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・モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』全曲
フィオルディリージ:リーザ・デラ・カーザ(S)
ドラベッラ:クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)
グリエルモ:エーリヒ・クンツ(Br)
フェランド:アントン・デルモータ(T)
デスピーナ:エミー・ローゼ(S)
ドン・アルフォンソ:パウル・シェフラー(Bs)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
録音:1955年
コジ・ファン・トゥッテはフィガロの結婚と並んでベームが生涯に渡って振り続けた作品だ。50年代、60年、70年代それぞれにレコード録音を残しており、毎年のように行われたザルツブルグ音楽祭での公演はFMで放送た。1969年に制作した素晴らしい映画も最近になってDVD化された。
この作品は「不道徳だ」とされて19世紀から戦前まではあまり上演されず(ワルターやフルトヴェングラーは演奏したことがあるのだろうか?)、現在このように頻繁に演奏されるようになったということ自体、ベームのおかげだと言っていいのではないだろうか。
3種類の録音のうち評論家の評価が最も高いのは1962年のEMI盤だが、私はシュヴァルツコプフの歌が少し重たいように思う。私が好きなのは1955年のデッカ盤だ。デラ・カーザとウイーンにデビューして間もないルートビッヒの姉妹がみずみずしい。有名なカラヤンのバラの騎士のオクタヴィアンの前年の録音だ。この頃のルートビッヒは後年のように暗い声ではなく、デラ・カーザの声とどこかしら同質性も感じられる。姉妹役なのだからそれもありだろう。男声3人もスケールこそ大きくはないが、ウィーン流のモーツァルトのスタイルにピタリと収まっていて気持ちがいい。
この録音は1956年のモーツァルトの生誕200年に向けて名プロデューサーだったヴィクター・オロフが企画・制作したもので、1954年の父クライバーのフィガロの結婚に続いて録音された。ステレオ最初期の録音だが音は決して悪くない。モダンオケの演奏としては1969年の映画と並んでこの作品のベストだ。コジでもフィガロでも決定的な演奏を残したベームは間違いなく20世紀最高のモーツァルト指揮者だったと言えるだろう。
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