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ショパン:
・4つのバラード
・24の前奏曲 op.28
・前奏曲第25番ハ短調 op.45
エリック・ハイドシェック(ピアノ)
ステレオ録音:1972年、1976年(バラード)
ハイドシェックのショパンは以前取り上げた1999年のアルバムしかないのかと思っていたが、70年代にフランスのカシオペというマイナーレーベルに前奏曲集とバラードの2枚のLPを録音していて近年になって1枚のCDにまとめられた(DDD表記は誤り)。
昨日50年代のルービンシュタインの端正で、ある意味孤独なショパンを聞いた耳には余りにも自由でロマンティックな演奏で、思わず私も「おっとっと」と思ってしまう。これはほろ酔い気分なのか、あるいは船酔いなのか微妙ととらえる向きもきっとあるだろう(笑)。口の悪い人は能天気と言うかもしれない。ペダリングがやや過剰なのも表現をややオーバーにしているかもしれない。
それでも私はこの演奏が好きだ。楽譜からこれだけのインスピレーションを得てイマジネーションを発散できるのは素晴らしいことではないだろうか。動物が「過去」や「未来」という概念を持っているのかどうか良く知らないが(動物は「現在」という概念しか持たないという学者もいるそうだ)、人間は夢を見るからこそ未来に向かって立ち向かっていけるのではないだろうか。
などと40になっても夢見がちな私は青臭いことを言ってしまうのだが(笑)、でも未来に夢や希望が持ちにくくなった21世紀は新しい文化や芸術が育ちにくくなるのは間違いないと断言できる。音大の講師にこういう演奏を聞かせたらきっとしかめっ面をするのだろう。だがしかし日本の音楽教育は技術的には大変優れているにも関わらずショパンコンクールの上位入賞者を長いこと出していない。音楽には技術も必要だが結局はハートなのだ。
ハイドシェックはなぜか日本ではモーツァルトやベートーベン弾きとして認識されているが、私はショパンやドビュッシーの方が合っていると思う。カシオペにはドビュッシーも何枚か録音しているのでこれからゆっくり聞いてみよう。音質は十分良好だ。
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