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12月までに移行します。コメントも手作業でコピーする予定です。

テンシュテット

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・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 OP.125『合唱つき』
 マリアンネ・へガンダー(S)
 アルフレーダ・ホジソン(A)
 ロバート・ティアー(T)
 グウィン・ハウエル(Bs)
 クラウス・テンシュテット(指)ロンドン・フィル& 同合唱団
 録音:1985年9月13日、ロイヤル・アルバートホール、ロンドン(ステレオ)
 16:04/10:58/16:51/23:54

 イーグレン(S)
 クイマン(A)
 ロルフ・ジョンソン(T)
 トムリンソン(B)
 クラウス・テンシュテット(指)ロンドン・フィル& 同合唱団(ブライトンフェスティバル合唱団?)
 録音:1991年8月31日、ロイヤル・アルバートホール、ロンドン(ライブ)
 16:35/10:22/16:21/25:29

 ルチア・ポップ(ソプラノ)
 アン・マレイ(メゾ・ソプラノ)
 アントニー・ロルフ・ジョンソン(テノール)
 ルネ・パーペ(バス)
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団&合唱団
 クラウス・テンシュテット(指揮)
 録音:1992年10月8日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(ライヴ)
 16:53/9:23/18:40/26:51

 テンシュテットは第九のスタジオ録音を残さなかったが、第九は得意なレパートリーだったようで、85年、91年、92年のライブが残されている。85年の録音はBBCから、92年の録音はLPOの自主レーベルから正規CD化されているほか、私は海賊盤の全集に収められている91年盤を持っている。一説によるとテンシュテットの第九は海賊盤でもう一種類あり合計4種類が現存するそうだ。

 私は85年盤と91年盤を聞いた。どちらも基本的な解釈は変わらないが、晩年の91年盤の方がはるかに充実した音楽だと思う。これが最後の演奏会かもしれないという晩年のテンシュテットの一期一会の気合がこもった熱っぽい演奏だ。こう書くとフルトヴェングラーや晩年のバーンスタインのような粘っこい演奏を思い浮かべる方もいるかも知れないが、そういう意味ではない。基本的にはインテンポなのだ。爆演を期待する向きには肩すかしだろう。やたらブレーキやアクセルをかけたりせずにインテンポで振っても音にこれだけの魂を込めることは可能なのだ。聴衆がすさまじく熱狂している様子もリアルに伝わってくる。

 テンシュテットはこの第九の翌年、1992年3月に来日してベートーベンの5番と6番を振るはずだった。私は1988年以来のテンシュテットの演奏会をとても楽しみに待っていたが、来日はしたもののドクターストップでメストが代役で振ることを当日知った。88年の英雄が素晴らしかっただけに、最晩年のテンシュテットが5番と6番を演奏したらどんなにすごい演奏になっただろう。チェリビダッケの6番と並んで一生忘れられないベートーベンになったに違いない。NHKはハイビジョンカメラを用意して待ちかまえていたので人類の至高の財産が記録されたはずだ。

 ちなみにだが、代役のメストの演奏は決して悪くなかった。この時の映像を最近NHKが再放送したのでそのことは改めて確認できたが、これが最後の来日になるだろうテンシュテットへの期待があまりにも大きかったので印象が霞んでしまったのだ。

 さて、85年盤の第九は正規版としては最初に出たテンシュテットの第九だった。BBCの録音だがマイクが遠くて音がぼやけていることもあって少し集中力散漫、淡々とした淡泊な演奏に聴こえる(後半に向けて盛り上がってきて第四楽章はかなり良いと思うが)。91年盤同じロイヤルアルバートホールでの演奏だが、85年盤よりは明瞭で鑑賞に支障はない。私が持っているのとは別レーベルの海賊盤(CD-R)を紹介した下記2サイトの情報によると91年盤の方は合唱がブライトンフェスティバル合唱団となっている。そのせいかどうか分からないが合唱のできは85年盤より良いように思う。
http://kna-club.com/archives/tennstedt/tennstedt032.html
http://fefefe.cocolog-nifty.com/fefefes_bar/2009/12/-91-5c65.html

 85年盤と91年盤には他にも興味深い違いがあって、使っている楽譜が違うようなのだ。85年盤では第一楽章の416小節で戦前良くあったような第一バイオリンのオクターブ上げをやっているのだ。しかし91年盤ではこのアレンジを採用していない。ところが逆に91年盤では85年盤では採用しなかった第四楽章冒頭のトランペットのにぎやかな(笑)アレンジを実行しているのだ。この手のアレンジを採用する指揮者は今ではかなり珍しくなっているのでいずれもちょっとギョっとする(第一楽章のオクターブ上げは最近も小澤征爾がやっているのでびっくりしたが)。私はこの手のアレンジには否定的だが、それでもこの91年盤は第九の名盤の一つに挙げて良いと思う。ただしこの海賊盤は既に入手困難のようだ。ぜひ正規盤での発売を期待したい。

 楽譜をお持ちでない方はIMSLPのサイトを参照して頂きたい。
http://imslp.org/index.php?title=Category:Beethoven%2C+Ludwig+van&from=S


(92年盤も聞いてみたので追記する)
 数年前になってLPOレーベルで正規発売され、一部では「フルトヴェングラー以来の第九」という評判もある92年盤だが、結論から言うと91年盤の激しい燃焼度には及ばないと思う。日本公演をキャンセルして帰国した半年後の演奏で、先ほどのサイトによると、この第九の後にテンシュテットが指揮台に立ったのはこの年10月のブラームスの1番、翌93年5月のマーラーの7番のみとのことだ。既に相当悪かった体調を押して指揮台に立ったのだろう。

 特に第三楽章で顕著にテンポが遅くなって粘った表現になっている点や(確かにこの点はフルトヴェングラーに近いかも?)、この年の演奏では第二楽章のリピートを実行していない点も特徴だ。テンシュテットを支えた名コンマス、デビット・ノーランは1992年までLPOに在籍していた(この年3月の来日でも確かコンマスはノーランだったと記憶している)。しかし10月の第九の時点では退任していたようで、ジャケットにはジョイアキム・スヴェンヘーデンという人の名前がクレジットされているが、このこともテンシュテットの棒に影響を与えているかもしれない。

 演奏会場がロイヤルフェスティバルホールに代わっているが、合唱が遠目に聴こえる点は85年盤と同様だ。合唱は85年盤同様のロンドンフィル合唱団に戻っているが、録音のせいもあって合唱の出来は91年盤の方が良いと思う。HMVのユーザーレビューではハーペの歌い損じ(?)を気にするコメントも見かける。

 それでも93年に亡くなる前年のポップさんとテンシュテットの最後の共演が聴けて良かった。ポップとテンシュテットはマーラーの4番やシュトラウスの最後の4つの歌などでしばしば共演している。ポップさんはこの第九の後、11月にバイエルン国立歌劇場の公演で来日しフィガロの結婚の伯爵夫人を歌った。素晴らしい歌で、特に体調が悪いようには見えなかったので翌年に急逝してしまい大変驚いた。

 ちなみに92年盤は第一楽章のバイオリンのオクターブ上げも第四楽章のトランペットのアレンジも採用していない。つまり85年盤とも91年盤とも違う処理をしているのが興味深い。

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閉じる コメント(4)

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初めまして。
私もこの三種の演奏を持ってまして、愛聴してます。
テンシュテットの第九、特に91年盤は名演ですよね。一番好きです。
詳しいレビューが参考になります。

2011/12/30(金) 午後 6:37 [ - ]

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toukaiteioさんはじめまして。

>私もこの三種の演奏を持ってまして、愛聴してます。

toukaiteioさんもなかなかの収集家ですね(笑)

私はLPOレーベルの演奏は海賊盤の91年の演奏かとばかり思っていました。ポップさんが出ている別の演奏だと気がついて、そのうち聞こうと思っていたのですが、このディスクもすでに結構品薄なんですね。間に合って良かった。

3つ手に入れると、もう一つあるらしい4つ目の演奏も気になってしまいます(^^;

いつ頃の演奏かご存じですか?

2011/12/30(金) 午後 9:31 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]

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こんばんわ。
テンシュテットの第9有名なこの3種の他には、
1976年7月のバークシャー音楽祭でのボストンsoとのライブ、
1982年2月5日のミネソタ管(これはステレオ)のライブ2種があるようです。
私も未聴でCDも見たこともありませんので、非常に聴いてみたい幻の演奏です。

2011/12/30(金) 午後 9:54 [ ]

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恵さんお久しぶりです!

アメリカに客演した際の演奏が2つあるのですね。全然知りませんでした。さすがです。合計5つになりますね。

調べてみたらミネソタ管との演奏は全集と同じMEMORIESから出ていたようですね。

テンシュテット指揮 ミネソタ管、ハインズ、ハーディ、ベイリー、レイミー ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 1982年2月5日ライヴ


ミネソタ管には1989年にも客演して7番を振っているようです。アメリカではマーラーやブルックナーも振っていたようですし、
結構人気あったようですね。

2011/12/30(金) 午後 10:37 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]


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