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12月までに移行します。コメントも手作業でコピーする予定です。

ショパン

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曲目の詳細は下記サイトを参照
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3944147

このセットはポーランド国立ショパン協会が制作を進めているプレイエルやエラールといった19世紀のピリオド楽器を用いたショパンの演奏を集めたものだ。ピリオド楽器によるショパンは最近ちょっとしたブームになっていて、日本でも仲道郁代さんなどが演奏しているのをお聞きになられた方も少なくないだろう。

バロック時代の作品でもそうだが、別に何が何でもピリオド楽器による演奏が素晴らしいというつもりはない。だが、当時の楽器でどのような響きがするのかを知ることは作曲家がどのような表現を意図していたかを知る上で必要なことだと思う。

例えば、ツィメルマンというピアニスト(私は決して嫌いではない)が、ベートーベンの悲愴ソナタの最初の和音を通常の倍ぐらい(私の記憶では7〜8秒ぐらい)保った超スローテンポで演奏してびっくりしたことがある。ベートーベンの時代のフォルテピアノはすぐに音が減衰してしまうのでこんなに長い時間音を保つことは不可能だ。ここはバックハウスのように3秒程度でサクッと先に進むのが作曲者の意図だったことは間違いないだろう。

ショパンの場合も、例えば自筆譜では3小節に渡ってペダルを踏み続ける指定になっている場所も少なくないそうだ。こういう箇所は後年にパデレフスキなどが校訂した際に「響きが濁る」などの理由でペダルを踏み替える指定に直してしまった。

確かに、現代の楽器は当時と比べてはるかに響きが長いため、3小節も踏み続けると確かに音が濁りやすくはなるのは事実だろう。だがそこは演奏者が作曲家の意図を考慮した上でペダリングの深さをうまく調節して演奏すべきであり、校訂者が勝手にペダリングを書き換えるべきではない。校訂者が参考として書き添えるのであればあくまで参考と分かるように表記するべきだ。

つまりピリオド楽器の演奏は楽譜自体の校訂とも深く結びついている訳だが、このショパンのセットの演奏の多くはエキエル校訂による最新の校訂版「ナショナル・エディション」に基づいているようだ。私は不勉強にしてナショナル・エディションを持っていないので正確に確認できないのだが、24の前奏曲の9番のリズム処理などが従来と異なる。(追記:2番のソナタの提示部のリピートは残念ながら従来通り5小節目からになっているのでこの曲はナショナルエディションではない)

ただここで誤解して頂きたくないのはピリオド楽器の演奏は楽譜通りに正確に演奏されるべきだと私が言っている訳ではないということだ。バロック時代の楽器はシンプルな音しか出ないが、当時は装飾音やアドリブを演奏家が自由につけていたので演奏は保守的で地味なものというよりはむしろ前衛的なものだったはずだ。

ショパンの作品も当時の演奏の制約や作曲家のオリジナルの意図を理解した上で演奏家が自分のイマジネーションを広げていくことが必要だ。コルトーは自由な演奏をする演奏家として知られているが、先日紹介した映像でプレイエルを弾くコルトーは音質が貧しいことを差し引いても予想をはるかに上回ってしっくりくる。

画一的な演奏が多くなってしまった現在、ピリオド楽器による演奏は演奏家が改めて原点に立ち返ってイマジネーションを広げる格好の機会になるに違いない。

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閉じる コメント(7)

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コルトーがプレイエルを弾いていたとは知りませんでした。ヴィデオを見るとプレイエルの店で偶々弾いてみたというのではなく、自宅に据えた楽器を弾いてる感じですから、興味を持って購入したんでしょうか。
現代ピアノでロマン派作品を弾く場合、ペダルを楽譜指定より短くしなければならない場面が出てくる一方、現代ピアノはダンパーが直裁で中域がピリオド楽器よりドライになりがちだから、ペダル指定がないところではそれをタッチ等で補なわなければならないという二重の困難が生じますね。ペダルを踏むことになってるとこでは抑制し、踏みたくなるところで踏めないわけですから、コルトーも家で時々プレイエル弾きたくなったのかも知れませんね。

2011/1/2(日) 午後 1:04 [ 助六 ]

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助六さんこんにちわ
今年もよろしくお願い致します。

コルトーのプレイエルの件は私も気になってちょっと調べてみたら、何とコルトーはショパンをプレイエルで弾くのが好きで、下記情報によると前奏曲集の録音はプレイエルだそうです。
http://d.hatena.ne.jp/mischa/20090814/1250258135

私はコルトーの前奏曲集を学生の頃に聞いて「しょぼい音だな」と思っていたのですが(爆)、ピリオド楽器の演奏だったとは思いもよりませんでした。不勉強を恥じると共に今度改めて耳の垢を落として聞いてみようと思いますが、できればジャケットの解説にも19世紀前半の楽器による演奏だということを明記しておいてほしかったところです。演奏か録音のせいでしょぼく聞こえるのかと勘違いしていました。
この映像は多分コルトー所有のプレイエルを自宅で弾いているのだと思います。コルトー先生の見識の高さに驚くとともに、古楽器趣味が弟子のフランソワやハイドシェックにはなぜ引き継がれなかったのかも聞いてみたいところです。

2011/1/2(日) 午後 3:01 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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仏における所謂「ピアノフォルテ(フォルテピアノ、ハンマーフリューゲル)」(1830年以前のピアノ)と旧型ピアノの復興の問題を扱った1999年の専門論文にもコルトーの例は挙げられていません。ただ論者が調査対象にしたのはレコード・ディスク録音だけですから、当該コルトー・ヴィデオを見逃した可能性も大です。いずれにしても最近ネットで流されるまで、コルトーが旧型ピアノを試した事実は専門研究者にも知られていなかったことなのかも知れません。
同論文によるとピアノフォルテの最初の録音は1936年に仏外で行われた例が最初で、事例が増えるのは50年代以降、チッコリーニが57年にピリオド楽器でショパンを弾いたパイオニア的録音があるそうですがご存知ですか?パリ国立音楽院がインマゼールを招いてピアノフォルテのクラスを開設したのが92年の由。
またプレイエルやエラールの旧型ピアノを使ったとされているショパンやリスト録音は、実際は1830年代の楽器ではなく、第2帝政期(1852−70)の楽器を使っているケースが多いそうです。

2011/1/5(水) 午前 8:07 [ 助六 ]

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プレイエル社が音域と音量の拡大を試み、金属フレームを採用したピアノを見本市に出品したのが1827年、音量強化に決定的役割を果たす交差弦を採用したのが1869年とのことです。しかしプレイエルのコンサート用ピアノが1927年に開場した約2000席のサル・プレイエルに響き渡る音量を獲得するのは1930年代のAL型からで、ルービンシュタインが回想録で1920年代にシャンゼリゼ劇場で彼に供されたプレイエルについて「響きは美しいが力強さに欠けていた」と言っているそうです。
エラールはさらに保守的で、交差弦の採用は1920年代初めとのこと。
コルトーの当該ヴィデオは、現代ピアノの響きでないことは明らかですが、1830年代の楽器ではなく、19世紀後半の楽器である可能性も大きいのではと思います。前奏曲集の録音はプレイエルのモダン・ピアノを使って行われたという意味ではないでしょうか。
プレイエル社はM&Aの曲折を経る中、現在に至るまで製造を続けています。

2011/1/5(水) 午前 8:08 [ 助六 ]

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プレイエルが19世紀後半や20世紀に作ったモデルがどのくらいモダンなものか分からないのですが、依然2ペダルだったとすればコルトーのプレイエルはその頃の楽器かもしれませんね。交差弦かどうかを映像で確認するのは少々難しいかもしれませんがスローモーションで見てみます(笑)
チッコリーニの1957年の録音というのも存じ上げません。探してみます。

2011/1/6(木) 午後 1:30 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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プレイエルのピアノ製作史を記した本を見てみましたら、1875、1907、1933、1953年のピアノ・モデルの図版が出てまして、グランド・ピアノ、セミグランドについては何と1953年モデルを含めすべて2ペダル、1953年のアップライトだけが3ペダルになってます。
ソステヌート・ペダルはスタインウェイが1874年に開発して特許を取ったものだそうですから、3ペダルが一般化したのは結構最近のことみたいですね。

2011/1/9(日) 午後 1:43 [ 助六 ]

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調査ありがとうございます。そうですか。グランドは全部2ペダルですか。コルトー所有のプレイエルがいつ頃のモデルか分からなくなりましたね。現在も2ペダルのグランドを製造しているということでしょうか? プレイエル復活がこれからあるのかどうか? 日本の販売代理店などがあるのかどうかも調べてみようと思います。

2011/1/9(日) 午後 8:33 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]


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