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「展覧会の絵」,「惑星」特集

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 クリュイタンスの展覧会の絵が3種類(CD2枚、DVD1枚)私の手元にある。2つはパリのオーケストラ、1つはイタリアのオーケストラを指揮したものだ。時期が近いということもあってクリュイタンスの解釈や演奏時間に大きな違いはなく、オケの違いを聴き比べるのには丁度いい。

・ムソルグスキー / ラヴェル編:組曲『展覧会の絵』

CD クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
  1958年4月 パリ、モノラル
1:45/2:18/0:55/4:28/0:38/1:03/3:00/0:40/1:15/2:20/1:25/1:50/1:41/3:22/5:13

DVD クリュイタンス指揮フランス国立放送管弦楽団
  1960年8月13日 パリ、モノクロ・モノラル
1:42/2:10/0:55/4:21/0:31/1:05/2:58/0:34/1:18/2:32/1:24/1:51/1:34/3:19/4:55

CD クリュイタンス指揮RAIミラノ交響楽団
  1962年2月3日(ライヴ、ステレオ)
1:38/2:11/0:51/4:12/0:32/1:01/2:54/0:36/1:14/2:09/1:22/1:48/1:34/3:21/5:30

 パリ音楽院のCDとフランス国立放送の映像は当時のフレンチスタイル丸出しで、冒頭のトランペットの強いビブラートは現代では全く聴くことができなくなったものだ。あまりの濃さにびっくりして、もし私がこの指揮者に特別な思い入れを持っていなければ、パリ音楽院のCDはとっくに中古屋に売り飛ばしているところだった(笑)。

 しかしこれは今ではもう二度と聴けない音楽だということが(ほぼ)確定した現在、古き良き時代の記憶であるこのCDには愛着すら感じてしまう。50年代のポンタメルトまるだしのウィーンフィルを愛せる方はきっとこれも大丈夫だろう(笑)。パリとウィーンは田舎な都会という点で近いのだ。ラベルが「ビドロ」で指定したフレンチ・チューバ(C管のやや小型のチューバ)の哀愁を帯びた音色も聴きものだ。
http://www2.mackey.miyazaki.miyazaki.jp/MusicRoom/FrenchTuba/bydlo.html

 このフレンチ・チューバのパートは現在では大型のチューバとユーフォニアムの2台で分担して吹く(高音域のソロが続く「ビドロ」だけユーフォニアムで吹く)のが普通になってしまったそうだ(ビドロをB♭管のテナーチューバで吹いている演奏もあるらしい。シノーポリの録音ではチューバ奏者がF管チューバで吹いているらしいという情報もあるが筆者未聴)。オリジナルのフレンチ・チューバ1本で全曲を吹いているこの演奏は貴重だ。

 フランス国立放送の映像もほぼ同様の傾向だ。BSでも放送されたのでご覧になられた方も多いだろう。不鮮明なモノクロ映像なのでフレンチ式の楽器の特徴を画像で確認するのは難しいが、クリュイタンスのノーブルで優雅な棒は、機嫌が良い時のクライバーを何となく彷彿させるものがある。サックスはダニエル・デファイエだそうだ。正規発売されたクリュイタンスの映像はこのDVDと、同じフランス国立放送管とモスクワを訪問した際のDVDの2種類があるだけなので貴重だ。(後者はほとんど後姿しか映っていないそうなので、クリュイタンスの指揮ぶりをきちんと収めたDVDはこれ1枚のようだ。)

 それと比較してイタリアでのライブCDは音質としては最も良い条件であるにも関わらず、オケの音色の味わいという点ではパリ音楽院やフランス国立放送の比では全くない。これだと薄味に聞こえてしまって何だか物足りない。クリュイタンスのやや速めのテンポですっきりした解釈はパリの濃い音色のオケを想定したものだろう。なので、演奏としてはパリ音楽院の方が好きだが、そのことが確認できただけでもこのイタリアでのライブ盤を入手した甲斐があったと言えるだろう。このCDにはストラヴィンスキーの火の鳥も収められておりむしろそちらの方が印象に残る演奏だ。クリュイタンスは火の鳥の正規録音を残さなかっただけに録音状態の良いライブが残されたことはうれしい。

 なお、今回クリュイタンスの展覧会の絵を聴き直して発見したことがある。バーバヤーガから終局のキエフの大門に入るところは楽譜ではアタッカでつながっているが、クリュイタンスはアタッカを無視し ゲネラル・パウゼ(全休止)を入れてからキエフを演奏している。3つの演奏ともそうなっているので確信犯であり、恐らくキエフの大門のテーマがもう一度出てくる115小節の前には全休止が入っていることから類推解釈をしたものと思われる。

 実は以前の記事に書いたとおり、カラヤンもいずれの録音でも同じことをしている。レコード芸術の紙面で評論家が(名前を思い出せないが)、カラヤン盤のこの部分を「解せない」と批判していたが、クリュイタンスも同じことをやっている以上は、ここでゲネラル・パウゼを入れる伝統がどこかに存在したと考えるべきだろう。正統的なフランス芸術の継承者であるクリュイタンスがカラヤンのまねをするとは考えにくく、恐らく逆にカラヤンがどこかでクリュイタンスの演奏を聞いて真似たと考えるべきだろう。

 いずれもモノラルだが、クリュイタンスの展覧会の絵は他に1958年のパリ音楽院とのライブと、同じく1958年のケルン放送とのライブがあるようだ。火の鳥は1953年のケルンでのライブと1955年のウィーン響とのライブもあってライブでは結構演奏していたようだ。ケルンのオケにたびたび客演していることも初めて知った。ドイツでも人気は高かったのだろう。カラヤン時代のウィーン交響楽団に招かれていることからカラヤンとの関係との関係も良かったのではないかと推測される。

展覧会の絵 1958年ライブ パリ音楽院
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2756397

展覧会の絵 1958年ライブ ケルン放送
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3550153

火の鳥 1953年ライブ ケルン・ギュルツェニヒ管
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1368669

火の鳥 1955年ライブ ウイーン響
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2638472

(追記)
下記HPによるとフランス国立放送管の管楽器は1964年にクレツキが指揮した時点でかなり変わってしまっていたそうだ。私はクレツキの映像は確認していないし、この画質で見ても私は判断できないが、フレンチスタイルの管楽器の危機はこの時期からすでに始まっていたようだ。もっともクレツキの指示でたまたま持ち替えただけかもしれないし、マルティノンなどが振った時のこのオケはもう少し後までフレンチ式を使っていたはずだが。
http://www.numakyo.org/c_pic/17.html


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