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クリュイタンスが残した最高傑作として、やはりラヴェルを挙げないわけにはいかないだろう。このラヴェル全集は国内盤では4枚分売だが、輸入盤だとEMIの2枚組にテスタメントから出ているダフニスとクロエを合わせれば3枚で手に入る(国内外ともに「全集」としてまとめられていないのが大変不思議だ)。
・ボレロ
・ラ・ヴァルス
・スペイン奇想曲
・高雅にして感傷的なワルツ
・古風なメヌエット
・亡き王女のためのパヴァーヌ
・組曲『クープランの墓』
・『マ・メール・ロア』全曲
・道化師の朝の歌
・海原の小舟
・バレエ『ダフニスとクロエ』全曲
パリ音楽院管弦楽団 ルネ・デュクロ合唱団
アンドレ・クリュイタンス(指揮) 録音時期:1961、62年
録音場所:パリ、サル・ワグラム 録音方式:ステレオ(セッション)
録音したのは仏EMIのルネ・シャルランというプロデューサーで、日本での幻想交響曲と同様に古いフレンチスタイルの艶のある響きが際立っている。もちろん最新録音のようにはいかないが個々の楽器の音と全体のソノリティを良く捉えておりノイズも抑えられている。鑑賞には全く支障はない。ラヴェルが期待した響きはきっとこうに違いないと確信させる演奏だ。こういう音を出すオケがもうなくなってしまった以上、この演奏の価値は永遠に不滅だろう。「名曲名盤」の類をほとんど信用しない私も、この演奏が毎回ぶっちぎりの得票で首位を獲得しているのには大納得だ。
クリュイタンスの解釈自体は比較的すっきりしたもので、これがオケの濃い音色を前提としたものであろうということは展覧会の絵の場合と全く同様だが、明瞭なステレオ録音だけにその効果をはっきりと聴きとることができる。ボレロなどは最近では17〜18分ぐらいのこってりした演奏が普通になったが、この演奏は15分半ほどであり、これは戦前ラヴェルが生きていた時代の演奏に近いと思われる。
私が管楽器に詳しければもう少しいろいろなことが書けるのだろうが、ラヴェルが何管の管楽器を前提としてこれらの曲を書いたのかということをネットでちょっと調べただけでも、2チャンネルあたりで喧々諤々の議論がされているので、ここは不確かなことを書くのはやめてこのへんにしておこう。
クリュイタンスは先日紹介した幻想交響曲と同じ1964年の来日公演でラヴェルも演奏しており、モノラル録音で(そのうちの何曲かは最近ステレオで発見されたが幻想交響曲ほど良い音ではないらしい)残されたが、録音状態も含めてまず聞くべきはこのEMIの全集だろう。
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>ラヴェルが何管の管楽器を前提としてこれらの曲を書いたのか
1928年に米に招かれ米オケを巡演して自作を振ったラヴェルは、米オケを高く評価し、 楽員の出身国の多様さと演奏スタイルの混合をその理由と考えてますが、ニューヨーク・タイムズ紙に語った彼自身の言葉がありますので、メモしておきましょう。
「米オケの金管には仏オケにはない音色の深さと豊かさがある。楽器の性能が良いからだけではなく、奏者がドイツ系だからだ。他の国の奏者にはめったにない音の高貴さがある。
トランペットもコルネットで代用されていない。逆に米オケの木管は大半が仏系だ。木管は仏が世界一」。
2011/7/4(月) 午後 0:42 [ 助六 ]
まあ昔の作曲家はみんなそうしたものではありますが。
ラヴェルはドイツ系の金管を評価していたのですか。これは意外ですね。初演者クーセビツキーがボストン響を振ったSPをもう一度聞きなおしてみようと思います。
2011/7/5(火) 午後 9:32 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]