムの希望でポネルに話が行ったそうです。
シェローはブーレーズ指揮で91年にバイロイトで「トリスタン」をやるというニュースが流れたこともあり、私も息を呑みましたが、結局実現せず、93年のバレンボイムとミュラーのプロダクションになりましたね。
このポネルのプロダクション、2幕を初め美術と照明は美しいけど、やはり彼は演出家であるより舞台美術家であることを痛感させられます。当時から『「ペレアス」に移し変えられた「トリスタン」』などと言われ、ペレアスはトリスタンの直接の落とし子でもあるし、そうした逆照射には必然性と新鮮味があるけれど、意地の悪い批評になると「『トリスタン』というより『ヘンゼルとグレーテル』」なんてのもあった。ポネルに情念の崖っぷちみたいな情感を求めるのはまあお門違いでしょうけどね。

2010/1/10(日) 午前 11:17 [ 助六 ]

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ポネルは彼の助手を務めていたジョエル現パリ・オペラ座監督によると、練習にはヴォーカル・スコアどころかオケ・スコア持参で出てきたそうで、確かに音楽から出発する演出ではありましたね。
彼が多忙だった80年代、私がパリで見た「トラヴィアータ」や「魔笛」の「新」演出ではやっつけ仕事臭を拭えず、実際助手を派遣して自分は初日間近にしか来ないなんて言われてました。「トラヴィアータ」に至っては様子を見て自分の名前を外し助手に押し付けてしまった。
ちょっと意外ですが、ポネルはヴァーグナーの演出経験は結構あって、美術だけでなく初めて演出も手掛けたのが62年デュッセルドルフの「トリスタン」だったそう。75年にマルセイユで「ラインの黄金」、77年にシュトゥットガルトで何とヴァルヴィーゾ指揮「指環」全曲の演出さえ行っているそうです。82年にはケルンで「パルジファル」の演出も出し(W・マイヤー)、87年にはトゥールーズでもプラッソン指揮で「パルジファル」をやってました。

2010/1/10(日) 午前 11:18 [ 助六 ]

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私はバレンボイムは昔からあの粘りこさの故に苦手ですが、彼の「トリスタン」には80年代終わりにパリ管で演奏会形式で2幕(ベーレンス)、93年バイロイト(バイロイトに行ったのはこの時一度切り)、07年スカラで上演に接しました。追っかけてるわけでもないのにこれだけぶつかってしまうんですから、バレンボイムは質量共にこの30年間の代表的トリスタン指揮者であリ続けているということですね。彼の基本的スタイルに変化を感じたことはありませんが、07年スカラではかつての音響的「うねり」を超えて、彫りの深い「分節」に接近した感があり、苦手な私も「譫妄の場」には感心しました。
ヨハンナ・マイヤーもバレンボイムが連れてきて80年代終わりにパリ管の演奏会形式で「ヴァルキューレ」3幕のブリュンヒルデを聴いたことがありますが、かなり平板・単色で隣でジークリンデ歌ってたヴァラディの素晴らしさが余計に際立ってしまった感じ。

2010/1/10(日) 午前 11:20 [ 助六 ]

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ヴァルトラウト・マイヤーは16年間で10回のイゾルデにぶつかりましたが、彼女はとにかく若いときから声楽的にも出来不出来が多く、ダメな時は音も下がり金属的になる。93年の役デビューは声楽的にも表現面でももう一つ物足りなかったんですが、00年、04年は声楽的にも絶好調、ディクションとエモーションで長く耳に残る名唱を聞かせてくれました。08年以降はイゾルデを歌える声はほぼなくなったけど、言葉の意味を一つ一つ浮き上がらせていくような表現の彫りでは現在でも右に出る人がいるとは思えません。
言葉へ優れた感性を示すそうした彼女が、リートでは今もまるで物足りないのが、歌の面白いとこかも知れませんね。

2010/1/10(日) 午前 11:21 [ 助六 ]

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そうですね。81年プレミエだったようですね。そうすると83年のリエンツィの契約がかなり早くから決まっていたか、あるいはリエンツィに出ることになったために83年のバイロイトをキャンセルしたか、どちらかになりそうですね。
舞台を見ていない私が言うのも難ですがこの演出は結構映像向きだったような感じがします。ゲッツ・フリードリヒのローエングリンなどと比べてブライアン・ラージのクローズアップ主体の映像に収まりやすい舞台のような気がします。
ポネルのワーグナー演出は結構あったのですね。パルジファルは見てみたかったものです。プラッソンのワーグナーというのもちょっと意外ですね。

2010/1/10(日) 午後 11:24 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]


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