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この映像は先日のDGのCDからさかのぼること9年の1962年にRAIのために収録したものだ。ショパンはだいぶ以前に輸入ビデオで出た頃から持っていた映像だ。モノクロの画質はDVD化に際してリマスタリングしたようでそこそこ鮮明になった。音質はそれなりだが安定はしている。ドビュッシーの映像1集と2集、子供の領分は完全にCDとかぶっており、ショパンもかぶっている曲が多い。これがこの時期のミケランジェリの主要なプログラムだったことがうかがえる(だからDGは勝手にカプリングを変更してはいけないのだ)。
演奏スタイルもCDと大きくは違わないが、アンダンテスピアナートと華麗なポロネーズやバラードでは意外に遅目のテンポを採りより瞑想的な雰囲気が色濃いのが興味深かった。一方で、フォルテはより力強く、後年のストイックな演奏よりは全体にややドラマティックな印象を受ける。それから後年のミケランジェリはショパンのワルツはたまにしか弾かなかったが、ここでは3曲をまとめて弾いているのが珍しい。これも意外にテンポや音色が変化するロマンティックな表現になっているのが興味深い。
注目されるソフトペダルだが、足が映っている映像ばかりではなく、映っていても踏んでいるかどうかは微妙なので判別は容易ではない。しかし2番のソナタやバラードのフォルテなどで左足を明らかにペダルから外しているところも写っているので少なくとも踏みっぱなしでないことは間違いない。音色からみても「艶消し前」のミケランジェリと言って間違いないだろう。
カメラワークはシンプルで(HMVサイトの解説によると本人の希望だったそうだ)顔だけのアップなどは出てこない。切り替えも少なく落ち着いて見られる。好事家向けのアイテムかもしれないが、この時期のベストフォームのミケランジェリの映像がこうして残されたことは喜ばしいことだ。
録音嫌いだったミケランジェリだが、なぜかいくつかの映像を残している。この辺りは盟友のチェリビダッケとも似ている。どういう理由だったのか知りたいところだ。ジュリーニとのベートーベンのテレビ放送などまだDVD化されていない映像もまだまだあるはずだ。
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