|
東京では以前ならちょっと高いところでは至る場所で富士山が見えた。東京に富士見町や富士見坂という地名が多いのはそのためだ。しかし高層ビルが多くなった現在は、実際に富士山が見える「富士見坂」は1か所だけになってしまったそうだ。
それでも川沿いなどの広い場所に出たり、ちょっと高いビルに登ったりすれば今でも多くの場所から富士山を眺めることができる。その国の首都から最高峰の山を望める国は世界的に珍しいのだそうだ。ありがたいことだ。
富士山の美しさは日本の最高峰でありながら独立峰である点にあると思う。山脈になっている連峰ではないので、どの方角から見てもはっきり識別できる。確固たるアイデンティティと孤高の美しさが人を厳かな気持ちにさせるのだろう。残念なことに東京は元旦は曇るそうなので今日と明日のうちに見ておこう。あいにくデジカメを持っていなかったので北斎の赤富士を引用させてもらおう。
・ベートーヴェン交響曲第5番
パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツカンマーフィル
http://www.youtube.com/watch?v=RBlQSyHV92Y
http://www.youtube.com/results?search_query=Beethoven+Symphony+Jarvi
みなさんご存じの通り、私が取り上げるディスクは圧倒的に90年代以前の演奏が多いのだが(笑)、最近の演奏でこんなに感激したのは久しぶりだ。ネーメ・ヤルヴィの2人の子供が指揮者になったことは知っていたが、こんなに良い指揮者に成長していたとは気付かなかった。モダンオケによるピリオド・アプローチの演奏としては最も成功したものだと思う。
ピリオド・アプローチとはモダン楽器のオケが重厚で艶やかな落ち着いた響きの代償として失ってしまった俊敏な即興性と躍動感を回復するため、ピリオドオケの編成や演奏法をモダンオケに取り入れるものだ。ただし、具体的にそれをどのように実現するか、そのやり方は指揮者によってまちまちだ。配置は第二バイオリンが右でチェロが左の古典的両翼配置が採用されることが多いが、編成の規模や演奏法は様々だ。
その中には最近のノリントンのノンビブラート奏法(「ピュアトーン」というらしい。まるで商標登録のようだ。笑)のようにちょっと微妙なものもある。ヘレヴェッヘは私も生で聞いた。悪くなかったが、ヘレヴェッヘはピリオド・オケで聞きたかったという気がする。
その中では、このヤルヴィのベートーヴェンは最も成功した例に挙げて良いのではないだろうか。こんなに生き生きとしてワクワクするベートーヴェンはクライバーや、ピリオドオケ(ロンドンクラシカルプレイヤーズ)時代のノリントン以来だろう。しかもヤルヴィとドイツカンマーフィルは2008年に日本でも演奏したというのだから驚きだ。全くノーチェックだった(笑)。
このような演奏を聞くと20世紀のベートーヴェンの演奏は重厚だがリズムが欠けていたと改めて思う。フルトヴェングラーは言うまでもなく他のほとんどの指揮者も、19世紀のワーグナー風に解釈されたベートーヴェン演奏の伝統から逃れることができなかったのだ。この問題に正面から取り組んだ指揮者はクライバーだけだった。そういう意味でクライバーこそは21世紀にふさわしい指揮者だったはずだ。
そう言えばクライバーも2世指揮者だった。2世政治家はいろいろ問題があるようだが、2世指揮者というのは結構良いのかもしれない。今度はパリ管という名門を手に入れたパーヴォに注目してみることにしよう。
|
たかさん、お久しぶりです。
誠に仰る通りで、パーヴォは本当に良い指揮者になったと思います。
やりたいことを存分にやりつつも、これだけ当たり外れの少ない指揮者は、現代では稀有の存在と言えましょう。ベートーヴェンに限らず、マーラーもブルックナーも、シューマンもドヴォルザークも絶品ですね。パリ管との演奏も色々な映像やライヴ音源を聞く限り、非常に良いですね。
ただ、映像でこそ彼の真価が最も良く分かるような気もします。
2011/12/30(金) 午後 10:52 [ サヴァリッシュ ]
パーヴォは何となく父ヤルヴィよりも父クライバーに風貌が似てきたような気がしませんか(笑)?
最近の指揮者だとティーレマンの評価が高いようですが、私はティーレマンより良いと思います。ただこの業界は難しくて、ゲルギも90年頃に出てきたころはすごく良かったのに売れっ子になってマンネリになってしまったので安心はできないですよね.....
2011/12/31(土) 午前 0:58 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]
私の実家は多摩丘陵の上ですが、丘の上からは冬の晴れた日の夕暮れ時には、本当に「赤富士」に近い光景が見れるんですよね。時が止まったかのような不思議な気持ちになり立ち尽くしてしまいます。
ヤルヴィとドイツ・カンマーは09年にパリでもベートーヴェン全曲をやってくれたんですが、1回くらいは行ってみようと思いながら、行かないままになってしまいました。お話を伺って失敗したと思ってます(笑)。
ヤルヴィは既にパリ管常任2シーズン目ですが、私は最近はパリ管定期も殆ど出掛けなくなってしまったので、聴いたのは2回だけ、シベリウスの「クレルヴォ」や「幻想」なんかを聞いただけです。後は大分前に仏国立管とのマラ6。もちろん優れた指揮者だけど本当に感心したことは残念ながらまだないし、ピリオド・アプローチで優れた成果を上げるというのもちょっと意外でした。これからもう少し注意して聴いてみようと思います。
2011/12/31(土) 午後 2:23 [ 助六 ]
私はヤルヴィ父子は3人とも実演に接しましたが、親父も「もちろん優れた指揮者だけど…」という感じで、パーヴォは親父を少し超えつつあるとこも、まだ届いてないとこもあるような気がします。親父を完全に超えてしまったと思うのはフィリップ・ジョルダンですね。
今年も他所では得られない貴重な知見で毎回楽しく勉強させて頂き、ありがとうございました。よいお年を!
2011/12/31(土) 午後 2:23 [ 助六 ]
こちらこそいつも貴重な情報に感謝しております。
ありがとうございます。
来年もよろしくお願い致します!
2011/12/31(土) 午後 8:49 [ たか改め「みんなのまーちゃん」 ]