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妖精ヴィッリ
プラシド・ドミンゴ
ティト・ゴッビ
レナータ・スコット
レオ・ヌッチ、他
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1979年、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール(ステレオ)
蝶々夫人
レナータ・スコット
プラシド・ドミンゴ
ジリアン・ナイト
イングヴァール・ヴィクセル
フロリンド・アンドレオッリ、他
フィルハーモニア管弦楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1978年、ロンドン、オール・セインツ教会(ステレオ)
外套
レナータ・スコット
プラシド・ドミンゴ
イングヴァール・ヴィクセル
ジリアン・ナイト
フィルハーモニア管弦楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1977年、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール(ステレオ)
これはソニーBMGがちょっと前に出したプッチーニの全集だ。外套を含む3部作は当初87年のパターネのRCA盤の収録が予告されていたが実際は77年のソニー盤が採用された。ボエーム、トスカ、つばめ、トゥーランドットはRCA原盤でそれ以外はソニー原盤だ。マゼールは70年代から90年代にかけてソニーに継続的にプッチーニを録音し、この全集では10作品中5作品をマゼールが指揮している。
そうであれば、つばめとトゥーランドットもマゼールの81年と83年の録音を採用した方がまとまりが良かったと思うが、とにもかくにもマイナーな作品も含めて全集化された意義は大きいと思う。エドガールやつばめには他の録音もあるがこの妖精ヴィッリの録音は極めて珍しくデッカの類似の全集にもこの音源を貸し出しているくらいだ。メジャーレーベルの録音としては他には72年のウイーンフォルクスオパーのRCA盤があるくらいだろう。
また、エドガールとつばめとトゥーランドット以外の主役をすべてドミンゴが歌っているのもこの全集の価値を高めている。ドミンゴは70年代以降声が力強くなるのと合わせてドン・カルロやラダメス、リッカルド、オテロなどのヴェルディの諸役をレパートリーに入れたが、デビュー当時に評価を得たのは実はプッチーニだったということをこの全集は再確認させてくれる。カヴァラドッシや外套のルイージは60年代からの得意役だしピンカートンは舞台ではそれほど歌わなかったはずだが意外に合っている。
マゼールの指揮は例によってところどころ大げさで恣意的だが耳が慣れてくると意外にしっくりくる。結構良いと思う。スコットの少し鋭くてやや神経質な歌は以前はちょっとだけ敬遠していたのだが、こうして聞き直してみるとなるほど確かに一大プリマドンナだったことを再確認させられる。マゼールのシャープな方向性とも合っているようだ。
妖精ヴィッリのアンナはこの役にしては少々熟女過ぎないかという気もしなくもないが(笑)、プッチーニらしい作品の貴重な録音だ。ただし筋書きはあまり面白くないと思う。蝶々婦人と三部作はフレーニやテバルディを表の名盤とすればこれはさしずめ裏名盤と言って良いのではないだろうか? ただミケーレのヴィクセルはスカラ座のビデオのカプッチルリの名唱には及ばない。
この時期のスコットとドミンゴは以前紹介したEMIのトスカで優れた演奏をレヴァインと聞かせているが、他にもオテロ、アドリアナ、シェニエ、カヴァレリアといった主要な作品をやはりレヴァインとソニーとRCAに録音しているのでチェックしてみる必要がありそうだ。
(追記)
70年代〜80年代のスコットはメットでプッチーニとヴェルディを非常によく取り上げており蝶々婦人と三部作も何度も歌っている。77年の舞台の写真を下記ページで見ることができる。ピンカートンはアラガルでパターネの指揮だったようだ。モノクロなので細かいことは分からないがそれほど違和感のない演出だなと思ったらアオヤマヨシコという日本人の演出家による舞台で驚いた。70年代はカラヤンの映画のように変な演出の蝶々夫人がまだ多かった頃だ。
http://archives.metoperafamily.org/Imgs/ONMadamaButterfly1977.jpg
スコットは65年のメットデビューも蝶々婦人であり、現時点までの最後のメット出演も87年の蝶々婦人だ。当たり役だったようだ。フレーニやカラスのように録音でしか蝶々婦人を歌わなかった歌手も多いが、スコットがこのように蝶々婦人を数多く歌ったのは素晴らしいことだと思う。
妖精ヴィッリあらすじ(HMVサイトより)
第1幕 森の広場
グリエルモの家の前で、村人たちがグリエルモの娘アンナと許婚ロベルトの婚約を祝っています。ロベルトはこの婚約式を終えると伯母の遺産を受け取りにマインツヘ旅立つことになっており、式が終わると、彼に花束を渡すためアンナが現れ、彼に同行できる花束を羨みます。ロベルトは別れを悲しむアンナをやさしく慰めますが、彼女は今朝ロベルトの帰りを待つのに疲れ、死んでしまった夢を見たことを告白します。
晩課の鐘が鳴ると、村人がロベルトの旅立ちを見送るために集まってきます。グリエルモは、ひざまずいたアンナとロベルトの頭に手を置き、旅の安全と二人の愛の加護を祈り、村人もこれにならいます。そして、ロベルトはみんなに見送られ、マインツへ出発します。
マインツに着いたロベルトは、妖婦に誘惑されてアンナのことを忘れ、そしてアンナはロベルトの帰りを待つのに疲れ、死んでしまいます。ドイツの暗い森には、愛する娘を裏切ると森の妖精、ヴィッリたちに復讐されるという伝説あり、その復讐とは男を踊りの輪に引き込み、踊り狂わせて殺してしまうというものです。ロベルトは妖婦に捨てられると、故郷への帰途につきますが、森では妖精ヴィッリたちがロベルトを待ち構えていました。
第2幕 森の広場
一人残された父グリエルモが現れ、ロベルトに裏切られ、失意のうちに死んだ娘アンナを思って、もしヴィッリの伝説が本当なら、娘の恨みも晴らされように、と言って家に入ります。
やがてロベルトが登場し、アンナを裏切ったことを後悔し、幸せだった頃に戻りたいと願います。
ロベルトはアンナの家の扉を叩こうとしますが、手が動きません。そこに妖精ヴィッリたちの声が聞こえ、ロベルトは神に許しを乞います。ですが、妖精ヴィッリたちはロベルトに「歩け歩け」と声をかけます。その時、アンナの亡霊が現れ、ロベルトへの恨みを歌いながら彼を呼びます。ロベルトがアンナに駆け寄ると、妖精ヴィッリたちに取り囲まれ、踊りの中に引き込まれてしまいます。ロベルトは踊り疲れ果て、アンナに許しを乞いながら死んでしまいます。
ロベルトの死体だけが残ると、どこかに消えた妖精ヴィッリたちの勝利の叫びが聞こえるのでした。
あらすじは下記サイトも参照されたい。
http://homepage2.nifty.com/aine/opera/opera49.htm
http://www.music-tel.com/ez2/o/work/le_Villi/index.html
このセットには他にも下記の演奏が収められている。・
エドガール
カルロ・ベルゴンツィ
レナータ・スコット
グウェンドリン・キルブルー
ビセンテ・サルディネロ、他
ニューヨーク・シティ・オペラ管弦楽団&合唱団
イヴ・ケラー(指揮)
録音:1977年、カーネギー・ホール(ステレオ)
マノン・レスコー
ニーナ・ラウティオ
ジーノ・キリコ
ペーター・ドヴォルスキー
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1992年、ミラノ・スカラ座(デジタル)
ラ・ボエーム
モンセラート・カバリエ(S:ミミ)
プラシド・ドミンゴ(T:ロドルフォ)
ジュディス・ブレゲン(S:ムゼッタ)
シェリル・ミルンズ(Br:マルチェッロ)
ルッジェーロ・ライモンディ(B:コルリーネ)、他
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ゲオルク・ショルティ(指揮)
録音:1973年、ロンドン、ウォルサムストウ・タウン・ホール(ステレオ)
トスカ
レオンタイン・プライス(S:トスカ)
プラシド・ドミンゴ(T:カヴァラドッシ)
シェリル・ミルンズ(Br:スカルピア)
ポール・プリシュカ(B:堂守)、他
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
ズービン・メータ(指揮)
録音:1972年、ロンドン、ウォルサムストウ・タウン・ホール(ステレオ)
西部の娘
マーラ・ザンピエーリ
プラシド・ドミンゴ
フアン・ポンス、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1991年、ミラノ、スカラ座(ライヴ、デジタル)
つばめ(ロンディーネ)
アンナ・モッフォ
ダニエーレ・バリオーニ
マリオ・セレーニ
ピエロ・デ・パルマ、他
RCAイタリア・オペラ管弦楽団&合唱団
フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ(指揮)
録音:1966年7月、ローマ、RCAイタリア・オペラ・スタジオ(ステレオ)
修道女アンジェリカ
レナータ・スコット
マリリン・ホーン
イレアナ・コトルバス
アンブロジアン・オペラ合唱団
フィルハーモニア管弦楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1976年、ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール(ステレオ)
ジャンニ・スキッキ
ティト・ゴッビ
イレアナ・コトルバス
プラシド・ドミンゴ
アンナ・ディ・スタジオ
ロンドン交響楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1976年 ロンドン、EMIスタジオ(ステレオ)
トゥーランドット
ジョヴァンナ・カゾッラ
セルゲイ・ラーリン
バルバラ・フリットーリ
セルジョ・スピーナ
ホセ・ファルディーリャ
カルロ・コンバーラ
ヴィットリオ・ヴィテッリ
アルド・ポッティオン
フランチェスコ・ピッコーリ
カルロ・アレマーノ
フィレンツェ5月祭管弦楽団&合唱団
ズービン・メータ(指揮)
録音:1998年9月、北京、紫禁城(ライヴ、デジタル)
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仏ではマゼールのイタリアものはコキ降ろすのがコンセンサスみたいですけど、私は彼のプッチーニは独創的な和声やオーケストレーションの細部が抉り出されるし、イタリアっぽいカンタービレのセンスだってまったく欠けてるわけではないので大好きです。
当時ソニーはマゼールでプッチーニ全曲を録音する計画だったんでしょうかね?ただプッチーニ好きそうな彼は「ボエーム」を振ったことはあるんでしょうか?DOB時代には振ってるかも知れませんが。
この「ヴィッリ」も昔FMで聞きましたが、実演に接したのはパリで演奏会形式で一度あるだけです。グイダリーニ指揮で仏放送フィル、ディーナー、マチャード、キャリア初期のテジエなんかが歌ってました。ディスクにもなったと思います。
2010/2/23(火) 午前 9:55 [ 助六 ]
そう言えば、スコットとかディーナーとか何でアンナ役にはボタっとしたソプラノが起用されるのかはやや不思議。1884年5月の初演歌手のカポネッティについてはよく分かりませんが、84年12月のトリノ上演でかなり手が加えられ2幕仕立てにされ、85年1月のスカラ上演でさらに少し手が加えられた最終ヴァージョンを歌ったパンタレオーニはその後デズデモーナを創唱し、エルザやレオノーラ、サントゥッツァなんかをレパートリーに持ってた人で、ベルカントは好まずヴェリズモ歌手の先駆とされた人ですから、スピントな声ではあったんでしょうが、この役はより瑞々しい声で聞きたい気がします。フレーニなんか良さそうですよね。
パリ上演はマチャード(当時02年は大変期待できるテノールに思えたんですが、今はどうしちゃったんだろう)も良く、グイダリーニも仏オケと思えぬ輝かしいカンタービレを引き出して大変楽しめました。個人的には「エドガール」より好きで、第一作オペラとしては異例に聞き応えのある作品と思ってます。
2010/2/23(火) 午前 9:56 [ 助六 ]
ただリズムの持続的躍動は魅力的だけど、旋律の飛翔が短い感があるのが、後のプッチーニを考えると奇妙で、ビゼー、グノーとか仏オペラ、さらに独オぺラの影を感じます。マスカーニとか同時代伊オペラの紹介に熱心だったマーラーがハンブルクで取上げてるのも、そういう意味で面白く思います。
私もキャリア末期のスコットの良さが分かるのには非常な時間が掛かりました。声の衰え故にまるで苦手だった彼女のデズデモーナも今は第1級のヴェルディ歌唱と思ってます。
2010/2/23(火) 午前 9:57 [ 助六 ]
デッカのトスカはかなり変わった演奏だと聞いたことがありますが、マゼールがボエーム振ったらどんな感じなんでしょうかね?怖いもの見たさという気もします(笑)
妖精ヴィッリは意外とドイツ系ですよね。ドイツ語歌唱の海賊盤もあるようです。曲は決してそんなに悪くないと思うのですが、はやらないのはやはりストーリーがつまらないということなのでしょうね。
60年代のイタリア歌劇団を生で聞いた一部の人を除けばスコットの人気はフレーニほど高くはなかったと思います。耳が成熟しないとよさが分からない大人の歌ということなのかもしれません。
2010/2/24(水) 午前 0:49 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]
たかさんへ メトの蝶々夫人の映像に関する説明で、演出はアオヤマヨシコでなく「青山圭男(あおやま よしお)」です。アドレスは載せられませんでしたが、WIKIで見られます。ご参考まで。
2013/3/26(火) 午後 7:41 [ TG ]